2026年06月02日

トランプ米政権のキューバへの燃料封鎖問題について

山添拓 日本共産党の山添です。今日はキューバの現状について伺います。キューバは石油の6割をベネズエラから輸入していましたが、1月の米国によるベネズエラ攻撃の後はなくなりました。さらにトランプ大統領が、キューバに直接間接に石油を販売・提供する国への追加課税に署名したことからメキシコなどからの輸入もなくなりました。

 2026060401.jpg現在一滴の石油も入っていません。いわば兵糧攻めの燃料封鎖です。備蓄が枯渇し、首都ハバナでも1日18時間停電という事態であり、電力不足のために、約10万人が手術を待ち、うち1万1000人が子どもたちだとも伺います

 記事をお配りしていますが、ここでは燃料不足でゴミ収集者が来なくなり、ゴミが溢れ、蚊やネズミが増えたということも紹介されています。人道的な事態が生じております。まず外務大臣の認識を伺います。

茂木茂木敏充外務大臣 キューバ私も3年前に訪問いたしましたが、コロナ禍以降ですね、主要産業の観光業が打撃を受けたこともありまして、国内経済の状況が悪化をしてですね、国民生活は、厳しい、状況に当時からありました。また、当時から燃料不足の問題もありまして、キューバに行くとアメリカのクラシックカーが走ってるのかと思ったら、「あんな燃費の悪い車なんかとても使えない」とこんなことを言っていたのを非常に覚えているところであります。

2026060402.jpg それが今年に入りましてですね、主要な燃料供給国でありましたベネズエラ等からの供給が、突然途絶え、燃料事情が急激に悪化したと承知をいたしております。これによりまして急遽国内では大規模停電。ま、以前から停電はしてたんですけれど、大規模停電があったり、断水があったり、さらには医療機関での、手術の遅延等が頻繁に発生し、交通公共交通の制限があったり、学校閉鎖等の緊急措置が取られるなど国民生活等の緊急措置が取られるなど、国民生活に重大な影響が、拡大していると、このように認識いたしております。

山添拓 はい、ありがとうございます。先週末、我が党の志位和夫議長と共にキューバのヒセラ・ガルシア大使と懇談し状況を伺いました。乳幼児の死亡率、半年前は1,000人に4人。これアメリカよりもいい数字だったのですが、今は倍以上の9人になってしまったということです。モーターが回せず200万人以上に水へのアクセスに問題が出ているとも伺いました。看過しがたい事態だと思います。

 で、日本とキューバは2029年に国交100年を迎えます。伊達藩、支倉常長(1571〜1622年)のヨーロッパ使節団が1614年にキューバに立ち寄ったことを含めると400年以上のつながりがあるともうかがいます。良好な関係を維持してきた2国間だろうと思います。で、近年日本政府はキューバに対してどのような支援を行ってきたのか、また10.6億円の無償資金を発表しています。内容をご説明ください。

2026060403.jpg外務省大臣官房西崎寿美審議官 はい、お答え申し上げます。我が国は近年キューバに対し人道的観点からの支援や同国が進める経済改革を後押しするような人材育成を行ってきております。最近では昨年のハリケーン被害に対し水衛生及び保健インフラ改善のための無償資金協力をユニセフと連携して実施しております。

 また、現在キューバでは深刻な電力不足のため特に病院への電力確保が緊急の課題となっていると承知しております。かかる状況及びキューバ側からの要請を踏まえて太陽光パネル等の整備を行うことを決定しました。同支援はキューバ国内10カ所の病院におけるエネルギー供給の安定化及び医療サービスの持続力可能性の向上を図り言下の人道状況の改善を目的たしのものでございます。

山添拓 あのキューバはこの間太陽光発電の比率を、短期間で3%から10%に引き上げ、エネルギーの確保を探っているそうです。そうしたもとでの今ご紹介になった病院への太陽光パネル設置の支援は大変歓迎されております。2025年10月29日国連総会はアメリカ合衆国によるキューバに対する経済通商金融上の禁輸措置を終わらせる必要性についての決議を賛成多数で採択しました。内容と日本政府の対応についてご説明ください。

外務省大臣官房門脇仁一参事官 お答えいたします。ご指摘の国連総会決議は全国連加盟国に対し、米政府による金融措置のような他国の自由貿易を妨げるような法令、措置の制定を差し替える要求し、現在そのような法律や措置を取っている国に早期にそれらを廃止無効化することを要求するものと承知しております。我が国は日本企業を含む第3国企業国民の米国外での経済活動の保護の観点から1997年以降まで本決議に対一貫して賛成票を投じておりまして、ご指摘の昨年の決議にも賛成したところであります。

山添拓 同決議は92年以来毎年圧倒的多数の国の賛成で採択されてきました。60年以上続く米国の一方的な金融政策に対して国際社会は反対してきたわけです。外務省に重ねて伺いますが、日本政府が賛成してきたのも、今日本企業への影響などもご紹介ありましたが、基本的には主権の平等あるいは内政不干渉、こうした国連憲章や国際法の原則をも考慮してこういう態度を取ってきたこう考えてよろしいでしょうか?

2026060404.jpg外務省大臣官房門脇仁一参事官 この賛成票を投じてきた理由でございますけれども、こういったあの制裁にあの米国のキューバに対する経済政策、これが、日本企業を含む第3国企業国民の米国外の経済活動がこういったことが過度に制限されますとですね、国際法上許容されない国内法の域外適用にあたる恐れがあるということを各国の件を共有して一貫して賛成をきているとこであります。

山添拓君 国連憲章や国際法の原則をも当然考慮したものですよね。

外務省大臣官房門脇仁一参事官 繰り返しになりますが、日本企業を含む経済活動の制限について、あるいは国際法上許容されない国内法の域外適用の恐れがあるという懸念を共有してのことでございます。

山添拓 こうしたもとで米国のトランプ大統領が「次はキューバだ」等と述べて、対キューバの軍事作戦を示唆しているのは重大です。アメリカメディアはトランプ政権がキューバへの軍事行動に備えて机上演習を実施したと報じ、空母打撃軍がカリブ海に入った。あるいは強襲上陸艦教が米部バージニアで待機していると伝えられています。

 一方でブラジルのルラ大統領は、トランプ大統領との首脳会談後、トランプ氏がキューバ侵攻を考えていないと述べたと明らかにしています。また、ルビオ米国務長官はキューバとの外交交渉の見通しを説明する中で我々が常に望むのは外交的解決であり交渉による合意だと述べています。これを外務大臣に伺います。キューバを巡る現状は危険をはらんでいますが、外交的、平和的解決が重要であり、必要であることは確かだと思います。認識をお示しください。

茂木外務大臣 我が国としてですね、あらゆる国家の問題について話し合い、外交的解決に、よってですね、外交的なものに、外交的に解決することが重要であると、このような姿勢は一貫しております。

2026060405.jpg山添拓 ブラジル、メキシコ、スペイン3カ国の首脳は4月18に共同声明を発表し、一方的な武力行使に反対する姿勢を示しました。キューバ問題は国際法に沿った真剣で相手を尊重した対話を通じた解決をと訴え、キューバ国民の生活状況を悪化させる行動を避けるよう求めています。この声は米国を名ざしをしていませんが趣旨は日本政府も同意できるものだろうと思います。ですから、やはり平和的な解決が前提だとこういう態度で望んでいただきたいと思いますが、改めて大臣いかがでしょう。

茂木外務大臣 これは、先ほど申し上げたような形で、問題が起こった場合に話しによって解決をする、これがあの基本だと、考えております。ただその上で個別具体的な状況につきましてはですね、その事情がどういうことから発生してどうなっていくかと、様々な課題があるっていうこともあれでありまして、個別の事象に対してですね、どうであるべきだ、第3国としてあの申し述べるのは控えたいと思います。

山添拓 先ほどの外交的解決が重要だというご答弁だと思います。キューバの現状依然として深刻です。状況を踏まえてさらなる人道支援についても検討すべきと考えますが外務省いかがでしょう。

外務省西崎審議官 現状をお答え申し上げます。現状キューバでは国内全土で大規模停電化が頻発するなど人道面で困難な状況に直面していると承知しております。こうした状況を踏まえ人道的観点から今後必要な対応を検討してまいりたいと考えております。

山添拓 明日から始まる世界島嶼国海洋会議に合わせて、副首相が来日中と伺います。良好な関係を築づいてきた日本政府として、必要な対応を取るようあの求めたいと思います。米国司法省は5月20日、30年前の小型機事件を理由にキューバのラウル・カストロ元国家評議会議長を起訴しました。同じように米国が体制転換を狙う相手の国家元首を起訴したのがベネズエラです。今年1月米国はベネズエラへの軍事作戦によってマドロ大統領を拘束し、本国に連行して裁判にかけました。

 この点について日本政府はベネゼラにおける民主主義の回復及び情勢の安定化に向けた外交努力を進めていくなどと表明しましたが、いかなる理由があっても主権国家に対して軍事攻撃し指導者を拘束連行することなど許されません。国連憲章と国際法を乱暴に踏みにじる侵略に他なりません。大臣の認識を改めて伺います。

茂木外務大臣 あのベネズエラの現状についてお話をしますと、1つは米国との外交関係、再開が発表され、そして、一部の政治犯の釈放が実施され、さらにですね、経済開発に向けた法改正等の動きがあると、このように理解いたします。我が国としてベネズエラにおける民主主義が回復されることが重要であるとの一貫した考えに基づき、ベネズエラ情勢に対応してきましたが、ま、今後、これらの動きがですね、いかにベネズエラでの民主主義の回復につながっていくかということを含め、情勢を注視していきます。引き続きG7や関係国土と緊密に連携しつつベネズエラにおける民主主義の回復や情勢の安定化に向け、避難民とベネネラ国民の、民政支援、そして国の支援を含め、取り組みを進めていきます。

山添拓 私が伺ったのはトランプ政権が行った軍事による大統領の拘束連行問題です。いかがですか。

茂木外務大臣 1月のあの事案についての評価でありますが、国連各国政府専門家と、国際社会で様々な、議論が行われているところでありますが、我が国として、今回の事案について正確かつ詳細な事実関係を、十分把握することは困難であることから、評価を行うことは差し控えたいと思っておりますが、ずれにしても今必要なこと、今やるべきことについては先ほど答弁をさせていただいた通りです。

山添拓 攻撃によって指導者を拘束拉致することを要認されるのですか?これは詳細な事実関係がどうかという以前に客観的な事実関係で誰もが承知してることじゃありませんか。容認されるのですか。

茂木外務大臣 事案全体について申し上げると評価できないと、評価することは困難であると申し上げております。

山添拓 それは、私は極めて情けない、法の支配とは駆け離れた態度だと思います。だって先ほど別の方の質問に対してはロシアのウクライナ侵略に対して国際秩序を根幹から揺がす、力による一方的な現状変更とお話になったじゃありませんか。ベネズエラに対して行われたこともそうだと思いますよ。誰は見てもそうとしか言えないと思います。米国は戦後ニカラグア、グレナダ、パナマなど中南米で侵略を繰り返してきました。日本政府は1度も批判していません。いや、米国が世界中で行う国際法の先制攻撃、侵落戦争に1度として反対したことがありません。しかし、力による平和を許さないためには法の支配を貫くことが求められます。それは相手がどんな国であってもです。西半球を再び米国の裏庭にしようというトランプ大統領です。私はこのベネズラ侵略はもちろんですが、キューバへの軍事介入など断じて許されないと。そういう立場を日本政府としても表明していくことが必要だと思います。そのことを強く指摘をして質問を終わります。

編集後記

 本稿は2026年6月2日、参議院外交防衛委員会での山添拓参議院議員による質問である。以下、動画の文字をコピペしておく。

米の軍事介入許すな対キューバ燃料封鎖で山添氏
 日本共産党の山添拓議員は2日の参院外交防衛委員会で、米国による燃料封鎖で非人道的な事態が生じているキューバへの支援を求め、政府として米国のキューバへの軍事介入は断じて許されないと表明すべきだと強調しました。キューバは、燃料備蓄が枯渇して大規模停電が続き、医療や公衆衛生に甚大な影響が出ており、山添氏はさらなる人道支援を要請。昨年10月の国連総会で日本も賛成して採択された「対キューバ禁輸解除」決議について、主権の平等や内政不干渉を定める国連憲章・国際法の原則を考慮したものだと強調しました。
 トランプ米大統領が対キューバ軍事作戦を示唆しているのは重大だと指摘し「外交的、平和的解決が必要だ」と強調。ブラジルとメキシコ、スペインの首脳が4月、共同声明で「キューバ問題は国際法に沿った真剣で相手を尊重した対話を通じた解決を」と訴えており、日本政府も平和的解決を前提に臨むべきだと求めました。茂木敏充外相は「国家間の問題について外交的に解決することが重要だ」と答えました。
 山添氏は、米司法省が5月、キューバのカストロ元国家評議会議長を起訴したが、同じように米国が体制転換を狙う相手の国家元首を起訴したのがベネズエラだと指摘。米国が1月にベネズエラへの軍事作戦でマドゥロ大統領を拘束したことについて「評価を控える」とする茂木外相に対し、山添氏は「軍事攻撃によって指導者を拘束、拉致することを容認するのか」と厳しく批判しました。
 山添氏は「力による平和」を許さないために法の支配を貫くことが求められるとし「ベネズエラ侵略はもちろん、キューバへの軍事介入は許されないと表明すべきだ」と求めました。

 なお、こちらのサイトも参照いただきたい。
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2022年09月17日

報道特集「有機農業の未来は?」

名古屋オーガニック朝市村

 地球環境にやさしいとして有機農業が着目されている。現在、1%にも満たないものを国は25%にするとしている。その道のりは。現場を取材した。

 ここで、名古屋のオーガニック朝市村が登場する。

 毎週土曜日開かれる朝市村、オーガニック・ファーマーズ・マーケット。

「美味しい、獲れたて、そのままでも美味しい」と消費者の声が出る。

割高で見栄えが悪いと敬遠されてきたが消費者の意識は変わりつつある。

20年近くも運営してきた吉野隆子さんは「有機農業という言葉が広がるこんな時代が来るとは思いもよらなかった」と語る。

 だが、日本の有機農業の面積は0.6%で世界から出遅れている。そこで、日本政府は7月に法律を制定。2050年までに有機農業を全農地の25%に増やすこととした。農家やモデル地区に対する補助金を増額する。その理由のひとつが環境保護、そして、世界的に食料事情が悪化し、高齢化が進む中で新たな担い手を農業に呼び込むためだ。

岐阜県白川町で移住した新規就農有機農家

 朝市村には相談コーナーがある。そこで紹介され若い人たちが次々と移住した村がある、として、シーンは岐阜県白川町に移る。

 この町では有機農業が盛んに行われている。名古屋市から車で1時間30分。標高150mを越す山間の町である。そして、東日本大震災を契機に横浜から妻と移住した高谷裕一郎氏が登場する。

「絶対に安全というのがないので地に足を付けた暮らしをしたいと思った」と裕一郎氏が語れば、奥さんの聡美さんは「子どもと一緒に食事をしながらできる範囲のことをする。その前提の上に有機農業があった。夫の提案にいいねというそれだけ」と答える。

 NPO法人有機ハートネットを通じて有機農業を学び、移住から2年後に自分の田畑を持った。ナスやズッキーニ、コメ等20種類を生産し、名古屋のスーパーやネットを通じて全国に販売している。

 高谷氏は子どもの頃から土をいじるのが好きで、大学の大学院で土壌微生物を研究。その後、種苗会社でサラリーマン生活。それなりに知識はあったが、いざ脱サラをして有機農業を始めると難しさに直面した。

 例えば、雑草対策。合鴨農法もあるが児嶋健氏が「襲われた」というエピソードを語る。そして、病気の対策も大変である。風通しを良くするためトマトも株数が少ない。

有機堆肥と生ゴミ循環

 高谷氏が「是非見て欲しい」と運んできたのが有機堆肥である。化成肥料はもっと量が少ないし、液体であればかけるだけいい。

 この堆肥を作るために、町内の豆腐店からおからをもらってトラックを堆肥舎に運んでいる。そして、高谷氏は、生ゴミを堆肥化するワークショップも行っている。水分を減らすことがポイントで、セミナーの受講者は「ゴミが減って助かる」と語る。

 こうしてためられた生ゴミは数カ月毎に回収し、落ち葉や生ごみを絶妙なバランスの配合で堆肥にしている。評判がよくスーパーでも販売しているという。

「農業では苗半作という言葉がある。そして、培養土で作るといい苗ができる」と高谷氏は語る。

 有機農業を始めても堆肥づくりがうまくいかなかった人を対象に、堆肥づくりの学校も開催している。夏には、無肥料、鶏糞と、堆肥で育てた肥料の違いの味比べをした。高谷氏の堆肥が最も味が濃く評価が高かった。

 こうした農業が広がっていけば化学肥料や農薬の使用も減っていく。

「化学肥料や農薬を使わないことそれ自体が目的ではなく、有機農業という生物の多様性を保つループがまわらないので使わない。これがぐるぐる回れば、農家もうれしいし皆も快適に過ごせる」

慣行農家との交流と農地の調整

7月に高谷さんたちは交流がなかった化学肥料や農薬を使う農家との情報交換も始めた。

「高齢化で維持できない田んぼができている」と慣行農家が悩む。一方、高谷さんたちには次々とやってくる就農希望者に紹介する農地が足りないという課題がある。

「僕らも困ってますけれども、向こうも高齢化で困っている。互いの問題を解決できる感触があったので」

さらに、有機農家にも収入が得られないという課題がある。そこで、副業としてキャンプの運営やサウナの経営をして収入を補う農家もいる。山間で収穫量が限られるため農業だけでは週末だけのレストランを経営する人もいる。こうした収入の問題を農家まかせにせず行政が解決した自治体がある。

千葉県のいすみ市登場

千葉県いすみ市は、稲作が盛んだが米を作っても高く売れず、担い手不足が深刻化してきた。そこで取り組んだのが有機米の生産である。きっかけは市長の大胆な発想だった。

「コウノトリが飛ぶ姿を慣行のシンボルにしたいという思いがありました」と太田洋市長が語る。

環境と経済とを両立させた街づくりを目指し、9年前にコウノトリを復活させた兵庫県豊岡市に職員を派遣。その鍵は農薬を減らした農業であることから、さらにハードルが高い有機農業に挑むことにした。

「全国で誰もできないのであればやってみようと思った。1万人の農家を敵にまわすのですから」と市長。

プロジェクトの仕掛人となったのが農林課の鮫田晋主査。サーフィン好きが高じて埼玉県から移住した農業未経験者だった。

有機農業に最初に取り組んだ矢澤氏の田んぼでは「農薬や化学肥料を使わなければいいんだろうとやったら、想像ができないように草がでてしまった」と矢澤氏が語る。

大失敗すると、すかさず市が専門家を招いて勉強会を開いた。水の深さを厳密に管理する等、雑草を生やさない技術を習得。翌年には改善された。鮫田主査も農家をまわってアドバイスできるようになった。

矢澤さんはこう語る。

「彼がいなかったらどうなったか。大学入試の何倍も勉強したといっていましたが、本音だと思いますよ」

害虫対策への不安もあった。だが、農薬を使わないことで自然が豊かになり、クモやカエル等、害虫を食べる生きものも増えたという。子どもたちはこうした生物多様性と有機農業の関係について学び秋には収穫体験も行っている。

なんとコウノトリもこれまで2度飛んできたが、実は有機農家を何よりも支えたのは子どもたちだった。

千葉県の有機米の生産を支えたのは販路の確保である。1.5倍だが市が買い取って学校給食として5年前にはすべて有機米となった。それが全国に知れわたり視察も相次いでいる。

「いすみ市は有機農業をやるうえでアイドル的な存在なんです」と消費者。

もちもちしていておいしい。残す量も減った。2017年には2500人で必要な42tを超えて、うわまわったものは高級ブランド米として一般にも販売している。

「いまのところ独り勝ちですからね。収穫すればするほど2万5000円で売れるんでうから」と太田市長。

いすみ市は野菜の有機化にも取り組み始めた。いまや8品目が提供できるようになった。

移住者も増えている。東京から移住した宮川聡さんのキュウリをアナウンサーが美味しいと食べる。

「保育園やその下の子どもに広がったらいいと思っている」と宮川氏。

そして、有機給食がなければここまで広がらなかったと鮫田主査は言う。

「農薬を使わないで、作られた農産物とかもしっかりと買い支えてあげる社会でないとやはり農業が続けていけないですね。我々みたいに支援する側がどうやったら(有機農家が)安心して取り組めるかを頑張らなければいけないと思っている」

編集後記

 TBSが2022年9月17日に30分ほどだが有機農業について報道したので、この「報道特集」の議事録を作ってみた。

 名古屋のオアシス21での吉野隆子氏、移住で有名な白川町、そして、いすみ市と有機で登場する有名どころを抑えているので、何かの参考にしていただければ幸いである。

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2018年11月27日

農業者だけの問題ではない、食料主権と遺伝資源いう視座が大切~SBCラジオJポイント

じめに

 日本の多様なタネを守ってきた「種子法」が2018年4月に廃止され、日本農業は大きな転換点にさしかかっている。SBCラジオ(信越放送)の「Jスポット」というコーナーは「種子法廃止」の問題を連続してとりあげてきた。4月30日の第1弾では山田正彦元農業大臣が登場し、6月4日の第2弾では「日本のタネを守る会」の事務局アドバイザー、印鑰智哉氏が出演した。7月9日の第3弾では、種苗法の改正問題で再び印鑰氏が登場した。

 さらに、8月からは、第4弾、第5弾、第6弾ということで、在来種保全や小森ナスが放送された。10月29日の第7弾では、長野県の山本農政部長が登場し、長野県の動きが紹介された。さらに、11月21日の第8弾では、条例制定に向けた農業関係者の受け止めということで、JA長野中央会の春日十三男専務理事が登場した。そして、11月27日の第9弾では、NAGANO農と食の会の渡邊啓道共同代表が出演した。8時15~30分まで15分ほどだが、コンパクトになぜ在来種の保全が大切なのかがまとめられている。ということで、この放送の一部をテープ起こししたものを紹介しておこう(1)

長野県は来年6月議会での独自の条例制定を目指している

久保正彰今朝もスタジオには、生田明子アナウンサーです。おはようございます。
Masaaki-kubo.jpg
生田明子 おはようございます。

久保正彰 先週も長野県で独自の条例を作ろうということで、JAの方のお話を聞きましたね。今朝はどういう観点からですか。

生田明子 今日はこの条例制定にむけた農業関係者の受け止め第二弾ということで、農業と食事ということで「NAGANO・農と食の会」というグループの渡辺啓道(ひろみち)共同代表にお話を聞きてまいりました。「NAGANO・農と食の会」では、月に一度の定例会という名の農業と食事にまつわる勉強会を6年前から70回以上にわたって行ってきました。

 「農と食の会」ですので、農家の方はもちろんいらっしゃるのですけれども、販売店の方、そして、消費者の立場でもある主婦の方、料理人の方、さらには、長野県議会議員、長野市議会議員、大学教授、産婦人科医と非常に多岐にわたるんですね。そんな皆さんが、今回長野県農作物種子条例の制定にむけまして、私の案=条例私案を作成しました。どんなものなのか、その一部をまずはお聞きください。 

市民の目線で食料主権をうたった条例私案を作ってみた

Watanabe.jpg渡辺啓道 私たちの「NAGANO・農と食の会」の方で「長野県種子多様性基本条例」という私案を作成させていただきました。

 全部で13条の条例内容なんですが、ポイントとしてはですね、まず食料主権をうたっているということですね。

 この食料主権というのはいろいろな意味があるんですけど、ヨーロッパでは、カロリーベースで、穀物の自給率国内の自給率が100%を越えている国はたくさんありますよね。そういう意味で国家の食糧を保存するためには、食料安全保障という考え方が一つあるということ。

 あともう一つの考え方として、消費者が自分の食べるものを選ぶ権利、それも主権の一つだと思うんですね。例えば、遺伝子組み換え食品を消費者として選択したくない、食べたくないと。それをきちんと選ぶ権利があるということですね。そういった意味では、表示についてもしっかりしなければいけないとそういった考え方になってくると思います。

 11月26日の月曜日の午後から、県の農政部の方と私たち長野農と食の会のメンバーが懇談の会の場を設けさせて頂くことになっていて、私達の条例私案に対する考え方を県の方にご説明できれば非常に嬉しいなと思っております。

遺伝子組み換えは農産物はいまは日本では作られていないとはいえタネが汚染されれば

久保正彰 ほう。ちょうど、今日の午後ということなんですね。それから、話に出てきました遺伝子組み換え食品ですけれども、先週もお伝えした中では、現在日本では遺伝子組み換えの商業生産は、認められていませんですよね。

Akiko-Ikuta.jpg 生田明子 はい、そうなんです。長野農と食の会には主婦・お母さんたちも多く参加しているんですが「やはり自分の家族や子どもたちには、遺伝子組み換えの食物は、体にどんな影響があるかわからないので、食べさせたくないという思いが強いとおっしゃっていました。

 さて、農作物は、種からできるわけですが、現在は日本で販売されている野菜の種の9割が外国産になっている現状を、これまでもお伝えしてきました。渡邊さんは、今後しっかり在来種を守るために、こんな問題提起もされています。

Watanabe01.jpg渡辺啓道 種がどんどん海外から国内に流入してきて、これが、もしですね、例えば、遺伝子組み換えの種であったとしたらですね、種というのは花粉をもとに作られるわけですから、遺伝子組み換えされた種の花粉が飛散するということにつながってくるんですよね。そうなりますと、地元の在来品種ですとか、お米ですとか、麦とかそういった種自体が、遺伝子組み換えの花粉によって汚染されてしまうという、そういうことが予想されてしまうんですよ。昔メキシコというのは、自家採取されていたとうもろこしがもう何百種類とあったんですが、とうもろこしの花粉は非常に距離が遠く飛ぶんですよ。だから、アメリカの遺伝子組み換えのとうもろこしの花粉がメキシコの在来種を汚染して、今はね、在来品種のとうもろこしは希少価値をもっているんだよね。それぐらい花粉の飛散は大規模に起こってしまう現象なので、これは非常に気を付けなければいけない問題だと思います。

海外では遺伝子組み換え汚染が起きている問題を知っておく必要がある

久保正彰 ほう、実際に海外ではこれは現在進行形の問題なんですね。

生田明子 そうなんです。遺伝子組み換え食品については、今回の条例の中でその内容が入るかどうかは、まだわかりません。けれど、私たちが問題として知っておくことは、とても大切なことではないでしょうか。

 その他にも、種苗法で原則禁止になろうとしている「農家が自分の畑で種をとること」=自家採種についても農家の権利として明記しています。

種子法廃止の問題は医療や健康、遺伝資源も関係し、農家だけの問題ではない

生田明子 渡辺さんをはじめとする、長野農と食の会のみなさんは、大切にしている思いがあります。

Watanabe02.jpg渡辺啓道 この条例については、単に種子法廃止を受けて農業者対象の種の問題ではないということが一番大事だと思うのですよね。当然消費者の問題でもあるし、医療の問題でもあると思うので、全国民、全市民の問題だと思っています。

 今、種子法を廃止のことでどんなことが起きるかというと、一部の大企業、多国籍企業によって種というものが独占されるしまうという現実がこれから起きてくると思うんですね。私たちがどういうものを食べたいのかということまで制限を受けてしまう可能性が出てきてしまったわけですね。

 お米ですとか大豆ですとか、野菜にも在来品種がいろいろとありますけれどもそういう種の多様性を日本人が守っていくということが、みんなの健康にもつながっていくということですし、今まで農家が何千年とね、伝えてきた種、そういう遺伝資源というものは、みんなのものだ。種の資源は重要なものですから種というものをみんなで守っていくということが大事だと思います。

久保正彰 なるほど遺伝資源という言葉も出てきましたねぇ。

生田明子 はい、そうなんです。今日、登場してくださった「NAGANO・農と食の会」主催のイベントは、来月12月2日(日)。長野市にあります松代ロイヤルホテルで 午後1時から「ママこれ食べて大丈夫?パート2」と題して開かれます。

久保正彰 こんどの日曜日ですね。

生田明子 はい。そして、翌週8日(土)には、長野農と食の会の東信支部主催で「種は誰のものか」と題しましてて、佐久平交流センターで、午後1時から行われます。イベントについて、詳しくは、番組のHPに掲載しておりますので是非ご覧下さい。

久保正彰 学びの場はいろいろ用意されているということですね。


県内各地で行われる種子条例を巡る勉強会
☆12月1日(土)
種と食と農のお話(午後1時〜4時)」
 主催:安曇野種バンク
 講師 印鑰智哉氏
 場所:やすらぎの郷(池田町)  
 問い合わせ先:シャンティクティ 臼井健二氏 電話 0261-62-0638

☆12月2日(日) 
種と食と農のお話(午前10時〜)」
 主催:筑北村社会福祉協議会
 講師 印鑰智哉氏
 場所:筑北村役場  
 問い合わせ先:町田氏 電話 090-6478-5692

☆12月2日(日)
ママこれ食べて大丈夫?パート2」(午後1時〜5時)
 主催:長野農と食の会
 シンポジウム:渡辺啓道氏他、堤未果氏の特別メッセージあり
 場所:松代ロイヤルホテル(長野駅から無料送迎バスあり)
 問い合わせ先:NAGANO農と食の会事務局 カネマツ倶楽部 電話 026-278-1501

☆12月8日(土)   
種は誰のものか」(午後1時〜4時)
 主催・長野農と食の会の東信支部
 講師 岡本よりたか氏
 場所:佐久平交流センター(佐久市)
 問い合わせ先:酒出 電話 090-6523-1456

☆12月9日(日)  
食の安全とタネのはなし2」(午後1時30分~3時30分)
 主催:子どもの食・農を守る会伊那谷 講師 吉田太郎氏
 場所: JA上伊那アイパル(駒ヶ根市)
 問い合わせ先:関島百合 電話 090‐2679‐3459
(2018年11月27日投稿)
【画像】
久保正彰アナウンサーの画像はこのサイトより
生田明子アナウンサーの画像はこのサイトより
渡辺啓道共同代表の画像はこのサイト及びこのサイトより
【引用文献等】
(1) 2018年11月26日、 モーニングワイド ラジオJ
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