挨拶
徳江倫明 京都でも2回目が終わっている。オーガニックビレッジ宣言をする自治体が増えてきて、どう広げていくか、その主体が自治体となることで、いいことなのだが、助成金の事業で最初は3年あったのだが、今度は2年間になったと。大事なことだが、3年で計画を作ってそれ以降も自治体が取り組んでいくには民間との連携が欠かせないだろう。そして、オーガニックが増えていくのはいいのだがどこで売るのかと。また、生産の基盤を作っていくには新たに有機農産物を作っていく農家がいないと絵に描いた餅になってしまう。そのためにどう技術を開発するのか。それは販売を含めて民間との連携がないとできないと。
さて、EASTとWASTでは毎回アンケート調査をするのだが、今回、参加する自治体からのアンケートを分析したので、これをやっていただいた田中さんの方からも報告をしてもらいたいと思っている。また、オーガニックビレッジで声をあげている首長さんが横の連携をしようという動きも出てきている。
松本賢英 有機農産物の需要の拡大はしているが、まだ、オーガニックを一般の人が買う状況にまではなっていないので、消費者の理解と流通コストを下げることが重要かなと思っている。また、最近では学校給食で有機農産物を使う動きが広がってきている。生産者にとっては安定した出荷先になるし、子どもたちの食育にもなる。オーガニックビレッジも手をあげたものが150以上あるのだが、このうちの9割が有機学校給食をしている。全国では278の市町村で給食に有機農産物を導入しているのでかなりの割合になってきている。そして、有機農業は移住促進とか地域再生にも役立っている。多くの関係者からさらなる推進に向けた意見交換をさせていただいているが、本日いただくご意見も参考にさせていただきたい。
小原荘太郎 今日は基調講演としての情報提供をいただくが、最初に自己紹介をお願いしたい(略)。
自治体と連携して
小原壮太郎 石井商品の石井智康様、お願いします。
味、健康、素材にこだわり有機素材でのハンバーグづくりに着手
京丹波町と連携してまめたんハンバーグを開発
いきなりの有機ではなく地場農産物から信頼関係づくりを
ラムサール条約とコウノトリから始まった小山市の有機
小原荘太郎 オーガニック給食の現状とこれからということで浅野正富さま
給食の半分を有機米にする目標を立て2年前倒しで達成
その時に、まず農業者に有機農産物を作ってもらっても、それがはけなければいけないということで、それには、公共調達が必要だろうと。学校給食で公共調達をすることで安心して作っていただけると。そして、子どもたちも美味しい、安全ということで家庭でも食べてもらえれば需要が拡大していくのではないかと。それが決め手になると。
ちょうど、その頃、千葉県いすみ市が全量有機米を達成していた。稲葉光圀さんから指導を得ているという情報を一早く入手していたことから、オーガニックを柱に進めたわけである。2023年3月に実施計画を策定したのだが、その時に目標をどうしようかとなった。小山市は33校で1日に1万4,000食。有機米には66㏊が必要である。その年は有機の水田は10㏊いくかいかないかであったので、まずは半分を有機にすることを目指した。給食は年間150回以上あるが、令和9年、2027年に30㏊を目標にして立てた。その後、市内の農業者にお願いした結果、昨年が22㏊、今年度は30㏊で2年前倒しで実現している。今年は給食150回のうち50回が有機なのだが、来年は半分になると。
2022年10月に第1回の「オーガニック給食フォーラム」が開催され、翌年6月に協議会が立ち上がった。そして、昨年11月にオーガニック給食フォーラムが常陸大宮市で開始されたが、会場で900名参加した。非常に有機給食に関心を持たれているのだが、この5月から代表になり、来年の7月25日、26日に第3回を開始することになっている。そこで、有機野菜も導入しようと。小学校では1日9,000食あるのだが、米飯が150回あるので、その時に有機野菜も年に数回だが、出せるようにと全小学校で提供している。来年7月には全国の皆様とさらに拡大するようなフォーラムにしていきたい。
石川明 亀岡市副市長の石川です。私から提案をしたい。オーガニックの流れができつつあるので、オーガニックビレッジを宣言した首長がリーダーシップを発揮する場が必要である。そこで、10月に木更津市長と連携して、来年には設立総会をしたい。
小原壮太郎 では次に有機農業白書を作られている小松光さんから。
坂ノ途中は調査で規模以下の有機農業の実態を見える化した
まず、有機農業白書を出したのだが、それは「坂ノ途中」の提携生産者が主で、全国流通に農産物を載せることができるある程度以上の農家である。自治体であれば地域内にいる生産者全体のことがわかりたいが、それは白書からはわからない。そこで、全体を対象とした調査を我々は北杜市でしている。北杜市においてそうした話をしたら「市としても知りたい」と。
市としてはまず新規就農で市に来て欲しい。そして、市のどこがいいのか、自分の強みをアピールしたい。そして、最後は、新規参入者が自分にあった農業の形を見つけられるようにしたいと。実際に市に入ってみると色々な人が色々なやり方をしている。「やりはじめる前からわかっていたらよかったのに」と言われることもあるという。
新規就農者のためのモデルが見えない浜田市
そこで、農業だけを見ていても解けない。移住、教育等、それ以外のセクターのことも含めて目標の再設定が必要であると。セオリー・オブ・チェンジが必要である。
目の前の問題と長期的な目標の間をはっきりさせる
ということで、まとめだが、北杜市では生産者の経営状況を調査した。そして、新規参入者も市も成り立つ有機農業の形を理解する必要があると。
浜田市は農業だけではこの問題が解けない。そこで、農業、移住、教育と全体を見ながら、目標を設定し、その中で、農業を位置づける必要があると。
小原壮太郎 自治体ごとにデータを含めた整理がこのようにできると。
小松光 全体像が僕らには見えている。こうした全体像を見ている人間が地域にいくことによって、その自治体のどこにアドバンテージがあるのかをお伝えできるのではないかと。
アンケート結果報告と議論
小原壮太郎 では、ここから、アンケートを集計しているので、田中玲奈さんより報告をしたい。
田中 アンケート結果調査を説明
略(ウェブサイトで結果は公開予定とのこと)。
小原壮太郎 では、前半の情報とアンケート結果を踏まえて、「課題に対してこう解決できた」といった意見を積極的にお願いしたい。
浜田市 島根県浜田市の職員。坂の途中の小松様から事例を紹介いただいたが、R5年4月にオーガニックビレッジ宣言をして、目指すべき姿、いろんな関係機関が関わる理念を作ってやってきたが、生き物調査、給食と色々とやって我々の課だけでやれることでは横展開ができなかった。これから先は単独の課では進められないので、実現するためには関係課が連携してやっていきたい。そこで、自治体内での庁内連携がうまくいっている事例があればありがたい。
石川明 いまの質問への答えではないのだが、坂ノ途中の小松先生の方から「新規農業者の成功モデルが今の中では通用しなくなっているのでチェンジが必要だ」とあった。農業だけでたどり着けないので他の部局との連携が必要になってくるのだが、移住・教育のイメージがわからないのでお伺いしたい。
小原壮太郎 宮崎県の高鍋町には農業高校もあって。
高鍋町役場 県立の農業大学校と農業高校がある。宮崎県が後押したこともあって、有機農業の講座があるので、令和6年に徳江さんに来てもらって大きな話をしてもらっている。有機JASの取得も目指している。実際、農業高校では施設栽培で有機JASを取得している。そして、高鍋町が令和3年から徳江さんと契約を結ばせてもらって、有機農業の実践について無料で講義を受けられるようにしている。なお、隣の木城町の方が有機農業の歴史が長い。
肘屋 木城町は何のために有機農業を広げるのか。子どもたちへの食、そして、生き生きとした環境のことを考えて仕事をしている。生産者のサポートと新規収農者の確保、オーガニックを中心としたまちづくりを考えている。さて、先ほどの浜田市の話だが、町村だと横の手間が取りやすい。中山間池の地域再生に有機を。JASの需要がないので、有機農業推進室として、まちづくりから色々できることをやっている。
小原壮太郎 連携は川上と川下で二つの町が連携してやろうと町長同士が連携している。徳江さんが指導されて、有機JASの認定組織を作っている。これは広域連携で担い手作りとかの仕掛け作りのモデルかなと。三重県の尾鷲市さんも地域おこし協力隊で甘夏の生産者を確保されていると。
尾鷲市 漁業、林業の町だが、衰退が続くとこのまま続けられるのかなと。農地も少ないが、斜面地に70年も続く甘夏もほぼなくなりつつあった。次世代のためにも特産品を残していけないかと。そこで、新しい事業に飛びついた。移住も協力隊とか外部を取り込むことをしているが、地域での人材不足は本当にやばい。
小原壮太郎 日本MX協議会の理事もやっているのだが、田辺町の梅の事例で言うと自腹で交通費を払って収穫体験をするものがある。ビジネスワーカーは体験日は無料。それも、無償で働くために飛行機、宿泊費を使ってくる。そして、満足度が98%でまた来たいと。これはユニリバーで取締役をされていた人間が始めたプロジェクトなのだが、移住者が増えていると。農水省と連携して企業の幹部の研修プログラムとして須崎とか、尾鷲市とか能登町とか富山の魚津市とか。都会の人間は、研修を見ていても都会で人間性を削られている。仕事をしていて30年、涙を流すことがなかったとか。それが、ツアーに参加したら、泣いたり怒ったりできるようになったとか。表情がないので「フランケン」と言われていたのが―僕も以前はそうでしたが―変わったと。つまり、お金を払っても来たいという都市生活者はいるのでそれを呼び込むのもありかなと。
そして、高鍋町のように農業大学校とか資源があるので。オーガニックも60を超える企業があるし、港区でも食の物流が作れなかったのでビビットガーデンが協力してやるとか。世田谷区でも「風水プロジェクト」という流通会社が独自のものをやっている。品川区は「大治」が入って流通を変えているし、坂ノ途中もやっている。知っているようで知らないこともあるので、つながっているようでつながっていないので。
石井智康 いすみ市は有機農業で有名なのだが、自分は農に興味を持っているのだが、隣町の方が教育が充実しているので、住民ベースで見たら子育てに優しいというと声もある。オーガニックと言っても価値を上げていくには隣の部署と連携することが重要なのかなと。非常食もあるので、市長のトップダウンで部署を無理やりつなげてくれるとできると。話を農政部局に持っていくと動かない。連携することでできるイノベーションのインパクトが大きい。一部署でできることは限られているしすでにやられている。共通目標を見つけることが今日の「坂ノ途中」のセオリーチェンジになるのかなと思っている。
小松光 先ほど関係人口が増えているという話があったが、関係人口は国の統計が出している。また、観光についても国がデータが出している。先日も奥出雲町に行って「移住者を呼びたい」と言われたので、関係人口を調べたらトップ近かった。だったら、その人に対して何をプレゼンするかと。
徳江倫明 ライフスタイルは暮らし方。まさに地域づくり。すると横の連携はあたり前の話なので。木更津市は最初から地域づくりをテーマにしてきた。高鍋の町長も木更津への視察から帰ってきたらすぐに地域づくりになった。三好さんがちょうど地域づくりで関わっているので三好さん。
三好智子 私よりもこの前の席に木更津の担当者の方が座っているのでその方が話した方がいいと思うのだが。
木更津市 木更津市はオーガニックのまちづくりをしている。有機とか持続可能なまちづくりということでオーガニックシティフェスティバルを市の創設記念日にやったりしている。市全体で有機だけでなく、地域循環共生圏、里山の活用とかを8つの部会でいろんなことをやろうとしている。オーガニックな取り組みとしては木更津で有機米に取り組んでいる。昨年で達成率が60%。まだまだ100%に届いていないが、イネカメムシが問題になっている。全体の取り組みとしてオーガニックなまちづくりを進めているのが木更津であると。
小原壮太郎 三好さん何か補足はありませんか。
古川 高鍋町だが、オーガニックフレンズシティは、自治体同士の連携なのだが、自分のところでの有機が50%なのに、他所に出すのかと。こうしたジレンマを解消できていない。R4年、R5年は走っていたのだが、だんだん課長もうるさくなってきている。「他所で売るのは100%いいのだ」というと、なぜ中で100%に行かないのかと。それには、外堀を埋めるのが必要なので、泉大津市と連携をと。自治体でも内部でジレンマがある。減農薬系は「みどり」の中では認められるのだが、有機系は安価でないと認められない。有機JAS認証は少量多品目とは相性が悪い。企業や輸出には相性がいいのだが。
小原壮太郎 いま、古川さんからリアルな行政マンの話があった。トップダウンで有機専門の部署を作られたと。そして、肘屋さんからは専門であるがゆえに包括的に動かれていると。縦割りをつなぐのが大変だと。こうした結果、古川さんの悩みも解消されるのではないかと。
肘屋 連携というと僕は自分の夢を庁舎内で発信するようにしている。まちづくり担当なのでそれができちゃう。予算を取るので一緒にやろうよと。労力はこちらで持つので、巻き込んでいるのが手っ取り早い。自前で100%でないのに出していいのかということだが、小さい農家をたくさん捉まえたいのが僕の気持ち。兼業でも専業でもいいのだが、こだわった野菜を作ってくれる。それが入ってくると魅力的になってくると。横の連携プラス自分の関係を組み込んでいくこともしているので。
農水省の感想
小原壮太郎 では、農水省の方から感想を。まずは、鈴木課長補佐から。
鈴木課長補佐 いくつかご紹介させていただきたいのは、9月の末に文部科学省と連携で地場産物を活用するためのガイドブックを策定した。千葉県のいすみ市、長野県の松川町、一般的な課題とか、わかりやすくまとめた。また、オーガニックビレッジでは有機JASのための費用が出ているが、生産者の受講料とかを「次代の食と農を作る会」が事務局になっている補助事業がある。
関東農政局 環境とかみどりとかをこれまで担当していなかったので、感想を述べたい。書類処理や計画書で忙殺されているのだが、初めて現場のことがよくわかった。来週以降の仕事に活かせるかなと思っている。
松本課長 今日は、オーガニックビレッジの推進で「こうして欲しい」「ああして欲しい」という要望があるのかなと思ったら、さらに進むために努力をされていることを皆さん発表されていた。オーガニックビレッジを担当されているのは優秀な方たちなのかなと思った。また、有機農業が目的ではなく、いかに街をよくしていくかを考えている。一方で、限られた財源の中でされていることがよくわかった。財源問題は大きいと思う。
坂本 石井食品の商品開発部の坂本である。京丹波町と連携しているのでそれについて話をしたい。今年の10月から減農薬に取り組んでいる。京丹波町は2005年に三つの町、丹波町、瑞穂町、和知町がくっついて誕生したが20周年なので、特別メニューを給食で出そうと。それがマメ炭ハンバーグである。小豆と黒豆をキジに練り込んで、表が黒お豆にした。これは、子どもたちにも覚えやすい。こういうことで地元の特産品を知ると。そして、美味しい。
小原壮太郎 いまの話だが、今日の午前中の話の中で、食糧安全保障の関連で世田谷の中山みずほさんという区議さんが話をされた。23区での有機学校給食の推進には私も関わらせてもらっているのだが、裕福なので、東京都と区の金ですでに給食の無償化ができている。また、現場では調理師から「同じ規格でないと皮が向けない」という声が出ている。しかし、石井さんは手作業で外出して委託できていると。加工の部分がボトルネックであればそういうところに加工品を入れると有機給食が可能だと思うのだが。
石井智康 加工ペーストで保存性も高まるので。
徳江倫明 今日は野菜の一次加工の話をしてくるのかなと思っていた。調理師の過剰労働になってしまうケースが多いので、その一次加工を、煮るとか蒸すとかで供給すると学校給食にとっていい話となると。昨日は有機の冷凍野菜の人たちの話もでたが、それは、神戸にもいる。それが合わさってくると供給の仕方としていい形が作れるのかなと。
小原壮太郎 では、徳江会長からの最後の締めの言葉で終りたい。
徳江倫明 今日、首長さんの会が動き出したことはとても大きい。呼びかけ人の亀岡市の桂川市長がいま動き出している。京都まで行って「どう動くんだ」と市長と確認させてもらった。首長が横につながることがすごく大事である。今日は、非常に希望が持てる提案ではなかったかと。自治体と組んで仕掛けを作っていきたい。キッチンカーの協会があるが、そこの協会が、防災は大きな問題でキッチンカーの基地があって備蓄米とか、何かあったら動けると。同時並行で実現性が高まってきているので。そういう動きもあって。農業法人も作ってかなりの面積で農業法人も設立して。私も長年動いているがここに来て急に発案して動いている人も増えてきているので。この回も続けながら、自治体として動ける体制ができればと思っている。
編集後記
この内容は2024年10月4日(土)に浜松町都立産業貿易センターの第3会議室で、日本オーガニック会議と全国有機農業推進協議会の主催により、12:30~14:30にかけて開催された「第2回オーガニックビレッジ連携会議EAST東京」の意見交換会の内容をメモしたものである。録音等はしていないので正確さを欠けるがやりとりの雰囲気を感じていただければ幸いである。なお、昨年の事例はこのサイトから動画発信されている。






