2025年11月28日
今年の作柄を振り返って―②病害虫問題について
今年の作柄を振り返って―①気候変動と夏の猛暑について
鳥獣害被害
2025年11月13日
変わりつつある「環境負荷の小さな農業」の広め方~ディスカッション
変わりつつある「環境負荷の小さな農業」の広め方
2025年11月13日、坂ノ途中の研究室の主催により「サスティナファーマーズラボVol.12 」がオンラインで開催された。普段は、農家が対象だが、今回は一般人も申し込めば参加できた。
画像キャプチャー等は禁じられていたため、本稿は、それを聞きながらメモしたものである。あくまでも、オンラインでの聞き取りメモを再整理させていただき、見出しも勝手に付けたものなので、正確さは欠くものとご理解いただきたい。後半のディスカッションに続く。
2025年10月21日
「日本有機農業研究会シンポジウム ―「令和の米騒動」と「百姓一揆」を根本から考えようのまとめ
2025年10月14日
「日本有機農業研究会シンポジウム ―「令和の米騒動」と「百姓一揆」を根本から考えよう 意見交流
司会 食政策センター・ビジョン21代表 安田節子 アメリカとの関係からコメ問題について少し述べさせたい。米農家はこの20年で半分以下に激減して100万戸も廃業しています。日本はアメリカが振るう「食権力」の対象でその餌食になっていると思わされるんですね。
このたびの米不足、価格高騰は日本の農業衰退が顕在化したと思えます。コムギの大量輸入によるパンや麺等のコムギ食が国民の食生活に根付いて、その一方、コメの消費が減り続けています。コメが余って米価が下落するのを防ぐためとして減反が続けられ、今日まで実質的に減反は続いてきました。減反で生産量は毎年10万トンずつ減少しています。
それから、アメリカが主導した自由貿易協定によるミニアムアクセス米による輸入が国内農業を疲弊させた要因のひとつです。加えてこのたびのコメ不足と価格高騰が輸入米を増大させています。安い輸入米が増えれば農家の稲作離れ、水田のかいはいが進みます。輸入米依存をこのまま放置していいのでしょうか。
アメリカ農務省の長期見通しというのが発表されていまして、10年後の世界のコメは輸入量に対して2,000万トンも輸出量が足りなくなると予想されています。10年後ですよ。日本がコメを輸入したくてもできなくなって飢餓の発生が起こりうるのです。水田を守り、増産をして、十分な備蓄が必須だと思います。
現在、100万トンの備蓄は消費量の1.5カ月分しかありません。少なすぎます。700万トンないしは1,000万トンの備蓄が必要です。備蓄米100万トンの買い上げや他にかかる費用は年間500億円だそうです。政府備蓄を10倍の1,000万トンにした場合、年5,000億円です。軍事費予算が年7兆円以上であることからすればわずかなものです。
国民にとって本当の安全保障は軍事よりも食料安全保障です。それに加えて、十分な備蓄をして、さらにフードバンクとか子ども食堂を通じたコメ支援を行って、海外への食料援助を行えば、目いっぱいに生産してもコメ余りの心配はないと思います。
それから、財務省。財務省は農水省の人員と予算を削減して、農水省の弱体化を進めています。備蓄米削減も要求しています。ひどいですね。そして、2027年産以降は、水田の維持と飼料の維持ということもあって、飼料の生産に助成をしていたのですけれども、それをはずして、青刈りトウモロコシの畑作生産支援に切り替えることにしました。水田を潰せば、田圃を維持する予算が節約でき、足りなければ輸入すればよいという考えなのです。大企業中心の財界は財務官僚の天下り先で、財界に忖度した市場原理主義の農政を進めているわけです。アメリカからの穀物大量輸入を国是とし、そのためには食料自給率をあげることができていないですね。自動車や工業製品を輸出する代わりに、食料輸入を求めてきた財界や財務省の意向の結果が、今日の農業衰退なのだと私は思います。
2023年に持続可能な農業に関する日米対話というのが始まりました。アメリカによる日本農政への介入ですね。2024年の第1回の会合では水田のメタン発生を減らすために中干しを延長して、ゲノム編集食品の開発情報の提供などが議題になっています。水田を減らせという圧力があるんですね。水田を減らせは、世界経済フォーラムのダボス会議から出ています。ダボス会議というのは、創設者のクラウス・シュワンというのが、キッシンジャーの指示して、グローバリストしての思想をダボス会議に集めた、世界のグローバル企業の代表や政治指導者に体現させる場なのです。
この7月のダボス会議でバイエルのCEOは、水田稲作は温室効果ガスのメタンの発生源として水田を問題視しました。私が思うに、世界人口の半分はコメを主食にしています。その中心はアジアです。連作できるコメによって人口が増え続けています。ダボス会議では人口増加を問題にしていますし、また、バイエルからの戦略はですね、おそらく、水田を畑地化すれば、広大な畑地が生まれます。畑ができます。そこに彼らのバイテク種子やAI等、先端技術を駆使したスマート農業で企業農業を行いたいというものではないかと思います。
日本の自給を支えるコメの生産を減じて少なくして、アメリカの食料に完全依存するようにさせたいアメリカの外交戦略。そして、バイエルら超国家企業の戦略が重なっているように見えます。
現在、農水省はメタン削減を掲げて乾田直播で節水型を推進しています。乾田直播はバイエルやBSFが先導してきた技術で彼らが販売する除草剤、農薬等の資材、そして、AI、大型機械が必要になります。現在、生産の8割方を担っている小規模家族農家は追いやられていきます。温室効果はCO2比べてメタンは25倍だといわれていますが、亜酸化窒素は298倍なんですね。そして、化学肥料の窒素が土壌中の微生物によって亜酸化窒素が発生します。水田からのメタンなんかよりも化学肥料の過剰施肥を由来とする亜酸化窒素の発生抑制こそが本命のはずではないでしょうか。しかし、それにはまったく触れない。メタンだけを問題視するのは、まさにご都合主義だと思います。
それから、もうひとつ。いま、アメリカが先導して始まったTPP協定ですけれども、日米合意文書で設置された規制改革推進会議と言うのがあります。これはアメリカの直接要求の窓口であって、種子法廃止とか農協組織弱体化の農協改正法を提起して実現させました。さまざまな手口で日本の農業潰しが進んでいます。この度のコメ不足は、アメリカの食の支配という外交戦略に追従する対米従属農政と財界に忖度する財務省が意図的に招いた農業衰退によるものではないかと思います。アメリカからの穀物大量輸入を国是とする農政では食料自給率をあげることはできないわけです。そして、自動車や工業製品を輸出する代わりに食料輸入を求めてきた財界や財務省が農業衰退を招いたのだと私は思っています。藤原さんの講演の最後にありましたソクラテスの言葉、「食料問題に無知なものは政治家になる資格はない」。これに私は同感いたします。コメを増産し、水田を守り、農家に農産物価格ではなく、生産費を基準とした直接支払い、直接補償をすることによって、再生産が可能になるようにすることです。水田の有機化を国家ビジョンに掲げて農薬大国を返上することです。私たちはもっとお米を食べて、コメを主食とする伝統的食卓を次世代に継承していかねばと思っています。以上です。それでは、意見交換をしたい。
H.H 農家の減少だけではありません。地方の人口減少も、クマなどの野生動物の増加も、識者には以前からわかっていましたが、マスコミも政府も不都合な真実を真正面から伝えてきませんでした。だから、コメが高い安いに偏った報道になったり、クマが市街地に出た怖い、といった報道が目立ちます。
R.J 農村の少子化は何が原因ですか。収入がないからだけでないようですが、結婚しない若者が農村にも多いようですが。
H.H 江戸時代中期、日本の人口扶養力は世界の4倍弱もありました。理由は、日本の降水量は世界平均の倍もあり、農家の努力で農業技術が発達し、食文化(和食)も発達したから。さらに、農村は農家による自治が行われ、努力すれば報われたことがありました。平和が長続き、農業や食文化の発達に注力できたことも大きいです。
T.I 熊の出没は、山のドングリなど食料問題もあるとは思いますが、太陽光発電や風力発電などの影響もあるのではないですか?
H.H T.Iさん、クマの専門家、兵庫県立大学の横山教授が、東日本で連日のようにクマが出没してニュースになるのは、
・クマ個体数が増加して、勢力圏も拡大していること
・人に慣れた個体も増えていること
・今年はどんぐりが凶作であること の三つが関係しているとまとめています。以下のリンク動画、参考にしてください。
K.N 大学生です。拙い意見を失礼いたします。貴重なお話をありがとうございました。藤原さんのお話は、食権力の「砂時計」の考え方に納得しました。食料はなぜ足りないのかという議論は私の通う大学でもありますが、その議論の帰結は必ず「食品ロス問題」に矮小化され、食べ残ししないようにしよう、という具合です。しかし本当に見るべきは穀物メジャーによる意図的な食料配分の操作であるのに、そこが捨象されることに強い疑問を感じています。その議論に対していみじくも言いえた、というお話で、大変聴き応えがありました。
天明さんのお話では、農民の最後の砦である「技術」が企業に掌握され、農民が部品化されていくという指摘に納得しました。農業の効率化がこれからの農業だと喧伝する人たちがいますが、それは自然に向き合うことを阻害し、農業の真なる意味を蹂躙してしまうということにつながりかねないと考えさせられました。効率化がもたらす物事の真意の損失を考慮に入れ、農水省は省力化一辺倒の考え方をやめさせるべきだと思います。
館野さんのお話では、消費者の起こす価格に対する不満である「米騒動」は語るのに、農民の米価低迷による「百姓一揆」は捨象してしまうナラティヴの偏りに納得しました。米価は長年低迷してきたのに、いざ少し価格が上がった(戻った)時には騒ぎ立てる。農家の惨状をなかったことにしかねないあるまじき報道の偏りで、多くの人の考え方をゆがめるでしょう。有機米と慣行栽培米を一緒くたにして考える市場原理でも、食をいのちとしてみる価値観もそがれていくのだと思いました。
K.M 報告です。私たちの山間ではすでに技術を失い、ほぼ100%の農家が、言われた量の化学肥料、農薬で稲作をしています。窒素をどれだけ入れているかもわかっていません。すでに農業技術は肥料会社、農薬会社のものとも言えます。そうなって数十年たち80歳以下はそのような農業知識で営んでいるのが現実です。新潟はまだかもしれませんが、私たちのところがすでにそうなって久しい。そのような今、どうすべきなのか考えなくてはと思っています。
K.H 米の先物市場の存在も気になっています。日本人の食糧がマネーゲームの餌食になっていくのではないかと心配しております。今回の米価の急騰の一因になっていないのでしょうか。そして、来年以降の暴落の引き金にならないのでしょうか(それを目的としている勢力が暗躍していないか)。経済の話は私にはちんぷんかんぷんですが、もし、詳しい方がいらっしゃればお考えを聞かせて欲しいです。
T.T 乾田直播の除草剤の散布量、回数は目に余るものがありますが、そのことをもっと知ってもらわなければいけないような気がしています。
M.A 私は除草剤や化学肥料、農薬不使用の節水型ではない乾田直播稲作を20年以上実践しています。技術的には機械除草、合鴨、ジャンボタニシなどを組み合わせて雑草対策を行っています。
S.K 水田による水保全を無視した農水省の政策乾田直播きの急推進は怖いのがよくわかりました。農薬・除草剤・肥料の問題も大きいですが、水不足の不安が重大です。
H.H 自分の住む東北地方ではツキノワグマが増加率20%で増えている可能性が、専門家の先生(兵庫県立大学の横山教授)によって指摘されています。4千頭いるとすると、たった1年で800頭です。これでは、近い将来、安全な営農も安全な日常生活もできなくなりますよ。なお、出典は「「日本は全世界でも緊迫した状況」クマ被害相次ぐ背景に“2つの不足”【サタデーステーション】(2025年10月11日) 」18分頃です。
W 貧乏子だくさん。環境が悪化していて生存が危ぶまれている状態だと、母体は危機を感じ、子孫を残そうとする。現代は豊かで幸せであり、子孫を残そうとする必要がない。必要以上に増え続けることは争いのもと。少子化対策は貧乏になるのが手っ取り早い??。作物のタネも同じだと思います。 そこに立っていたくないから、タネ(子孫)を飛ばして他の土地で生存をはかる。
館野廣幸 乾田直播の問題点は、農薬多用と水問題以外にも農地の二毛作などの農地利用の問題もあります!
安田節子 チャットでは熊の出没とかの意見があるが、節水型乾田稲作を農水省が進めているが、それについて魚住さん問題点をご説明いただきたい。
魚住道郎 まあ、畑作ではないにしても、除草剤がどうしても必要になってくる。これは、グリホサートを始め大量の除草剤を導入せざるをえなくなる。それよりも、もうひとつ私が心配しているのは、この異常気象の中で、水田のダム機能、そして、森に降った雨、ないしは平野部に降った雨をどれだけ地上部に保水するか、ないしは、地下水として保全するか。これは飲料水であったり、灌漑水として我々は利用しているわけだから、これをすっと海に流してしまうことは自分たちの命に係わることですから、ここで、やはり伝統的な―非常に平野部が少ない日本の中で急峻な地形ですのですぐに海に水が流れていく中で、先祖が溜池を作ったり湿田を維持したり、水田と言う機能の中で、浅井戸から深井戸までの水を確保しながら、自分たちのいのちをつないできた歴史があるので、水田という穀類と水の保全と言う意味で、稲作というのは、アジアに生きる人々の、百姓の、ないしは都市住民のいのちを支えてきた農耕生活、農耕文化であると思う。
気候と自然の地理的な要素を含めて、我々が巧みにいのちを養ってきた歴史があるので、これがいま、言われている穀物メジャーだとか、アメリカの食料戦略の延長線上で財務省なり農水官僚が、そして、政治家が異を唱えることなく、日本の工業、端的に言えば、自動車産業を保護するために農業を犠牲にするのはやむを得ないと。「苦しくなれば輸入すればいいだろう」という非常に安直な発想の下で国際分業まで、騙されて食料基盤を失ってきた歴史があるので。それともうひとつ、自分たちの食料生産と国内の工業的な基盤も東南アジアや外地に生産拠点を移したことによって、自分たちの技術力も海外移転してしまったと。非常に国力そのものの空洞化も進んでいるような気もします。その中で、農山村部では飯が食えない。米価が下がり、先祖から引き継いできた農地をコツコツ、コツコツと丁寧に耕してきた農地を手ばなさざるを得ない。耕作放棄地にせざるをえない状況になって、担い手になっている次世代は、みな都市部に集中して労働者化し、しかも、労働者化した人々が正社員にもなれず、非正規雇用される状態で、いまの価格高騰にあえいでいる。そこにコメの高騰が重なって、非常に食料品全般が、物価があがり生活で非常に苦しんでいるのが現状だと思う。
そこで、私は、解決策として、明後日、農水省で会議があって「日有研」も呼ばれているので、私は都市住民と生産者とが出会う場で、いま現在も足立区の都市農業公園、そして、世田谷の桜ケ丘農業公園で、有機農業の畑作、稲作を展開していますけれども、これは都市住民にもよく理解してもらえるような有機農業公園の設立を全国展開したらどうかということを提案しようと思っている。 ここでいかに生産現場に立てる人間を養成していくかということが、若い人を含め、定年退職近くなった人、あるいは、なった人も工業でボロボロになった肉体と精神を農地で解放してですね、精神的にも自然に還るといいますか、のびのびやっていただくという意味で、農村部にどんどん入っていくような運動を広げられたらいいなと思っている。
安田節子 ありがとうございました。チャットもいくつかご意見が出ているんですが、時間の制限でここまでにさせていただきます。
編集後記
2025年10月14日、日本有機農業研究会の主催により「日本有機農業研究会シンポジウム ―「令和の米騒動」と「百姓一揆」を根本から考えよう」がオンラインで開催された。本稿は、意見交換の部分を取りまとめたものである。あくまでも、オンラインでの聞き取りメモを再整理させていただき、見出しも勝手に付けたものとご理解いただきたい。なお、チャット蘭については貴重な意見が多く寄せられたし、これがなければ、最後の魚住理事長の発言につながらないと思うので、イニシアルにしてメモを転記してみた。なお、「安田さんには、いいたいことがたくさんあるのはわかるけど、司会者が質疑応答時間をほとんど使ってしまい、最悪の進行でした。例えば「日本が農業のない国になりつつある」こと、多くの人が気づいていないでしょう。安田さんがしゃべりたいなら、藤原さんの基調講演なしの方がよかったです」といった意見があったことを申し添えたい。
米騒動は危険な社会の入口 ― 稲と米をめぐる諸問題
米は命、村なくして米なし―競争から共生の米政策へ
2025年10月14日、日本有機農業研究会の主催により「日本有機農業研究会シンポジウム ―「令和の米騒動」と「百姓一揆」を根本から考えよう」がオンラインで開催された。
本稿は、有機農家の現場から①「米は命、村なくして米なし―競争から共生の米政策へ」と題して、新潟県上越市、星の谷ファームの天明伸浩さんの講演内容を取りまとめたものである。あくまでも、オンラインでの聞き取りメモを再整理させていただき、見出しも勝手に付けたものとご理解いただきたい。






