2026年07月10日

有機農業運動から「運動」が脱落すると何が起きるのか

近畿大学名誉教授 池上甲一

有機農業が産業主義的な方向へと舵を切っている

 コメント、何をコメントしていいのか。これだったらコメントになるかなということを勝手に想像してきました。私の考えを発表することになるかもしれませんが。この会議に来る前に農林水産省農産局農業環境対策課の有機農業推進班の方とお会いしてきまして、いま問題になっている有機農業推進基本方針の原案が昨日、有機農業部会で提出されたということで、その資料をいただいて少し説明を受けてきました。この有機農業推進基本方針もそうだし、数日前にも財務省が有機農業への転換事業に対して予算の執行状況を点検したところ生産性が下がっていて、食料安全保障に問題があるから、有機農業の推進を止めろとまでは言わないけれども、「有機農業推進の概算要求に反映しなさい」というコメントを出したり、新しい水田活用の交付金の全面的な見直しの中にもみられるのだが、産業主義的な政策に舵を切っていく。舵を切っていくだけではなくて、財務省から言われるので仕方がないのかもしれないのかもしれないけれども、財務省に媚びへつらわないと予算がもらえないと思い込んでしまっているような気がして。そういうような感触や感想を持ったりしました。それについても後ほど申し上げたいと思っています。

 さて、今日、コメントしたいと思っているのは、有機農業運動から運動を落としたらどうことが起きるのか。そういうことへの私の考えをご報告して、一番、最後に付けたしで、お二人に質問をしたいと思います。

いまに生きる一楽ブランド

 20260710018.JPG雨宮裕子さんの報告にもありましたが、徳島県の小松島市のJA東とくしまの直売施設「あいさい広場」には「一楽米」があり、このように写真付きで売られています。ただ、小松島にあるのは一楽米だけではなくて、コープ自然派の「コウノトリのお米」、そして、「いのち育む田んぼのお米」もあります。

有機農業運動からオーガニックへ:全体的な俯瞰図

20260710019.JPG そして、これまでの日本の有機農業運動をふりかえって、おざっぱですけれども4つくらいの段階にわけられるのかなと思っていまして、その全体図です。

 いわゆる第一世代、第二世代、第三世代、いまは第五世代になっていると思いますが、第三世代と第四世代はあまり差がないと思っています。

初期の有機農業のモメンタム

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 最初の頃の第一世代の大事な点は、雨宮さんの立派な大著を読んでいただければよくわかると思いますが、農民運動と消費者運動と農村医療運動が統合されるような形で有機農業運動が展開されたことだと思っています。その中でも一楽さんが役割を果たされたわけですが、柳瀬義亮さんや若月俊一さんと一緒に推進されたと。そして、私は、あまり存じ上げていないのですが、いま、日本有機農業研究会でお医者さんは何人くらいいるのでしょうか。

久保田裕子 ごく少数

 それから、研究者も減っているのではないかと思います。初期の頃にはいろんな人が集まって多様な意見をぶつけて運動を展開していた。それが、重要な役割、特徴ではなかったかなと思っています。

有機農業の事業化と提携後退の兆し

20260710021.JPG それが、1980年代~1990年代の第二世代になりますと、提携だけではなかなか有機農産物に手が届かない人たちにも有機農産物を届けようということで、事業化、第三世代になりますと、配送の事業化が始まってきて、それとともに、提携が少し後退していく兆しがみられたと。「らでぃっしゅぼうや」とか「大地を守る会」とか、「オイシックス」とかがの配送事業者が誕生して、いまは経営統合して、「オイシックス・ラ・大地株式会社」になっているわけですね。ただ、同じ株式会社という形式をとっているのだけれども、京都の「安全農産物供給センター」とはちょっと対称的かなと思っています。オイシックスは株式を重視しなければならないのでなかなか社会的な発言がしずらいと。藤田和芳さんが追放されるのは、原発の処理水の放水をTwitterで「汚染水」と書き込んだことが問題となったらしいのですが、そういう形で忖度をせざるを得ない。それに対して、安全農産はメンバー重視で配当がない。私も株主なのですが、供給センターがちゃんとたちいくような出資金。同じ事業化をしていても、事業体の性格の違いによって運動性が担保できるかどうかで違いが出てくるような気がします。

現代有機農業のモメンタム

20260710022.JPG そのあと、有機JAS制度のような表示の問題、そして、有機農業推進法が2006年にできて、ここにおられる皆さんも多大なご苦労をされたと思いますが、そのあたりから、有機農業の表面的な捉え方が出てくるのではないか。初期の頃の捉え方と少し違う方向へと一般的な理解が広がっていったのではないか。邪推でなければいいのですが、そう考えています。有機農業推進法の定義ももう一度、議論する必要があるのではないかと思っています。こうして、有機農業運動が有機農業ビジネスへと変わっていってしまって、本来的な有機農業、多品目少量生産の有機農家とモノカルチャー型の有機ビジネス界との間で二極化が進んでいるというのが私の感じです。

農政の「大転換」だった? みどり戦略

20260710023.JPG その後にみどり戦略が出てきたのですが、このみどり戦略の中に有機農業が政策的に位置付けを与えられたことによって、有機農業の目標が脱炭素へと矮小化された。手段として、オーガニックビレッジとか、有機学校給食とか、環境負荷低減事業とかへと矮小化されてしまった。オーガニックビレッジも160近く大幅に増加したのだけれども、実質はなかなか厳しい。内実が伴っていないものがかなりあって、当面の予算支援期間が終われば、また元の木阿弥と思われるところもかなりあると。学校給食もとりあえずオーガニックビレッジの予算があるから出しておこうと。これが5年たったらどうなるかとちょっと不安です。しかも、学校給食が無償化ということで親の負担がなくなったということで。もちろん、学校給食を運営するうえではお金がいるわけで、それは市町村の予算からでるので、逆に質が落ちるんじゃないかと心配している給食担当者もたくさんいます。まだ、始まったばかりなのでわかりませんけれども、そこも検証が必要かなと思っています。

産業主義化に向かう有機農業と有機農業叩き

20260710024.JPG そして、最後の産業主義化の現段階ですが、とにかう、有機農業の基本方針が強調しているのが、広域流通して供給力を強化する。とにかく、全国を流通させる。それには、ロットを大きくする。そして、輸出をしようと。前の2022年の基本方針に比べるとこのあたりがかなり目立っています。スマート有機農業とかがかなり強調されていて、高市首相が陸上養殖と植物工場を盛んに言っているので、植物工場も少なくとも農薬を使わない、化学肥料も使わないことを売りにして販売していくと。植物工場が有機農業とは思えないのだけれども、そういう分断も出てきている。

 国の税金を使っているのだから、たくさんとって、食料安全保障に貢献できるようなことに使えということを財務省から指摘されたわけですが、これに対して、鈴木農相は「お説ごもっとも。単収増も必要だと。違う見方、複合的な見方があることを主張して欲しかったのですが、どうもそうはならない。有機農業の捉え方が、変質しつつある。食料安全保障がまた量に戻ったと。せっかく、食料農業農村基本法で国民一人一人の食料安全保障ということで、アクセスビリティの改善に舵を切ったのに、またたくさんとるという方向に切り替えなさいということで、ものすごく危機感を感じます。

消費生活者にとっての有機食品

20260710025.JPG 有機農業が誕生してすでに半世紀以上、有機農業推進法ができて20年。なのに、ファーストフードとかでも、ハンバーグでもレタスが有機であるのを売りにしているのもあるにもかかわらず、有機オーガニックという言葉を初めて聴いたというのが、6.5%だし、言葉は聞いているけれども内容がわからないというのが55%いる。だから、無農薬栽培とオーガニックと有機とどれが一番いいんですかという聞き方になってしまう。そこでも認識が違う。オーガニックライフスタイルエキスポを東京で十数回、徳江さんが一生懸命やっていて、3年前から京都でもやるようになりまして、ここで日本の有機農業は小さいといわれているけれども、いろんなセミナーがあって面白いのです。変容してきた食品安全性の焦点も変わってきているのですが、時間がないので省きます。

有機農業への山下惣一氏の違和感

20260710027.JPG そして、同じ農民作家、農民芸術家、星寛治さんと山下惣一さんですね。星さんはご自身の健康問題と環境問題と地球への危機感から有機農業に入りましたが、惣一さんは有機農業が嫌い。それが、まだまだ特別視されて一人歩きしているところが嫌いであった。ビジネスになるので好きではなかった。違和感があることももう一度見ておきたいと思った。

産消提携の専業主婦モデル

20260710028.JPG そして、参照提携がよく言われていますが、専業主婦じゃないとなかなか対応できないということも言われていて、私も結婚以来、京都の使い捨て時代の会員なのですが、班のメンバーとして、ちょうど同じくらいの子供がいたのですが、中高生になるとやめてしまう。子育て終了で抜けてしまって、ちょうどM字カーブで提携の関り部分が細っていくと。

演者への質問

20260710029.JPG で、雨宮さんへの質問ですが、原点に帰ることの重要性。どう原点をいま読み解くのか。それをもう一度考えてみたい。漢字でかく「提携」と海外に伝わって「TEIKEI」になると意味が違うようなので、そのあたりもお聞かせいただきたいと思っています。また、消費の一局面、食べることだけでなく暮らし全体をエコにすることはとても重要だと思います。

20260710030.JPG それと、伊丹さんの報告ですが、生協運動が市民運動の中で、どのような位置づけになっていくのか。主婦、婦人、消費者。言葉が違うのですが、それから今日いただいた資料に「雨宮さん」の余白があって。最近、流行っていまして、ジェームズ・スコットのモラルエコノミーもそうなのだが、国家の余白に生きる人々がいると。その積極的な意味は何なのか。それを聞いてみたいと思います。また、認証の評価もエコラベルのサイトによると199カ国で25業種、456のラベルがあるそうです。まさに、ラベルが氾濫しているわけで、この中に有機J ASも埋め込まれて、埋没している。そういう中で、PGSをうまく位置付けられないかとか、学校給食であればもっとほんわかとした、確認しあう現場を知るという感覚でできたらいいと思っています。

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戦後生協運動の発展と提携の現在地を考える

法政大学大学院公共政策研究科教授 伊丹謙太郎

食は平和運動とも直結する―考える生産者を作り育てる有機農業運動

 私の専門は国際開発経済、賀川豊彦が生きた時代、1920年代、1930年代の協同組合、産業組合運動について色々と勉強をしている。それと同時に、現代において協同組合運動はどこまで可能性があって逆に何が足りないのかを考える。そのひとつの補助線となるのが社会的連帯経済という考え方です。池上先生もよく言われる社会運動論が専門になるのかもしれませんが、それもただ頭の上で思い描くものではなく、やはり胃袋と直結するようなリアルな生活とのつながりの中で社会のあり方を考えている。それも皆が考え、皆が連帯していくことが重要であると。それも、戦前からあった。なぜ、生協運動に魅力を感じるのかというと、それは食だけではなく、食そのものが、賀川豊彦が非常に重視した平和運動とも直結するんですね。自分の日常の暮らし、どういう社会を実現しなければならないのかを考えるうえで、皆が連帯して協同していく。それは必然的に食の問題、平和の問題というマクロな問題と直結しますし、「○○主義」とは一線を画したものがあるのではないか。それ自身が非常な魅力です。考える農民を作り育てることが有機農業だとすると、考える消費者を作り育てることが生協運動で同じような目的ではないかと思いました。同時に生産者と消費者が相互に学び合えるのが産直ではないか。こうした歴史があるのではないかと思う。

今だけ金だけ自分だけは助けを求められない社会システムが生み出す

 つながりを実装する社会的連帯経済だが、そこで、何が重要なのかというと、皆が分断されてしまっていて、分断そのものが不幸を生み出している。何をしているかがわからない。それぞれが一人で孤独でもがき苦しんでいる。産直提携で色々な人がつながることで、連帯することで何かが生まれるというのが社会的連帯経済の鍵となるコンセプトなのですが、今の日本のメンタリティー、私たちが日々何を考えているかというと、農業経済学者の鈴木宣弘さんが語っていますが、「今だけ金だけ自分だけ」。これが、代表的な日本のメンタリティーになってしまっている。実は、「今だけ金だけ自分だけ」というのは、悪い意味ではなく、それだけしか考えられない方向に一人一人が追い込まれてしまっている。「助けて」と言えない社会に日本がなってしまっているがゆえに、先のことが考えられない。お金のことしか考えられない、自分のことしか考えられなくなっている。それに対して、一緒にこう解決していかないかという方向に切り替えなければならない。そのつながり方を考えるのが、社会的連帯経済であって、「今だけ金だけ自分だけ」が進んでいくと、全体が沈んでいく。そこで、初めて「そうか、こんな社会ではいけなかったんだ」と気づく。しかし、それでは、もう何もできない。もはや遅すぎる。では、今の時点で、今だけではなく、お金だけではなく、そして、自分だけではない社会運動をどう作っていくか。

グローバリゼーションへの反対だけでは狭くなるので広い連帯が必要

 つながりの経済、つながる経済、それこそが新しい経済だということで、この議論が始まったのは2000年前後、「もうひとつの世界は可能だ」というスローガンを掲げて、「世界社会フォーラム」が、「オルタグローバリゼーション」という考え方が出された。弱肉強食のグローバリゼーションが広がっているから、それをなくしていかなければならない、反対していかなければならないというのが1990年代の流れでした。それが、少し変わって、反グローバリゼーションではなくて、オルタグローバリゼーション、別のカタチのグローバリゼーションを考えていかなければならない、へと変わった。

 なぜかというと、現状のグローバリゼーションを批判する反グローバリゼーションは人々をより小さい狭いところに閉じ込めさせてしまう。そうではなくて、広い連帯、つながりが大事であると。お金だけでなく、どう人々がつながれるかを考えたのが社会的連帯経済で、そのモデルとして語られたのが、フリートレードに対するフェアトレードでした。これは、まさに、生産者自身と消費者とがしっかりと結びついてお互いが考えながら経済をまわしていくということで、日本では国際産直ということで、日本国内での産直運動の精神を国際的に展開しようということで試みられてきた。一方で、フェアトレードで認証マークが広く普及する。これそのものは良いことで、システム化されている。しかし、そこで失われている精神もあるのではないか。今日もみどり戦略システム戦略をイノベーションを通じて広めていくのは眉唾ではないかという話もあったが、これも通じる話であって、スケールする、拡大していくためには、フェアトレード認証のようなわかりやすいシステム化が効果的かもしれない。しかし、フェアトレードマークがついたものを買えばそれですむのかというとそうではなくて、本来的には遠く離れた生産者との消費者との連帯、交流を重視するのが産直でありフェアトレードの運動であった。生産者や消費者、作る人や食べる人に対する想像力を失ってしまうような形で広がったら、それはいいことなのだろうか。そこには、ある種の課題を解決するために考えなければならないことがあるのではないか。

公助や自助の他に共助も必要

 実は社会的連帯経済では、公助や自助ではなく、「共助」がコンセプトになっている。我々一人一人が助け合っていく。かつての村落共同体においては、すべてが「共助」でまかなわれていた。相互に助け合っていきていた。しかし、公助や市場が発展する中で、人々はどんどん共助を失ってきた。

 20世紀は市場と行政との混合経済であったのだが21世紀にはそれが破綻していることが目に見えている。それが、社会的連帯経済である。しかし、難しいのは、市民社会の領域だけではすべての経済をカバーすることはできない。一部は政府の力も必要だし、一部はマーケットも必要だと。三者がどういう形でベストミックスができるのかが大きな課題になっている。そして、最近、新しい社会計画という言葉が流行にしている。20世紀まではすごく有効に機能していたものが、いま機能しないものが非常に増えてきている。もういちど、人々がどんな社会を目指すのかをしっかりと議論する形になってきている。

アメリカや北欧だけでなく南欧・フィリピンも参考に

 そうした中で、大きな話になったが、社会的連帯経済をわかりやすくすると、日本においては、他の西洋先進国をモデルにして、いかに日本でローカライズするかという歴史がずっと続いてきた。ある時代はアメリカだったし、ある時代はドイツであったし、福祉は北欧がモデルであった。日本にはいろんなものがアピールされてきた。スローライフでイタリアが着目されたりしたが、南ヨーロッパのモデルは、輸入・注目されることは、北欧、イギリスに対して着目されてこなかった。こういうことにチャレンジしているのが社会的連帯経済である。

 一つは推進する主体が中心にあるのは生協やN POとか共同組合である。社会的経済、民主的なことが組み込まれていることで、いくつか事例をあげると、例えば、フランスではローカルの有機農業を推進するAMAPがある一方で、遺伝子組み換え作物を推進する団体もある。いずれも協同的なものを考えている。東アジアでも、フィリピンは社会的連帯経済がロードマップになっていて、一番古いアヤラコーポレーションが直接かかわって推進している。大規模な事業体と共同でやることが望ましいのかと。日本ではフィリピンのあり方に極めて否定的である。どこまでもの資本への妥協が妥当なのか。そうしたことも時間をかけて考えなければならない。

いすみ市の時間をかけた話し合いでの共助は日本のモデル

 一方で、日本において、千葉県のいすみ市の有機給食、公共調達する動きが2012年から議論がはじまって時間をかけてやってきた。いすみでは生産者も行政も保護者も一緒に考えながらやっている。学校給食を有機農業にする動きはイノベーションのように急にはできない。社会的経済は非常にすぐに解決できるわけではないが、時間をかけて少し通津進んでいく。それぞれの当事者が一緒になって進めていく。遠い道が一番近道なのではないか。それが大事ではないか。

 それぞれの分野でそれぞれの授業が進めていくだけではなくて、いろんな領域が活躍していくと、大きなところでつながっていくので、全体の流れの中で自分はどのように位置づけられて、どのようにつながっていくのかを考える必要がある。消費者の組織者、生産者の冷帯だけでなく、そこにつながるようなシステムを作ることが社会的連帯経済である。

 市民社会だけでできることには限界がある。他方で、それをマーケットや行政だけにまかせ切ることもできない。それぞれのセクターが協力しあうひとつの例がいすみ市の有機給食の公共調達ではなかったか。そのやり方は、今日の日本における有機農業の議論と結びつくのではないか。

杉並区の岸本区政のムニシパリズムは社会的連帯経済の政治的な形態

 社会的連帯経済をいかにローカライズして日本社会に社会実装していくか。具体的な戦略として、最近「テリトリオ」というコンセプトを通じて社会的連帯経済を広げていくという概念がある。地域性あるかどうか。そこにかかわる主体が個別なのか複数で助け合っているのか。ボトムアップ型かどうか。また、イタリアとかでは広がっているのだが、日本型のやり方は、地域と地域が関われるあり方ではないかという議論もされている。最後に杉並区でも先日の区長選で岸本区長が再選された。岸本区長が提唱しているのがムニシパリズムでそれが区政の特徴になっているのだが、実はムニシパリズムというのは社会的連帯経済の政治的な形態だといわれている。この両者ともスペインで発祥して、スペインでどう地域を作るかの二本柱になっている。

 実際に岸本区政がどこまで進んでいるのか。区民からの評価は高いのだが、再公営化という言葉でムニシパリズムはイメージされがちである。だからこそ、水道代が高くなる。だから、水道とかをもう一度公営化しようとう単純化した議論とされているのだが、市民に取り戻すことがコンセプトで、市民のために取り戻すために公営化するということが重要であって、行政がサービスすることが大事であって、自治体である必要もない。自治体が予算を立てて地域住民がやることも議論していくべきである。

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2026年05月09日

杉並区から考える人中心のまちづくりー東京の創発的アーバニズムと自治体の役割

東京の西荻窪には世界が感じる魅力的なまちづくりがある

2026050901S.jpg岸本聡子 今日は、慶應大学理工学部のホルヘ・アルマザン(Jorge Almazán)教授との対談である。とても楽しみにしていた。ホルヘ先生と出会ったのは、2025年だが、朝日新聞に「東京をリデザインする」との記事を寄稿をされていて、大変に啓発を受けた。私は西荻窪に住んでいるのだが、その後『東京の創発的アーバニズム』の本が出ていて、そこでは、西荻窪と高円寺も登場するので是非お会いしたいと思っていた。今日は教授ではなく、ホルヘさんでいきたい。

ホルヘ・アルマザン 今日は皆さんと話せる機会を持ててうれしい。私は東京での生活が長くて20年以上になるが、色々と研究をして生活をしていると、すでにある本の中では東京の面白さがなかなか表現できていない。そこで、最初は2022年に英語の本「Emergent Tokyo: Designing the Spontaneous City」を出した。すると驚いたのは、これがアメリカでヒットして日本語の出版社もアプローチしてきて、日本語の読者向けに内容を調整したのだが、『東京の創発的アーバニズム』学芸出版社を出せた。世界で知られていない東京の素晴らしさが言語化されていない。そして、私は建築家なので良いところを書く。その背景として、私は2003年に来日したのだが、森ビルの六本木ヒルズにも行ったが、それよりも西荻窪の柳小路の方が国際的だと私は感じた。

岸本聡子 いまの先生の最後の言葉にエッセンスが出ている感じがする。それをさらに聴きたいと思う。先生の本を読んで面白いと思ったのは、暗渠ストリート、低層の密集地域は排除されやすかったりする。先生は建築家としてデジタルも使われているのだが、航空から解像度を上げていくと森ビルとか新宿の高層ビル街ではなく東京がこういう都市だということが新ためて浮き彫りになる。住宅地、低層密集地域が東京の中心で人が生活する街であることがわかる。本の中では様々な人の動きが紹介されているのだが、創発的、英語ではエマージェンスとは何なのか。西荻窪と六本木ヒルズの違いについて先生に聞いてみたい。

自然の秩序はトップダウンではなくボトムアップで創発されている

ホルヘ・アルマザン 本を書くときに優しい日本語を選ばなければならないと思ったのだが、新しい概念は必要なので、それを一般化したいので、あえてエマージェンス、創発を使った。エマージェンスとは、複雑性科学の概念で、ボトムアップでの小さい操作でシステムが自己組織化することである。よく秩序を考えるときにはトップダウンの命令で動く。体も脳でコントロールされていると直感的に私たちは思っているが、自然も動物もそうだが、実は意外にボトムアップで組織化されていること多い。鳥の群れが典型的である。空を飛行するときには矢印の形をとるので、鳥の先頭にいるのがボスだと思うのだが、そうではない。実は別の個体に代わっていたりする。そうしたことで見てみると都市も面白い都市はボトムアップなのではないか。トップダウンだと大体活気がなくなってコミュニティが衰退していく。20世紀のヨーロッパも創発的でないのでうまくいっていない。まちが人間によって、自然発生的にできているのが東京の面白いところではないか。そこには、世界の各都市が参考にするべきアプローチがあるのではないか。最後に他の都市もインスピレーションできる原理がそこにはまとめられているので、それでアメリカでの反響が良かったのではないかと思っている。アメリカの都市もヨーロッパの都市も問題を抱えているので、創発的に、段階的に漸進的に作っていくと魅了的な都市ができると。もちろん、中にはインフラのようにトップダウンのものも必要である。ただし、東京の面白さは創発的なものが強い。

黒か白かの二項対立で伐採された神田の並木通り

岸本聡子 創発的とは、色々な人たちがインターラクションする。相互にある種の化学反応を起こしながら自然な秩序を作っていくことである。それが杉並の面白さで魅力ではないかと。それが私にはとても心強いのだが、もっと先生にお聞きしたいのは、ホルヘさんはスタジオラボを作っている。建築設計事務所である。それは「共創の場である」としているのだが、大学の中でそんなことが可能なのだろうか。

ホルヘ・アルマザン それが日本の大学の良いところではないか。韓国もあるのだが、日本には他の国にはない研究室制度がある。そこが研究プロジェクトのための資金を集める。だから、日本では長期的な研究ができる。建築分野では丹下健三(1913~2005年)とか、長い伝統がある。自由度が高い。これは自分が作ったものではない。

岸本聡子 私はホルヘさんのことに注目してからYouTubeを見ていたのだが、例えば、千代田区の神田通りの樹木の問題がある。これに反対している住民がいて、ホルヘさんを呼んだ集会の和室で話されているのを見て、大学の中の学者や建築家が新しいことを創造していく姿をとても面白いと思った。

ホルヘ・アルマザン 千代田区の住民からはデザインを依頼された。実は神田警察通りの銀杏並木が千代田区によって伐採されると。その理由として、バリアフリー法によると2m以上の歩道の幅が必要である。立派な銀杏並木があってもそれが20、30cm足りないから伐採すると。それはあり得ないではないかなと。それ以外の解決法があるのではないか。住民の方と一緒に議論して、私は二つの代替案を出した。千代田区が決めた設計はどこにでもある設計である。そこで、この設計か、それとも、現状のままかということで対立することが多いのだが、実際には複数の案が無限にある。街づくりでは完璧な正解の答えはないのでトレードオフが必要である。そして、メリットとデメリットを比べてメリットが多い方を選んでいくことを私は示したかった。千代田区の現在の条例とかルールを守りながら、可能な限り銀杏並木を保全する設計案を提案したのだが、結果として、裁判で負けてしまったので伐採されてしまった。今は、幹が細い桜を植える予定である。

岸本聡子 エマージェンシーとか、複数の選択があるとか、いま、色々なキーワードが出てきました。1か100か、黒か白かの二項で対立することが多いし、それを私は世界中で体感してきたのだが、そうではない道を探したい。最適解を探していく作業、都市のデザインが本当に大切だと思っている。20㎝、30㎝だけで樹木を伐採しなければならない。裁判が基づいたのは法律的にダメだと言うことだろうか。

ホルヘ・アルマザン 都市計画でちゃんとしたプロセスを踏んで決定された方法だからである。法律に指定されたプロセスを踏んだかどうかだと思う。デザインの良さよりもプロセスである。

岸本聡子 日本の行政は、物事が決まるまでは皆さんには言えない。そして、物事が決まったらあとは変えられないと[会場・拍手]。いわゆる行政的な都市計画法であったり、それがすべての開発のプロセスである。こうした中で区長をやっていて、この狭間の中で辛い思いもあるのだが、代替案についてスペインの事例などもあるかもしれないのだが、問題を課題を解決しようとした時に無数の解決策がある前に、「すでにこう決まりましたので」というのが行政側からくる。その根拠は技術的な観点からしても完璧なものがないのだが、もちろん、都市計画法でも縦覧期間とか手続きはあるのだが、住民が代替案を考える時間も空間もない中で物事が決まっていくことが多いのだが、なぜだろうか。なぜ、二項対立になるのだろうか。

社会実験で人間のための空間ができたバルセロナ

20260509002S.JPGホルヘ・アルマザン もちろん、デザインだけで決まらないこともある。街づくりでもいま、色々な実験がなされている。例えば、スペインのバルセロナではアダ・クラウ(Ada Colau、第113代市長、2015~2023年)と言う市長がいた。バルセロナは、中世の旧市街があり、それ以外の新市街は100mと100m区画の街区である。ここで、エコロジーやサスティナビリティの研究者がスーパーブロックを提案した。つまり、複数の街区をまとめて歩行者優先の道を通ろうとした。写真を見ていただきたいが、30年前はこう言う風景が多かった。道路が広くて歩行者は歩道橋を使わないといけなかった。今の日本の千代田区や港区のようにである。市役所計画では、この赤色は自動車の道だが、緑色は車の侵入は禁止されていないが、歩行者と自動車とが同じ速度で行く道であると。もちろん、保守的な人もいるので、反対される前に、まずは、実際に交通を止めて安い予算で植物を置いてみる。あるいは、ベンチを置いてみる。そこで、住民の行動を観察をして、実際の効果を見る。二酸化炭素がどれだけ減ったか。あるいは、蝶々がどれだけ増えかると実験をしてみる。蝶はエコロジー的に間にある。蝶がいれば、蝶が食べる虫もいるし、蝶を食べる鳥もいるので、蝶々が生物多様性の指標になる。こくしたことを証明した上で住民と話し合って実験する。反対する人もいるので、科学的に実験してエビデンスを見て実験をすると。これが、戦略的アーバニズムである。日本もできればいいのだが、社会実験が1日だけとか短い。バルセロナは1年から3年。1日だとちょっと。

20260509006S.JPG岸本聡子 人中心のまちづくり。このバルセロナの事例を掘り下げたいが、新しいことには皆、賛成しないので、まず、社会実験をやってみる。私はヨーロッパに長くいたのだが、例えば、「カーフリーデー」があった。365日の1年のうちまず1日やってみようと。すると「車がないとこんなに都市は静かなのだ」ということに気づく。あるいは「こんなに道が広い、空が青い。子どもが安全だ」とか、「こんなに自転車で入れることが楽しい」と体験する。では、次に月に1度にしようと。実は、バルセロナの場合、車の侵入禁止はハードルが高いのが、車が入りにくいので「入らなくてもいいや」という設計になっている。アダ・コラウの地域政党が出現したことで、参加型の市政が始まったのだが、さらに、コロナがあったので、その時に、全然違う世界になった。スペインでは行動規制が強く自分たちのプロキシミリティがすごく可視化されて、「通りは人と出会う場所である」「話してサンドイッチを食べて座れる都市づくりをしていこう」という体験がすごく融合したと思っている。そこで、公共空間について、公共とはなんでしょうか。

公共とは何か―公開空地は市民のための空間ではない

ホルヘ・アルマザン 二つある。まず、公共だから国や自治体が持っている皆の土地、道路、広場。一方で、ほぼ公共空間のような場所もある。誰もが行けるショッピングモール、横丁はインフォーマルな公共空間ではないか。いま、東京で出現している高層ビルは容積率の緩和によってできているのだが、どの国でも高さとかボリュームをコントロールすることがあるのだが、アメリカでは、公開空地を作れればいい、それで公共への貢献をすればいいという考え方がある。土地の所有者は企業やディベロッパーで、これをプライベートリー・オウネッド・パブリック・スペース(Privately owned public space=POPS)、この実験はニューヨークで始まったが、矛盾で失敗だと思う。本当の公共空間はオーナーシップが国や自治体でないとうまくいかない。というのは、デザインをプライベートが所有していて決められないから。例えば、私は区民や市民として、区役所や市役所には「このように公園をしてほしい」と意見を言えるが、ショッピングモールや公開空地に対しては何も言えない。例えば、東京の公開空地はほとんどが飲食禁止である。サンドイッチを食べてもいいと思うし、それは、許すべき振る舞いだと思うのだが、プライベートな管理会社がゴミを掃除しなければならないので、あえて人が入りにくいように工夫している。「日本のランドスケープデザイナーは下手くそで人が入りにくいな」と思っていたのだが、そのデザインを依頼された人から聞いたので名前が言えないけれども、あえて、高級な材料、大理石のベンチとかを使っている。「ここには入ってはいけない」という心理的効果を醸し出すためにやっている。そのようにしてくれとオーナーから頼まれたからだと。つまり、皆が自由に意見を言える道を残さないと公共性が減る空間になるだけである。

岸本聡子 とても重要な問題提起でした。「公共空地」という訳そのものがおかしいですよね。いま、東京がどんどん綺麗になっていくのは、タワマンができて、人の住む場所が効率的に集約されてスペースを作って、余ったところを緑ということなのだが、ホルヘさんがいう杉並区の商店街は、道はパブリックだが色々な人が商売をしながら文化を作っている。それはみんなの場所であって、ある種の公共性を持っている。安全性もある。治安が守られている。年寄りも含めて歩いていける。公共の福祉として、幸せを作ることは絶対に行政だけではできない。そこで、公共とはなんだろう。人々の営みから生まれる豊かさ。これを継承していく豊かさ。私は、選択のスピードやバランスが町を作っていくと考えているのだが、ホルヘさんの側から私に聞きたいこともあるかなと。

欧州のように政権が変わらないことも日本の強み

ホルヘ・アルマザン 実を言うと岸本さんが区長に選ばれた時に国際ニュースになっていた。海外からの東京のニュースは見るようにしているのでびっくりした。そして、調べたら、スペインとのつながりもあり、ムニシパリズムと言うことで、つながりを感じた。そこで「是非、インタビューしたいな」と思っていたのだが、忙しそうだし、無理だなと。今日はお会いできて光栄です。さて、私はスペインでのアイデアには普遍性があって、創発的な概念もそうなのだが、ただ各地域にアダプテーションはしないといけない。そして、スペインでは、それは国政レベルでのポデモス(Podemos)ともつながっている。ヨーロッパはサイクルがあって、4年、8年毎に政権が変わる。スペインも社会労働党(PSOE)から中道右派の国民党(Partido Popular, PP)に代わった。その波に、ムニシパリズムも入ったことで、議席が減ってしまっている。そこで、アダ・クラウも再選されなかったし、マドリッドも別の女性市長、マヌエラ・カルメーナ・カストリージョ(Manuela Carmena Castrillo)がいたのだが、落選した。こうした政治のサイクルを超えて残るような対策をどう作れるのか。スペイン人からみると気になるので。何かお考えがあれば。

岸本聡子 こうした政治のサイクルが日本では特徴的にない。とりわけ、国政ではない。それがスペインとは大きく違う。国民が政党を選択することが難しい。スペインではポデモスという国政政党が2011年に生まれて、地方自治体の地域主権の哲学がでてきて2015年から7、8年続いた。ホルヘ先生はバレンシア出身なので、国との連動があるゆえに地域のムニシパリズムが衰退しているとの話をされたのだと思うのだが、私は、ムニシパリズムのことを「地域のことは地域で決める」と訳しているのだが、そして、それが、普遍的に成長していけるのだろうかという問いかけだとも思うのだが、それが日本の強みかもしれない。私は、対話の区政を進めているが、そうした民主的な考え方は、東京都とかと国とは折り合わない。そして、区長段階では決定権がないこと多い。それでも地域で決められることは数多くある。そして、市長や区長も選挙で変わるので、自分の思想や哲学、倫理を継承していくには、選挙民の支持を得ないといけない。そこで、私は選挙と選挙との間で区民を作っていくことで区民にそうしたことがいいかどうかを問いたい。やっていきたいという人がたくさんいること。そういう仕事をしていきたい。

質疑応答

質問 私は建築設計をやっている。ホルヘ先生が修士号を取られた東工大の塚本由晴の研究室出身でアトリエ1で働いている。高円寺や西荻窪のまちづくりだが、それが、なくなるとスキルも消えてしまう。それをどう次の世代につないでいくか。岸本さんにお聞きしたいのは、公園で花火が可能になったと。日本は一度禁止になったことが許されることが、どうして可能になったのかを聞きたい。

質問 高円寺で再開発問題に取り組んでいるが、住民で見え方が違うということで体験を調査をしながら道路の拡張を考える活動をしている。いま、屋敷林、大地主の家がディベロッパーでローコスト住宅に代わっている。樹木が減っている。産官学で誰が考えるべきか。

質問 西荻窪。私は最近頭に来ていることがあるので海外の事例をホルヘ先生に聞きたい。世界のニュースを書いて駅前に立つことがあるのだが、バスのロータリーでは一切禁止で、チラシが禁止されている。危ないと。人の邪魔をしているわけでもないのだが排除されるので。

ホルヘ・アルマザン 私は塚本研究室出身なので、スキルの継承について答えたい。商店街は単なる店が集まっているだけではない。ジェーン・ジェイコブス(Jane Jacobs, 1916~2006年)が1961年に「アメリカの大都市の生と死」で初めてソーシャルキャピタルに気づいた。商店街を壊すと建物だけでなく、キャピタルもなくなる。それは、定量的に計算できないのだが、小さいスキルかもしれないが、どうやって挨拶するか、日常的に気づかないスキルが失われる。それをキープすることが大事なことで。礼儀正しいとかマナーがいいとか。また、駅の話も気になる。

岸本聡子 西荻窪だけ路上のチラシが禁止されている。なぜ西荻窪だけが。

ホルヘ・アルマザン それはJRの土地だからで区としては何もできない。

岸本聡子 樹木の課題もあるのだが、いま、神社に7割の緑がある。屋敷林、それは相続で場合によっては樹木が切られる。実は東大の研究だと樹木の喪失率が23区で一番大きいのが杉並である。いわゆる大きな開発で容積率を上げることで偽物であっても緑を増やす。それしか緑化はできないという人もいるのだが、それを杉並区では区民は望んではいないと私は思っているのだが、みどり問題は、都市構造を変えないといけない。学校とかではできるのだが、緑の課題はホルヘさんの考えでは。

ホルヘ・アルマザン 世田谷区では、個人の庭で綺麗な庭がある。そうしたものが駐車場とかにある。一方で、過疎化している個人の庭があって、創発的に区が管理しているのだが、対策が必要だと思う。条例とか、道路工事があったら樹木を増やすとか。開発者に一定程度のみどりを求めるのもありだが、規制緩和はない方がいいと思う。デザインも大事だが。空き家も増えているし、人口減少もするので、空き家を若いクリエーターに貸したり。条件付きで庭をメンテナンスするとか。小さい緑、大きな公園でなく、分散したマイクロガーデンを分散されることができるかもしれない。

岸本聡子 ソーシャル・キャピタル。ジェーン・ジェイコブスについても言っていただいたのがありがたい。西荻に来た時に、それは、ジャーン・ジェイコブスの映画から始まった。そこで、私の杉並の人生が始まった。小さい緑が戦略として、ソーシャル・キャピタルを作っていくのが大事であると。

第二部 区長と議論する

阿佐ヶ谷文化村を生かすには

質問 杉並の高円寺から。善福寺川沿いに40年住んでいる。私は言葉を扱う仕事をしていたのだが、政策でいうと川沿いを阿佐ヶ谷文化村があるので、ポエム・ロードを作りたい。

岸本区長 文化の話ありがとうございます。文化は幸せの重要な軸だと思っている。福祉文化都市杉並であったので、それをもう一度、再発見したいと思っている。例えば、三鷹市が市全体が文学館であるという条例を作った。そういう考え方があるので、次の4年で挑戦したいと思っている。

質問 一言で質問したいのはタワマンへの区長の見解。賛否両論があるが神戸では規制がなされた。タワマンのメリットを含めて区長の見解は。

岸本聡子 タワマンについても神戸のタワマン規制はすごいなと思っているが、杉並区はタワマンの機運はないと思っている。場所もないし。そこで、杉並区でも考えられていない。

質問 このような会を持っていただける区長さんがいて区民として幸せである。自転車の法律が変わったので。杉並だけでも自転車が共生しやすいものができないかと。それと、杉並ネクストでは一切の広告をしませんと。それについて。

岸本聡子 5月15日にリニューアルされるウェブサイトは杉並ブロードリスニングで、これは、チームみらいに触発されているのだが、杉並ネクストについて区民の皆さんに意見を言うことができる。また、自転車についての意見もありがとうございます。過渡期であって、杉並区は4m以下の狭い道路が大半。狭い通りの良さ。歩行者も自動車もお互いの必然的な文化がある。とはいえ、例えば、自転車が車道を走ることに対して、そんなに厳密ではない。そんな厳密に捉えなくてもいいと思っている。実は、日本の自転車のルールは弱い。自転車の乗り方の教育がない。自転車が車と同じだという感覚がない。歩行者と同じなので危なさが増している。自転車に乗りやすい街にすると公約で掲げてまだまだ道半ば。京都市とか10年とか20年とかやって事故が激減した。基本的にはきちんとルール。ヘルメットを被りましょうである。そして、最後に選挙。どういう選挙かというと、私は、政策で選ぶ選挙、公正で開かれた選挙、攻撃をしない選挙。

 実は、今の選挙では有権者は政策を皆見ない。イメージと広告だけだと。有権者が悪いのではなく政策が悪い。こういう対話で。デジタル民主主義の実験をしたい。公開討論会がない政治文化を危惧している。私は政治活動はそれだけでいいと思っている。聞かれたことに答えなければいけない。候補者が議論することで、現職が参加しないので成り立たないことが多い。現職がしないからしませんという言い訳をできないようにする。

 それと資金力とアルゴリズムが左右するYoutubeの広告は使わない。広告でなく広報。UDに来ていただきたいと思う。私も誹謗で苦しんでいるが、抑止力を作らなければいけないと思っている。

質問 ホルヘ先生も区長さんも対話でまちを作ると。その鍵は住民参加だと思う。バルセロナとかも。それをお聞きできればと。区長さんにはどうやって住民参加を作るか。以前は私も行政の一人として、商店街も何回も来ましたが、コミュニティがあった。どうやって住民参加を作るか(会場拍手)。

岸本聡子 まず参加の仕組みではホルヘさんに聞くのが一番かなと。何かヒントがあれば。

ホルヘ・アルマザン 参加の仕方もいろんな実験があって、バルセロナとかはなんでも参加型で決めようとしていて、印象として、住民も忙しくてすべて参加できないので、会議に疲れてしまった。大きなプロジェクトは日本がないが、住民が投票できるデザインコンペ、マドリッドでスペイン広場は住民投票で決まった。展覧会もあって、メディアもあって。それがアイデアかなと思う。住民投票からワークショップまで色々と大変なので、最初にアンケートを取って。それで調整する改善していく。場合によっては改善がいいと思う。参加疲れがある。

岸本聡子 いま話を聞いて思ったのは、色々なことを書いてくれるだろうなと思った。ご自分の想いとか意見とか、いろんなレベルがある。区長さん見ていてくださいなと。そこに情報が蓄積されていくので。ウェブサイトを皆が見ることができるので。

吉田太郎 この和泉公民館の近くの下高井戸から来た。ずっと地方で仕事をしていて定年退職して東京に戻ってきたのだが、幼少期に育った下高井戸商店街が再開発でなくなってしまうことに空虚感を覚えた。まちづくりということで参加させていただいた。さて、先ほど樹木がなくなるという話があったが、私も家も江戸時代から住んでいて、庭には先祖から続いてきてかつては地元の信仰のあったお稲荷さんもあるのだが、おそらく相続でなくなってしまう。いま、足立区にも都市農業公園があり、世田谷区でも都市農業公園ができた。都市農業公園で都市農業を守れないか。農業についての区長のご見解は。

20260509008S.JPG岸本聡子 都市農業についてのご提案ありがとうございます。緑を残すにはいろんな制度がある。相続のために売ってということであれば、解決策はないが、そうでなければ土地利用について緑地制度があるし、憩いの森の制度もあるので。管理は行政がやる、しかし、憩いの森として認定するのがある。自分の土地だが売る必要がなければ農園にすることもできる。緑地にしてもいい。また、都市農業公園を増やしていきたいと思う。週末に都市農業をやるだけでなく、循環の拠点にしたい。コンポストプロジェクトも始まりました。生ゴミで作ったものを入れたい。そして、農福連携、農園の公共性を生かして野菜を育てていきたい。

質問 阿佐ヶ谷の本屋は八重洲ブックセンターが引き継いだが、書店が続けていく上で薄利多売なので。住民として本屋さんが守れる仕組みがないかなと。

岸本聡子 図書館とまちの本屋が支え合う本のまち杉並へしたい。実は、杉並区の魅力が本屋である。永福町にあった本屋も昨年の夏に閉店した。一方で、個性的な本屋も増えている。これが面白くて、高円寺とかの個性的な本屋を含めて、空き店舗ができて、本の棚を皆で共有する取り組みはある。棚だけ管理するとか。小さな図書館を作ることもやっていて。この作家が好きな読書会が盛り上がっている。そうした本屋の文化を作ることができるのかなと。また、電子地域通貨もやりたい。街の本屋で本を買う。2,000円の地域商品券を支えていけると思っている。杉並区には図書館が13あるのだが、本を買うこと、本を楽しむことともつなげていきたい。学校の図書室も充実させたい。そこが、区民の居場所になり、支えになると。そして、司書が大切にされると。その背後にあるのは子どもたちをネット空間から守りたい。いま、子どもたちはネットの暴力性に晒されまくっているが、本と出会うことで、事実を確認すること。そういう構想を持っている。そうした子どもが今度は公園に行きたいという街を作りたい。だから、図書館に行きたいということまでイメージしてもらいたい。なぜそこまで書けないか。書いているとキリがないので。最後に参加について、ホルヘさんが言ってくれたことで。いろんな参加の仕方があったのだが、それは地域の課題なので。フィルタリングしたアイデアを行政が出す。もう一度検討して、本当にできないか、検討する。最後は全員がハッピーでないが、まとまっていく。デメリットとメリットで。それは施設マネジメントで本当に成果が出ている。やりながら走りながらやってきた。最初は怒りとかが爆発するのだが、きちんと返事を返すと信頼関係が作れていくことを職員が体感しながら教えてくれた。参加型予算もやっているのだが、防災とでアイデアで6,000万円。パリの参加型予算 (budget participatif)は、約80億€(8,000億円)だが。デジタルで投票。150くらいあるので、それを10個に絞って投票し、LED、ソーラーとか、雨をためる庭づくりとか。「防災と〇〇」で抱え合わせると。環境とか蓄電もできる。こういう解決策が縦割りボックスからは生まれてこないし、縦割りボックスの中だけで処理される。「やっているんですよ」ではなく、区民がデザインしたら、こういう言葉になったよと。皆で決めて考えて愛着とかが育っていく。また、デジタルを使うことでたくさんあるので、試行錯誤しながらデザインをしている。次の試行錯誤は合意形成のために適切な技術としてAIを使っていきたい。複雑なプロセスをもう少し可視化できないか。AI的な技術も含めてやっていきたい。AIは民主主義を深め進化させる。熟議をどう共有して可視化するかのツールとしてデジタルの技術も使っていきたい。

編集後記

20260509010S.JPG 本稿は、岸本聡子後援会(ソシアルサトコズ)の主催で5月9日10:00から杉並区の和泉地域区民センターでされたものを会場での聞き取りメモを再整理させていただいたものなので正確さに欠けることをご理解いただきたい。

 なお、会場はうちから歩いて10分ほどで行ける場所で無料でもあったのだが、なかなかどうして感動的な内容であった。複雑系とまちづくりはなかなか一致しなかったのだが、ホルヘ教授の鳥のたとえで「ボイド」を思い出して納得ができた。また、編集子からの都市農業の質問にもきちんとお答えいただいた。改めて、まちづくりでもホルヘ先生のお話を勉強してみたいと思う。

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2026年05月06日

ベネズエラの主権はコミュニティ運動にあり

ベネズエラ情勢の現状について

2026050603.jpgヘスス・ファリア 友人、同志の皆さん、ご参加いただきありがとうございます。こうした連帯の集いは励ましになる。こうした支援が反帝国主義のボリーバルの戦いを励ましてくれる。

 1月3日にベネズエラは爆撃を受け大統領夫妻が拉致誘拐されたが、これはベネズエラ共和国がこれまでに受けた最も獰猛な行為であった。この攻撃は大変なものではあったが、彼らが考えていた体制変換という目的は達成されてはいない。

 ヤンキー帝国主義による侵略にも関わらず、目的が達成されていないことは、国民の抵抗の賜物である。我々の抵抗は平和を確立し、国内の治安を確立することで進められているが、ベネズエラの抵抗の中心となっているのは、社会主義統一党の下で様々な運動が進められていることにある。1月3日の攻撃の後、ベネズエラと米国の間には二つの道があった。戦争をすることと外交交渉で対話を行うことである。我々は後者を選び、その選択が正しかったことがいま示されている。

 国内の平和をまず回復し、政治的な秩序を回復することに努めてきたが、これは非常に困難なことではある。いま、要求しているのは様々な制裁を止めてほしいと要求している。国民の日常生活に大変な困難をもたらしているからである。米国がベネズエラを統治しているとの様々な国際報道をなされているが、革命の中核であるコムーナの活動の重要をまったく見ていない。革命の中心、社会の中心にあるのは権力をどうするかである。我々の権力の中心はコムーナであり、「人民権力」を作ることを進めている。1月3日の爆撃後もベネズエラは依然として、この権力で革命を続けていくことを進めている。

 我々の経済状況は、石油依存、対外的な金融と技術的な依存と従属した形での経済体制を持っているのだが、新たな独立した経済制度を作ろうと励んでいる。従属を克服することはチャベス司令官が追及してきた政策だが、国民、労働者の利益のために社会を作るということである。米国が行ってきた経済封鎖は国民の利益・満足を著しく歪めるものであったし、この経済封鎖は打開しなければならないと考えている。

 米国の侵攻には我々の石油資源を収奪する目的があった。ベネズエラには世界でも有数の石油の埋蔵量があるため、米国はこれを支配しようと考えている。1月3日以降、米国は軍事的、海軍による海上封鎖を強いている。ベネズエラの石油を輸送するタンカーが封鎖によって運航を阻止されている。依然として地球上の他地域への自由な石油の輸送・販売が妨害されている。いまなされているのは、新植民地的な性格のライセンスシステムであるので、許可制度を止めるように強く米国に要求している。これは様々な国際的な取り決め、国際法に違反するものである。我々の主権を制限する制度を止めるように強く要求している。

 もうひとつ重要な課題は、ニコラス・マドゥーロ大統領が一方的に拉致されたため、その解放を実現することである。マドゥーロ大統領の拉致事件は様々な国際法を無視した暴力的な行動である。大統領の解放はベネズエラの経済を確立し、国民が団結するという二つの条件でかなうものだと考えている。

 我々の戦いは民主的な戦いであるが、国内のファシズム勢力を孤立化させ追い詰めることが中心となっている。その中心となっているのが、社会主義統一党と国民の運動である。政府の諸官庁は正常通り民主的に運営されている。イランに対してヤンキー帝国主義が行ったことと同じ形でのことがなされている。イランでは最高指導者ホメイニ師が暗殺されたが、イスラーム・イラン共和国の政府は解体していない。これはベネズエラも同じであり、大統領が拉致された後でも諸官庁は機能している。

 1月3日の強引な攻撃の後、国内のファシズム勢力は諸官庁の機能が解体できると考えていたのだが、その目的は実現されていない。国民から完全に浮いてしまっている。ボリバール革命政府は、まず平和を維持し、政治的な安定を確立し、経済的な発展を維持し、経済発展の成果が国民に届くことを目標としている。というのは、10年以上の米国の経済封鎖で国民は大変に苦しい目にあわされているからである。

 もうひとつ、国際的にばらまかれている西側の情報に反対することもある。ひとつがベネズエラがキューバに対してまったく石油を供給していないということがあるが、爆撃の4カ月も前からベネズエラからキューバに送る石油を海上封鎖で米国は送らせないようにしてきていた。ロドリゲス暫定政権は「キューバに石油を送らない」ということで米国との合意がなされているといわれているが、そうではなく、昨年の8月から海上封鎖を強いて妨害していた事実がある。いまでもこの海上封鎖は続いておりキューバへの石油の供給を妨害している。

 また、もうひとつ、イランの問題でホルムズ海峡が封鎖されることから、ベネズエラの石油が米国に供給されているということが、言われている。

 これも事実とは異なる。米国は1日に2,000万バレルの石油を消費しており、現在は、1,300万バレルがあるだけで、700万バレルは不足している。ベネズエラが米国に出しているのはわずか70万バレルでしかないので、間違った主張である。

 我々は引き続き、チャベス司令官がデザインしたボリーバル革命の課題を追及していくが、これは対外的な米国からの大きな圧力の下で行わなければならない。それには大変な努力を要するし難題となっている。これが何よりも私がコメントしたいと思ったことである。

ディスカッション

2026050601.jpg田中靖宏 ベネズエラがおかれている状況に対して、何よりも平和と政治の安定、国民の団結が重要であることを強調された。プロレタリア的な独裁的な方向もあるのではないか。

ヘスス・ファリア 民主的な勢力、反ファシズム勢力、進歩的な勢力、社会主義的な勢力が団結して我々の運動を支えている。すべて祖国の独立の擁護のためになされている。非常に幅広い勢力の団結がなされている。

田中靖宏 ファシズム勢力、野党は具体的にどのような活動をしているのであろうか。

ヘスス・ファリア 国内のファシズムと野党の問題だが、最近の選挙ではバラバラになって三つの勢力に分断されている。民主的な反対勢力、国内のファシズムと連携した反対勢力、外国からの強い支援を受けてなされているマリア・コリーナ・マチャードが率いる勢力がある。米国は1月3日の爆撃でこのファシズム勢力が立ち上がると考えたのだが、現実にはプロヤンキーは動かなかった。そこで、もう一度再編しようとしている。

田中靖宏 マスコミでは米国との関係では石油のことばかりが言われているのだが、日本がポツダム宣言を受け入れたときに様々なことを米国から要求されたように、米国から国内体制についても要求がなされているのだろうか。

ヘスス・ファリア 帝国主義は性格上、戦争に訴えるか完全に支配することを考える。米国帝国主義は覇権主義でベネズエラ、西半球を支配するドクトリンを持っている。エネルギーで支配する。政治的に支配する。そして、他地域からの支配を許さないモンロー主義がある。それはベネズエラで米国が支配すると。しかし、領域支配がまだできていない。エネルギーの問題で支配しようと考えているのだが、ベネズエラは石油の販売については米国と協定しているが、石油の所有権については全く譲歩していない。これは民族的な独立を維持するための日常的な戦いとなっている。

田中靖宏 政治的な安定、制裁下で苦しむ国民の状況の改善が緊急の課題だと言われたが、市民生活が心配である。攻撃以降の市民生活の状況はどうなのか。

2026050602.jpgヘスス・ファリア ベネズエラの経済は困難下であるが順調に回復している。それは、チャベス司令官が計画されたものである。1月3日の爆撃は経済成長を押しとどめることになったが、2カ月後には再び経済は成長している。5月1日には政府は最低賃金の値上げを行うことを発表した。それによって次第に国民の生活は回復していくと考えている。米国にとってベネズエラ経済を活性化することは矛盾した側面を持つ。というのは、ベネズエラの石油産業を活性化するとベネズエラに投資収益が入りベネズエラ経済が回復し、結果として、国民の利益になるからである。つまり、米国にとっては複雑な状況がある。

田中靖宏 政府が戦時経済ボーナス月240$とか、食料ボーナスが提供されているとよく報道されるが、これは全国民に対してなのか、また、財源はどうやって確保しているのか。

ヘスス・ファリア 各種のボーナスがある。最低賃金をあげるとともに、戦争経済ボーナスも発表されている。また、食料ボーナス、専門職ボーナスもある。こうしたことによって厳しい国民生活を一定程度カバーしている。

田中靖宏 ベーシックインカムという考え方か。

ヘスス・ファリア 最低生活という考えである。

田中靖宏 コムーナの運動がベースになっているとの話があったが、コムーナの運動には変化があったのだろうか。

ヘスス・ファリア コムーナ運動は爆撃の後、いっそう重要になってきている。全国の各地で様々な運動がなされている。コムーナが抵抗力の中心になっているのだが、それは社会主義統一党がコムーナの運動を進めているからである。

田中靖宏 政治囚の釈放もなされたがこれは米国からの圧力だろうか。そして、社会治安に問題はないのだろうか。

ヘスス・ファリア ベネズエラ政府自身の決定であって米国からの圧力ではまったくない。政治囚の釈放には二つの面がある。ひとつは平和を確立することでは、国内の平和を民主的な措置で進めるために行ったことである。また、政治囚を釈放しても問題がない、そういう力を我々が持っているということでもある。釈放についての法律は二つの例外措置を設けている。社会の破壊活動を犯すこと、重大犯罪を犯した人は除外するとなっている。暴力的なことを追及する人を社会の中で孤立させることもこの目的に入っている。

田中靖宏 軍はどうなっているか。

ヘスス・ファリア 軍は団結が守られボリーバル政府への忠誠を誓っている。でなければ、軍部による内戦状態が生まれたと考える。もっとも、米国から買収されて内通した者も様々な官庁にいるであろうことは否定はできない。しかし、少なくとも軍部においては団結が守られているし統一した行動がとられていないということはない。米国にあやつられた小さなグループが反政府行動を起こすことは常にあった。チャベス司令官に対する一部の将校の反乱があったし、マドゥーロ大統領に対してもあった。しかし、それは小さなグループによる反乱であった。

田中靖宏 最後の質問だが、日本政府から暫定政権側に何かのアクションがあったのか。

ヘスス・ファリア 米国や他のヨーロッパの国々とも外交関係が復活している。日本についての情報はないがいっそう発展することは期待している。

田中靖宏 最後に大統領について。

ヘスス・ファリア 米国の恥知らずな行為に対して抵抗している。いま、大統領は元気で家族とも連絡を取っている。その連絡もユーモアがある。大統領にはモラルがあるので彼を屈服させることはできない。世界各地でマドゥーロ大統領解放のための委員会が作られている。これも、大統領に元気を与えるものとなっている。最近、スペインの新聞El Paisの中で、息子のエルネスト・ゲラ(Nicolás Ernesto Maduro Guerra)氏が―彼は国会議員でもあるのだが―インタビューを受けて色々と話をしている。毎日のようにゲラは大統領と話をしているので今の状況を理解するうえでふさわしいインタビューとなっている。司法的な裁判所の面から言うと、政府の影響を受けているために独立を欠いている。大統領を告発した要素をそのまま認める恐れがある。しかし、最終的には我々の同志である大統領がベネズエラに帰国することを確信している。

田中靖宏 率直なお話をうかがったことに改めて感謝をもうしあげたい。ベネズエラを見るときにどうしてもいまの日本の状況と重ねて考えざるを得ない。封鎖、脅迫、軍事的な圧力の中で、団結を大事にして、武力ではなく暮らしを改善するために戦っていることに感動した。日本が少しでもましな自主的な政府をもったらどういうことがおきるかをベネズエラを通じて日々みせられている気がする。ベネズエラの人々の戦いを理解するだけでなく、日本の改革の糧にする。それを考えるうえで多くの日本国民、とりわけ、若い人に知らせることで教訓としたい。ベネズエラの人々に思いをはせながら我々の活動の糧にしていきたい。困難な時期にベネズエラの真実を伝えていただくことが非常に励ましになるし重要である。確信していただきたい。我々は様々な逆境があっても真に繁栄したベネズエラを実現できると思っているので。

編集後記

2026050604.jpg 本稿は2026年5月6日、11:00から13:30にかけて日本AALA(日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会)の主催による「現地からの報告―ベネズエラのその後」の内容をまとめたものである。あくまでも、スペイン語ではなく、新藤道弘氏の逐語通訳の聞き取りメモを書きとったものなので詳しくは新藤道弘さんのサイトをご笑覧いただきたい。

 なお、オンラインで現地から登壇されたヘスス・ファリア(Jesusu Faria)氏は、元貿易大臣で社会主義統一党の指導者のひとりである。対談された田中靖宏氏は日本AALAの国際部長・代表理事である。

 編集子は聴講していて、米国の圧力で平和をすて武器輸出、憲法改正へと進む現政権に反対するのが共産党しかない日本の状況を脳裏に浮かべながら聞いた。というのは、まさに、「日本国憲法について9条は平和国家の礎―首相の認識ただす」として鋭く質問をしたのは、山添拓参議院議員であり、他は社民にせよ、れいわにせよ、議席が少なく風前の灯だからだ。他の聴講者も似たような感想を抱いたようで「それにしても犯罪者のトランプとアメリカを裁けないのが情けない。この状況をみて日本の若い人は改憲(再軍備)やむなしの雰囲気になっているように思う。国会前のデモは空前の規模ではあるけど、国民の大半は関心がない。自分の生活でそれどころではないのだろうけど」「ホストの方のおっしゃるとおりです。深く共感します。自分事としてとらえるべきです」といった感想がチャットで寄せられていた。

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2026年04月29日

キューバ・チャリティ・コンサート

阿部知子元衆議院議員挨拶 キューバ大好き。人が優しくて教育と医療が無料で、ジャイアンのようなアメリカの近くにいても、1959年以来、ずっと頑張ってと国を守ってきたキューバが、「今度はキューバだ。俺のものにしたい」とトランプが言っているので、そうはさせてはならない。

20260429022s.jpg 戦争になったら遅いんだ。主権を侵害しちゃいけないし、平和を奪ってもいけない。子どもたちのための大事な未来のために力を合わせよう、皆の声にしようと私を育てていただいた藤沢でコンサートを考えました。本当はクリスマスコンサートをやるつもりで交渉していたんです。でも、なんだか、トランプすぐにもやりそうじゃない。だから、私たちが声をあげないと。誰も知らないうちに襲うなんてことは許されないと思っています。

 皆で元気で、キューバがいつまでも素敵な国としてまた訪問できることを期待して今日のコンサートにしたいと思います。大使も来てくださいましたので挨拶をお願いしたいと思います。

20260429023s.jpgキューバ共和国ヒセラ・ガルシア特命全権大使 今日は皆さんとこの会場で一緒にできることが光栄です。阿部知子さんは私たちの友人で、心から感謝しています。キューバに対して深い愛情を寄せてくださっています。

20260429025s.JPG このコンサートはキューバの文化、伝統を知ってもらう恒例の行事ですが今日は特別の意味を持っている講演です。というのは、現在、我が国は米国政府から極めて強い圧力を受けています。それは、60年以上にわたって締め付けを受けてきた結果なのですが、いまのトランプ政権は、それを徹底的に推し進めて、我が国全体から燃料の供給を断とうとしています。燃料がなければどの国も生きていくことができません。ですから、キューバの状況は非常に厳しく悪化しています。経済や国民生活に大きな困難が生じています。だからこそ、このように世界中のあらゆる場所から寄せられる友情と連帯のメッセージが重要な意味を持っているのです。強いものが暴力や圧力によって自らの意思を世界中に押し付けるようなことは決して許すことができません。各国の国民が平和と調和の中で生きる自決権が尊重されなければなりません。

 現在の状況は非常に厳しいものですが、キューバの国民は耐え抜き、前にいくことを模索していきます。それは間違いありません。彼らは、私たちを封じ込めることはできても、我が国から生きる意志、働く意思、そして、自分たちを守る意思を奪うことは決してできません。また、私たちの活気あふれるキューバ文化への喜びと誇りも決して奪うことはできないでしょう。

2026042901s.jpg ですので、本日は日本在住のキューバ人アーティストによる素晴らしいキューバ音楽を一緒にお楽しみいただきたいと思います。彼らは、世界中で私たちの文化を代表する存在です。私たちと同じように不当な攻撃にさらされているキューバ本国の家族や親しい人々のことを心配しています。今日、音楽が力強く響き渡り、米国政府による攻撃と圧力の政策への終わりを求める私たちの声が高らかに鳴り響くことを願っています。友人の友子さん、いつもキューバを支えてありがとうございます。そして、キューバのミュージシャンの皆さん、そして、会場に来てくださった方に心から感謝します。

祝辞亀井静香元衆議院議員 私の尊敬するチェ・ゲバラ、そして、カストロの国キューバが、新の独立国として繁栄を築いてきたキューバが今後も米国の圧力に屈せず国民の団結と力で独立国家の誇りを堅持し続ける心から願っています。


編集後記

20260429028s.jpg 2026年4月29日、藤沢市新堀ライブ館楽友ホールにて「湘南の夏はラテンのリズムに乗って」と題して、キューバが誇る世界的ギタリスト、アレクサンダー・ラボルデさんとパワフルな仲間による五重奏のキューバチャリティーコンサートが「あべともこと共に歩む会」の主催で開催された。

 冒頭で阿部知子元衆議院議員が挨拶をされ、続けて、ヒセラ・ガルシア(Gisela García)特命全権大使の挨拶があったので、それを掲載する。なお、コンサートはたちまち満席となり、その売り上げの一部はキューバ大使館を通じて、米国の経済制裁で窮乏、特に石油供給の停止で全島停電もある現地へ医薬品など生活に必要不可欠な物資を届ける活動に役立てられるとのことである。

【画像】
アレキサンダーさんの画像はこのサイトより
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2026年02月25日

節水型乾田直播問題を考える院内集会

2026年2月24日
16:00~18:30
衆議院第2議員会館多目的会議室

舘野廣幸 民間稲作研究所が普及している有機稲作は、稲場光國さんが確立した技術として、広がっている。水がなくて日本は持続可能な農業ができるのか。安く米を作るという人の都合でカエルが失われる。カエルを代表して水田に水を維持してもらいたい。

農水省・阿部 ご指摘のとおり、田植え、湛水は重要である。20、30㏊規模で水田農業をしている大規模農家がやるときに乾田の事例もある。そこで、移植と直播を組み合わせたものをモデル実証していく。

天明伸浩 30年前から農業者がいなくなることがわかってきたが、何も政策的にしてこなかった。いま、農村に人がいないから節水型・乾田直播の技術を、というのは順番が違うのではないか。一番の問題は農村に人がいないことである。用水路や農道の維持管理のために人を増やさないと米は作り続けられない。霞が関にいると見えないかもしれないが、村に住んでいるとコンビニ、役場ですら近くからなくなっていく。こうした技術で村が守れるとは思えない(会場・拍手)。加えて、こうした技術が入ると農民が手にする利益が減っていく。企業に利益が移転して「規模を拡大しろ」となっていく。もともと1㏊があれば豊かな暮らしができるのに、それが経営できない形を作り上げてきたのはあなたたちである。農村にもっと人がいる農政のあり方を目指すべきである。農民の取り分を増やす政策をして欲しいと思っている。

農水省・阿部 農村振興の観点からお話をいただいた。農水省としても様々な政策を展開してきたが、それでも人が減る現状があるので現状をしっかりと受け止めたい。

伊藤俊彦 (株)ジェイラップ 農水省は前のめりで乾田直播をしていると聞く。以前に冷害のときにタイ米を輸入したことがある。さて、今回の節水型・乾田直播は最低でも4回除草剤を播く。JAS、GAPと逆行するのではないか。また、直播では玄米の白度があがらない。食味、収量も落ちる。節水型・乾田直播についてきちんとしたデータを示して欲しい。われわれのグループは200㏊だが除草剤は1回で散布で、2回はまずない。また、世界も日本のコメの美味しさに驚くが、コストダウンのために食味を落とすのはどうか。乾田直播している農家にも話を聞いたが手放しでやっている人はいない。やったが止めている人も多い。コメの消費量が減るような技術普及はしないでいただきたい。

農水省・技術会議事務局桶川 研究をやっている。いま、阿部から話したように我々は推進するためではなく、そうした節水型・乾田直播をする農家が増えている中でそれが取り組める技術かどうかを検討している。収量が落ちることも把握している。だから、検証するためにやっている。

近藤一海 今回の農業センサスでは基幹的農業従事者が83万戸になった。この10年で4割も減った。しかも、基幹的農業従事者とは150日農業従事し、所得が150万円。すなわち、生活保護者以下の農業である。この状況を改めないと農業をやる人はいない。うちの南部生産組合も150人会員がいるが、65歳以上が3分の1でいずれいなくなる。50人は40代だが、野菜だと2,000万円の所得があると後継者が残っている。新規就農者の支援が大事である。なお、熊本県の山都町は市役所がトラクターを新規就農者に補助している。80人がいて地元で受け入れきれないという。こういういい事例もある。スピード感をもってやらないと食料危機が来る。この5年で生産資材が141%あがっている。昨年も農家の倒産件数も過去最大である。農水省がいらなくなるようにしてほしい。異常気象で台湾のタネを買って来たがよく育つ。

農水省・桶川 今回の節水型・乾田直播の研究費は1億7,000万円だが、品種開発は30億円である。高温とか病害虫抵抗性を取り組んでいる。

杉山敦子 そこに、遺伝子操作も含まれるのではないかと不安である。

魚住道郎 日本有機農業研究会です。50年有機農業をやってきた。みどり戦略は大歓迎だが、先ほどから、「節水型・乾田直播は検討中だ」と言われているわりには、進められている。例えば、まず、水田からメタンが出ているとの意見が出され、次にメタンが悪いとなった。農水省もこうした外圧があってこれになびいているのではないか。水田からのメタン発生の抑制が中干しの延長で、それにJクレジットが出ている。乾田もそうで、温室効果ガスを出している産業界のツケを農業に押し付けている。前回のコンソーシアムでも検証結果のトレードオフがでているが、調査が3カ所でバラつきがあってこんなもので推進されたら我々からするとたまらない。

 我々が大事にしたかったのは海から蒸発する水蒸気が森に雨を降らし、海に栄養を与えることだ。この原理を先人は確立している。これを守ることが大事である。上流の谷津田から流域に水田が作られていれば地下水も保全できた。いま、太平洋岸が地下水が渇水している。水田稲作という先祖が築き上げた重要な農耕技術を破壊するものである。農村の崩壊をまず食い止め、豊かな水づくり、上流に人がいる流れをつくるべきである。オーガニックビレッジを宣言した各地に有機農業公園を作って市民に農業への理解が深まるようにすればいい。そこの学校給食を食べた子どもたちが将来は百姓になると思うかもしれない。いま、農村が崩壊するときだからこそ立ち上がるべきである。崩壊寸前の農村を守ることにエネルギーを割いて欲しい(会場・拍手)。

杉山敦子 オンラインでも多くの拍手があがっています。

農水省・永山 大臣官房で環境政策を担当している。Jクレジットは節水型であったと思うが、阿部からも説明したようにまだ検証であって、乾田の方はJクレジットはない。それと、二つ目の有機農業のオーガニックビレッジについては、現在、154が取り組んでいるが、産地づくりもしている。それによって地域が作っていければいいと思っている。

下山久信 いま、メタンの話だが、これが出てきたのがスイスのダボス会議でバイエルのCEOが「アジアの水田農業がダメだ」と言った。つまり、これはモンサントを買収したドイツの農薬会社の陰謀である(拍手)。

杉山敦子 そのことは、農水省の方もご存知でやっているのではないか。

池上甲一 言葉尻を捉えるようだが、「実証中」と言われたので、それがよろしくないとなれば普及するわけにいかないとなれば止めることもあるのだろうか。そこを確認したい。

農水省・桶川 3年やってデータを取っていくので、1年目で駄目だとはならない。

池上甲一 節水型に偏ったコンソーシアムの結成や企業、法人を農水省から呼びかけている。この事実を見れば、推進しようとしていると考えざるを得ない。基本法第4条の多面的機能などに反する。真摯な反省が必要ではないか。田植えが不要、代かき不要、水管理不要と不要ばかりだが、これは、節水型に対応できない農家もいらない、農水省もいらないになりかねない。農水省が拠って立つ基盤もなくなっていく。また、除草剤等の回数も増える。労働時間の節約も説明されていない。水利システムが機能するには上流に人が住むことが必須である。私は滋賀県の仰木に住んでいる。馬蹄形の棚田が紹介されているのだが、そうした棚田でも節水を推進するのか。棚田を守っているのは小規模農家、非農家である。コメだけでなく、景観、生きもの、水涵養とカネにならない仕事をしている。高市首相も事前防災を強調されている。皆さんの稲作を偏ってみている姿勢に懸念を感じる。

農水省・阿部 農村に人が住み続けられるが大事であって、積極的に推進する気はない。

杉山敦子 技術の検証は誰がやるのか。

農水省・桶川 公募中なので委託先がやる。評価委員会の選定は農水省がやる。

河田昌東 私が一番心配しているのは、除草対策である。除草剤を撒いていると必ず耐性雑草がでてくる。そこで、イネに除草剤耐性を持たせる流れがやってくることを心配している。1990年、愛知県は乾田直播を広げて大規模にするとの政策を出した。雑草対策で除草剤耐性のイネを作ろうとして世界で初めて除草剤耐性のダイズを作ったモンサント社と協力してラウンドアップ耐性のイネをつくることに成功した。市民側の強い反対もあって実用化は阻止されたのだが、モンサントはその技術を持っている。そういう流れに広がっていくことが問題ではないか。イネのゲノム編集の研究も進んでいるし、害虫の抵抗性の研究も進んでいる。やはり、ヒトも生態系の一部だという自覚が必要である。日本の生態系を壊さないように大きな目で考えて欲しい。乾田直播のゆきつくところは農業の工業化、自然と離れた農業になっていくことだ。農業の工業化は間にお金が入って人と人との関係を壊していくので、作る人と食べる人の関係を作る。工業製品を売って食べるものは買えばいい。その考え方が今の状況を作ったのでこれは農業の問題だけではない。

農水省・阿部 除草剤耐性だが、愛知県は先駆者であって先日も豊橋にいって農家と話をした。その方の話では課題はあるがメリットもあるので続けていると。

金井裕 ラムサート・ネットワーク日本。ラムサール・ネットの方では水田決議がある。水田は、生産の場でありながら、同時に多くの生きものの住処である。そこで、湿地生態系として未来に残していくと言う決議である。この水田に水がないとなると問題なので懸念をしていたのだが、ニュースを見ているといいことづくめである。しかし、こうした情報に載った人が損することが多くある。検証の中身に生物多様性まであるのかが気になった。また、その情報はどうやって外にでていくのか。(先ほど魚住さんが言われた)メタンの問題も、あれだけ稲わらをすき込めばメタンがでる。その情報がでていない。そこをしっかりやって欲しい。多面的機能や生き物との関係を知りたい。

農水省・桶川 研究の中身だが生育期間を通じて畑になるので生物相が大きく変わるのでそこは委託研究する予定である。畑にすると一酸化窒素もでるのでそこも研究していきたい。

杉山敦子 生物多様性で節水型で問題があるとの論文もでたようだが。

松尾由美 コープ自然派。グリホサートの安全性について伺いたい。昨年12月に安全性の根拠の論文が正式に撤回されている。2000年にモンサント社が出していた論文だが、社内資料をもとにライターが作ったものであるという。農薬の再評価だと米国でも訴訟も起きている。72億ドルで和解したいと。これを大前提にしているものは怖いと思っている。

農水省・山川 消費安全局農薬登録担当です。グリホサートは防除現場でどう使われているか。リスクベースでやっており、2016年に使用方法を守る限りは発癌性はないと評価した。国際的な評価機関でも世界でも農薬として適正する場合は問題がないとしている。再評価もあるので、そこでは毒性だけでなく、2000年の論文は、当該文献は入っている。撤回された事実は安全委員会は知っている。

杉山敦子 なぜ一般公募とタイムラグあったのだろうか。タイムラグがないようにお願いしたい。

安田節子 節水型は水田面積を減らすのではないか。連作ができない。輪作をする。そうした場合に水田に戻すことが簡単にできるのだろうか。とても大変な問題ではないか。「水田を減らせ」という外圧が最初に下山さんが言われたようにあるのではないか。2023年に米国の農水大臣が日米対話を設置した。それから、メタンが問題となり、農水省は中干しを延長するとか飼料米をするとかしていたがそれも止めた。ここには伺い知ることができない圧力があるのではないか。ダボス会議もグローバル企業のCEOが利益を生み出すような世界戦略を話し合っている。カーボンニュートラルそのものが不可能である。メタンよりも化学肥料での一酸化窒素の方が問題である。アメリカの狙いは日本の水田を減らしコメの自給を奪うことではないか。日米構造対話はどうなっているのだろうか。

農水省・阿部 国際交渉の話になってきたが、ここには担当がいないので一般論になるが、枠外でコメが入っていることは認識している。341円の枠外関税で輸入する業者がいることは認識している。価格の問題であって、扱っている方にヒアリングをしたところ価格が安いからである。

安田節子 ベトナムよりも米国の方が生産経費は高いが、米国は政策的な補助金で安くしている。生産費よりも馬鹿安で輸入されてくる裏には、何かあるのではないか。

農水省・阿部 米国のコメは、60キロあたり2万円で販売されている。今年の米価が4万円にもなったので安い。なお、節水型にしようが乾田直播であっても「田」であることは変わりはない。いろんな方の意見を聞いていると水は必要だとの声は聴いている。

杉山敦子 普及するわけではないのになぜ税金をかけて検証をするのかというのが疑問だし、なぜ、民間も入れてコンソーシアムを作るのかと思う。

農水省・阿部 田植え不要コンソーシアムは直播技術すべてを含むものとして設立されている。

天笠啓祐 他の方が突っ込んだ話をされてきたので質問だけをしたい。まず、熊本県で起きたケースだが、台湾のTMSが進出してきて半導体で地下水を大量に使ったところ水が枯渇すると。そこで、作物を作らない田んぼに水を張っている。貯水池としての役割があるのだが、ダムとしての機能が失われることについてどう考えるのか。二つ目は補助金の問題。IT導入補助金が415万円がでるのだが、一番気になるのが農耕地の条件改善事業である。これは補助金に上限がないと書いてある。農地中間管理事業への助成である。それが進めているのが乾田直播のようなハイテク事業である。私からすれば農家に直接所得補償をすべきである(会場・拍手)。ところが、農水省の政策は、そういう内容になっている。これが気になる。

 三つ目は外食チェーンの松屋が打ち出したのが、自走型除草ロボットである。これは水田では使えない。バイオスティムラントを使う。みどり戦略でも農水省が積極的に推進するものだが、多国籍企業が相次いで参入しているのが、ハイブリッド商品である、バイオスティムラントと農薬のセットである。今後も、乾田とこれがセットでされる可能性が高い。これはやはりおかしいと思う。こうしたことに、どう対応していくのかについて質問したい。

農水省・阿部 研究以外についてお答えしたい。スマート農業は色んな事業で支援しているのだが、人が減っていく中でロボット化、スマート化していくことが重要であることには意見の相違はないかと思う。国全体で人が減る中で、農地を守っていかなければならない。それについてはご理解いただきたい。バイオスティムラントもいろんな意見がある。使わなければいけないと言っている人もいる。化学メーカや農薬会社が言っていることなので検証していく必要がある。

農水省・桶川 バイオスティムラントは農薬とは理解していないが、使用している資材である。それが節水型で必要かどうかを研究の中で確認していきたい。

農水省・阿部 ダムについての機能は水を張らない所はあるがまだ検証である。乾田直播は後で水を張るので、田圃ダムの機能ははたしていく。農地耕作条件担当は担当ではないが、農地バンク同士の事業は地域の要望を踏まえてやっていると思っている。

天明伸浩 「こうしたことを検証しなさい」と言うのはあなたたちが指令するのではないか。それは業者が皆やるんですか。おかしいのではないか。

農水省・桶川 元に戻った時の生物相はあるがダム機能の検証まで念頭にはおいてはいない。3年の検証で問題があるとなれば新たな研究を明らかにしていかなければならない。

下山久信 集落には水利組合がある。土地改良区の問題もやられていない。その問題が抜けている。農研機構も前のめりになっているので気を付けた方がいいよ。

杉山敦子 ロードマップを知りたい。私たちの税金を使うのであれば、(ダム機能とかも)加味してもらいたい。でなければ意味がない研究にならないか(拍手)。

おいおいではなく最初にやるべきではなにか。お答えいただけなければ今回の集会が意味がない。

下山久信 ミニマムアクセス77万トン、トランプ関税が違反なのだから、いれないとか農水省は考えているのか。滅茶苦茶なのだから。輸出産業のために農業を犠牲にしている。77万トンをいれる必要がないのだ。

印鑰智哉 今日は農家の現場からの声を出してもらったのが大事である。今日が始まりである。問題が根が深い。水田はメインである。カリフォルニア州は規制が厳しいが、それ以外の米国の州では、ほとんどが遺伝子組み換え変え、農薬耐性米になっている。マレーシアでも農薬耐性米が使われている。結論は見えている。全国から追求していかなければいけない。

会場・女性 農水省の方がご自分で食べているおコメと産地を答えて欲しかった。それをチェックしたかった。

会場・女性 能登にも家があって三拠点生活をしているが、能登で乾田・節水型を広めようとしている動きがある。そのツアーを見るために埼玉県の山崎さんのところを見に行った。イタリアでもBTコットンもあったので、進めてはいけないと感じている。国から500億円のお金があってその争奪戦である。

涌井 センサスの調査結果で40万戸が今後はさらに30万戸が減るだろう。私は過去30年農家を育てることをしてきたが、ベテラン農家でないと農家を育てられない。いま9人研修生がいる。氷河期世代だが頑張っている。こうしたことのために農水省も予算を確保すべきなので、その集会を持って欲しい。

井上 埼玉で技術士をやっていたが、前に全農で乾田の研究をやっていたが、うまくいかなったので結果を書かなかった。今日の話を聞いていて、幅の狭い技術的なことで研究を済ませてしまう可能性がある。あちらこちらでやられているので、できるだけきちんとした研究をやって欲しい。水をいれるときに代かきをしていないと水はダダ洩れになるので周囲の水がなくなる。他地域が不足する。二つ目は生態系とのカエル田圃の影響、地域社会の中でどうなるか、波紋がどうなるか。そうでないとつまらない研究になってしまう。

杉山敦子 長時間ありがとうございました。あなた作る人、私食べる人の時代ではなくなってきているので。


本稿は、2026年2月24日(火)16:00~18:00にかけて、衆議院第2議員会館多目的会議室で「節水型乾田直播問題を考える実行委員会」の主催によって開かれた農水省の意見交換の内容をまとめたものである。 なお、これも、あくまでも、会場での聞き取りメモを再整理させていただいたものとして正確さに欠けることをご理解いただきたい。また、立憲民主党の石垣のりこ参議院議員と共産党の岩渕友参議院議員、維新の佐々木りえ参議院議員が挨拶され、有機農業推進議員連盟の池畑浩太郎衆議院議員もお見えになられていたことも付け加えたい。
posted by 情報屋 at 16:00| Comment(1) | 講演会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年01月23日

有機農業はどうすれば広がるのか

なぜオーガニックがいま必要なのか、消費者に一番伝わる言葉は?

DSCN7511 - コピー.JPG菅野奈穂 改めてなぜいま、有機農業、オーガニックが必要だと思いますか。私自身色々と活動してきて壁だと思っているのは、そもそも有機農業がなぜ必要なのか。なぜオーガニックをやる意味があるのかへの理解がまだまだ広がっていない。9割以上が慣行農産物の中で、日本で有機農業を広めることにどのような意味があるのか。どう思っておられるのだろうか。

秋津元輝 一番目なので、考える間があまりないのだが、先ほども話したが、有機農業が環境にいいとか人間の体にもいいとかがあるのだが、今の食や農を作りあげている社会システムを考え直す、そういうきっかけになることが一番重要なのではないか。有機農業を考えることがいまの食や農のシステムどういう方向に持っていくかのきっかけになる。議論することが極めて大事なので、それが私の立場からすると一番大事である。

三木孝昭 他の方もいろんなことを言われるので毛色の違う話を。私は登山が趣味なのだが、技術や経験があって初めて登りたい山に入れる。それは、登れる山とは違う。そういう感覚で田圃と接していると動物的な感覚を持ちたいと思う。人間は自然環境の中で脅威にさらされながら文明を作り社会化されて複雑化してきた。しかし、そのままでいいのだろうか。人間の都合ばかりではなく、生き物と一緒に生きる価値が大事である。農業は経済的評価されない部分がかなり大きいのだが、一次産業の人たちのボランティアで出来てしまっている。それにお金を払うべきだと思うのだが、それがいらないということですでにすごいズレが生じている。そうしたことから、もう少し、山に籠ったり自然にふれることでそうした感覚を取り戻すべきだろう。

菅野奈穂 有機農業の生き物が豊かな生態系にふれることでその恩恵を人間として知ろうと言うことですね。

佐藤一彦 基本的に食べ物は化学的な物質が使われてないことが大事なのだが、加工食品は添加物が多く、こうしたものを食べ続けて大丈夫なのだろうか。化学的なものを使われていないものを食べるべきだ。なおかつ、長い地球の歴史の中で色々な化学物質が食べ物に限られず使われ地球環境がおかしくなってきている。そうしたものを減らしたら生産量が落ちるかもしれないが。

菅野奈穂 臼杵市役所の行政マンとして、「ホンモノを食べよう」「化学物質を使っていないモノを食べよう」と行政職員として言うことは難しいのではないかと思うのだけれども。

佐藤一彦 かなり反発もあったが、農家の人も化学肥料を減らして頑張ってみましょうと。味噌醤油でも使われているので、人間が健康になっていくには有機農業が大事だということを言って来た。

柴山進 オーガニックをやるとき話しあったのは、普通の野菜は危険で有機野菜が安全安心だという考えは止めようと。一般的には日本の食べ物は安全安心であると。ただ、EUでは環境問題、水質汚染でみな有機農業を意識している。農業が環境汚染源だから大事であると。そこが日本と違う。日本は安全安心には金を出すが環境に対しては金を出さないと。

菅野奈穂 私もJA八郷は2回ほど言っているのだが、組織としてやっていくことの雰囲気に驚くのだが、環境への意識づけはJAの組織内で勉強会とかされていたのだろうか。

柴山進 JAの中ではしたことがないが、JAの中の有機部会があるのでその生産者とはやっている。

西村いつき 命を守る根本に食べ物があって、健康の根本に正しい食がある。そして、食の根本に正しい農業がある。秋津先生が冒頭でSDGsでの地球の限界をされたが、大気中にある窒素を固定したものが化学肥料だが、化学肥料を作るのには二酸化炭素が出るし、作物に吸われない成分は亜酸化窒素で二酸化炭素の三百倍の温室効果がある。世界はそれを意識している。また、農薬は86%が絶滅危惧種に関わっているし、命を守る視点、環境を守る視点が大切である。

菅野奈穂 兵庫では有機農業教室として消費者教育をされていると思うのだが、そういうときに一番、消費者に響く言葉は。なぜ、有機なのか、有機がいいということを伝えるうえで。

西村いつき 私たちは食べなければ死んでしまうし、その食べ物が安全でないといけないことをコウノトリから学んだ。そのことを若いお母さん、命を守る母性が大事なのかなと。それは、男性と違う感性なのかなと。やはり母乳を汚してならないと。

菅野奈穂 私も母としてそう思います。

千葉康伸 私自身は有機農業を選んだ時に、今とは全然違っていて新規で始めるのであれば付加価値をと思っていたのだが、実際にやってみて後から環境と密接であることを知った。私は有機農業が好きでやっているが、今、社会として有機がなぜ必要かというと、資材の枯渇や秋津先生が資料の中で言われたプラネタリーバウンダリー。環境的な側面、そして、リンと窒素。こうした肥料も簡単に手に入らなくなって来る可能性が多い。ほぼ輸入に頼っているので、ではどうするかというとまずは循環型である。有機農業は自然循環なので、有機農業だけでなく、自然循環、低投入型農業を広げるためのものとして有機農業をうまく使えば良い。

菅野奈穂 有機農業は化学肥料や農薬を使わないことだが、地域の資源を循環させることが改めて基本だと思った。

有機農業技術を進める鍵は何か

 次に、日本で有機農業技術を普及していくためには何が重要か。本日の課題は普及戦略を考えようなのだが、全国オーガニック給食協議会なのだが、広めようとすると供給量が少ないと言われてしまう。そこで、もっと有機農業技術を広めようと言うことで研修会を運営してきたのだが。どうしたらもっと有機農業が普及するでしょうか。ご経験からお伺いしたい。

秋津元輝 私の立場からすると有機農業に特化した農学部を作ることが大事であると思う。サイエンスに基づいた有機農業の研究を行おうとしている。有機農業は実践の方がはるかに技術的に進んでいる。科学的な裏付けが進んでいない。海外は日本と違って有機農業に特化した学部もあるが、それでも、もう少し科学的に明らかにしていく努力が必要であると思っている。その時に、色々と話をしたのだが、今までの農学は汎用的、どこでも使える技術が儲かるので、それを普及する形をとって来た。しかし、有機農業は局所的なので、そういう技術のあり方も求められているのだが、サイエンスはどこでも使えることなので、サイエンスの汎用的な性格とそうではない有機農業の局所的な性格をどうやって折り合いをつけていくか。そうしたことを奨めていきたい。

菅野奈穂 三木さんも技術のローカル化、局所的な技術が大事だと言われていたのだが、そういう研究はなかなかお金がつかないという話もあって、日本は他国に比べて研究が進まないという話も西村さんと話してもあったのだが。

秋津元輝 みどり戦略もあったので、国レベルでは研究助成で有機農業がらみの給付金が少し増えたが、どこから金もらって研究をしているかの情報があるのだが、やはり、企業が多い。人間が喜びそうな物質を見つけるような研究には物質が見つかると儲かるので企業が金を出す。共同研究の名前で研究費が降りると研究も規模が大きくてやれる。自然科学の研究は金がかかるので、そういう企業からのお金を含めて研究をやらないと成り立たないという構造的な問題もある。そこで、いかに公的なところから有機農業への支援を出してもらえるか。そして、もうひとつは農家と一緒にやっていくような研究をやっていく必要がある。アメリカではもう農家と一緒にやるような研究でないと研究助成を出さないことが普通なのだが、日本はそういうことがない。そういうことも視野に入れながら研究のあり方も考えていくことが必要かなと。

三木孝昭 我々は良くも悪くも民間研究機関なので、その意味では独自で研究を進めることができたことはある。技術を開発していくうえではこうすればこうなるという研究が割合と褒められがちで、我々もそういう研究をやってきたのだが、やってきた中で気が付いたのは、有機農業研究ではそうではないことがでてくる。Aという条件とBという条件でも同じような今の技術開発の方向では考え方を変えないと成り立たない。それが現場で長年やってきた結論である。

 相互作用の中でどの範囲で適用されるかは現地試験が非常に大事で、生産者も30軒40軒と一緒に話していくなかで実証試験をしていくなかで、技術が確立されていく。どうもこういう方向があると。今日もそういう中での話である。ただ、いろんなところで他流試合をしてきたのだが、新しいところで気象条件や土壌条件はわかっても現地にいかないと細かい水利条件がわからない。そこで、地域の研究者や普及員や我々のような民間や現地の生産者が、それぞれの得意分野で関わりあう中でやっていくことが有機農業を広げるうえで有機的な意味合いがあるのかなと。多様なモノを活かしていくことが大事である。あと、秋津先生が最初に言われたが出口がないと取り組めない。しかし、出口があっても技術がないと進まない。だからや、やはり両輪である。ただ、出口とは何かというと消費する人である。いま、農業と食べる人があまりにも分かれすぎているのが問題。だから、食べる人ももっと農業でなくてもいいが、自然に関わらないと、時間の余裕がないと大事な食べることに目がいかないことが問題である。少しゆとりを持てて大事なことにふえることから始めていかないといけない。

菅野奈穂 出口の一つが給食なのかなと思う。給食の関係者や消費者に改めて知ってもらいたいと思った。

佐藤一彦 大きく二つの柱でやってきた。ひとつは新規就農では、地域おこし協力隊で8人の就農者がいるが、里親的な有機農家の下で3年研修していく。もう一つがほんまもん農産物。そうした方には、県の技術OBの方に来てもらって、地域の気候条件にあったものを技術指導してもらっている。地域のことに精通した県のOBや農協の指導員も有機農業の技術指導ができるように勉強してもらっている。

菅野奈穂 県の普及指導員とJAの指導員が大事だという話は色々な方からも出たが、臼杵市が面白いのは市としても指導員を持っているところだ。それがすごい仕組みだなと思った。指導員の人はどうやって養成されたのだろうか。

佐藤一彦 私が指導するのが大変なので県の知っている人にお願いした。

菅野奈穂 素敵な仕組みだなと思う。市としてしっかり雇い、そうした人が技術指導していく流れもいろんな自治体も真似できると思った。

柴山進 有機農家を増やすのは二つである。まず、売れること。作ったものが売れればいい。だから、売り先があること。市場では高く売ろうとすると規格がある。そこで、今の形になっている。だから、食べる人とつながらないとできない。だから、食べる人がわかる。その意味で、学校給食も大事である。食べる人がわかる。そして、売れる。この二つがしっかりしないと転換できない。

菅野奈穂 JA八郷としても販売として東都生協とつながって出口をしっかりつくり、生産よりも消費が上回っているので、増やせるとうかがいました。シンプルだが、ちゃんと売れて食べる人がわかっていることが本当に当たり前だが、大事だなと。そして、生産者が学び合っていけば、生産者も技術が確保できると。売れることが大事だと。

西村いつき お話の中でも言ったが、高い目標設定をして、地域にあった技術の確立と指導者の養成、関係機関の連携、消費者の理解醸成だなと思っている。フランスは有機農業20%という高い目標を設定して、有機農業研究が国だけでも研究者が3,000人いる。日本は有機農業をする研究者がいない。都道府県でも有機農業の指導者を養成しようと思っても、そのための予算を付ける体力がない。アメリカは有機農業の研究を公的機関がしているのだが市民の民意がないと予算がつかないシステムになっている。そのためには消費者の理解醸成が必要ではないかと思う。韓国は1980年台から親環境農業で進めているが、まず研究をして、次に普及センターのようなものがあるのだが、道にいた指導者を市町の指導者に変えて広げようとしているし、学校給食と国を守る軍隊でも需要を確保して、そのうえで世論を形成して所得補償もしている。有機農業を広げていくためにはシステマティックにそういうことをしていく必要がある。

菅野奈穂 高い目標を持つこと。最初に言われたバックキャスティングが大事だと言われていたが、日本も国が高い目標を掲げて、公共調達で出口を作り、オーガニック給食で公共調達で増やしてくことが必要と思う。

千葉康伸 今まで有機農業は運動で地盤を作って推進法ができて社会に認められた世代がいて、それを受け取った我々の世代はやりやすくなった世代なので感謝をしているのだが、いまは、危険性とかをいう時代ではないので、もっと楽しい。有機農業は楽しいし、生きものとつながれるという軽くていいと思う。当たり前のオーガニックなればいいという人もいる。僕は農業も好きなので、愛される有機農業にするには買う人も運ぶ人も生産する人も楽しいイメージを作っていきたい。ネガティブでなくポジティブキャンペーンでやっていくことが大事である。また、普及体制を作っていくうえでは、時代が変わって農家が減っている分、農家同士が手を取り合って支えていかないといけないと。いろんな人がつながる場所があればいいのではないか。まわりに人がいるような。「何をやっているの」「有機だよ」という感じになればいいなと思っている。

菅野奈穂 新規就農で入られる方は農家だけでなく、行政等、皆を巻き込んでいくと。

千葉康伸 農家同士では受け入れないという人は多分いない。長野県のすごく有名な農家でチーム力、経営力を学んできた人もいる。農家同士の交流が大切である。

参加者への一言エール

菅野奈穂 農家同士がつながっていく、支え合っていくことが重要であると。では、最後の質問で、参加者へのメッセージを一言ずついただきたい。今日、参加されているのは、農家もいるが少数が、だいたいが、市役所やJA、市議会議員、市民団体なのだが、何らかの形で有機農業を進めようとするとしていて、何かしらの多くの方が壁にぶちあたっているのではないかなと思っているので、そういう人にエールを一言いただければと思う。

秋津元輝 講演の中でも話をしたが食からの地域づくり。それを主体的に考えていって欲しい。住民たちで食から考えた時にどのような未来があるのかを考える組織を作って、自分たちの未来の結果を考えた結果を自治体に届けていく。そういう活動をして欲しい。僕らはそれをやってきたので。野望としては全国に広げていきたかったので。学校給食を推進することもひとつで、オーガニックだけにもとどまらずに、食から何が変わっていけばいいのかを話し合う場を作ってほしい。

三木孝昭 人間社会だけでなく地球という中に我々がいる。そういう社会活動。自然の中に身を置いていると日々面白いことに出会う。そして、日々難しいことにも直面する。それを楽しむことなのも人間なので、つながっていく、つながっていろんな人がやっていく。そうしたことで地域を見ていけば、地域の面白さや個性が見えてきて、面白いよね、楽しいよねと。どれだけ、自分毎にするか。いろんな分野の人が地域の面白いことをやった方がいいよという人が、ネットワークなのか、場づくりなのか。自治体とか行政がやってもらえると嬉しいと思っている。

佐藤一彦 オーガニックも大事だが地域でできたものをおいしく食べることが非常に大切である。行政は、市民の皆さんが第一次産業、食を選択する意識を醸成していく。何にしてもそれを行政全体でやっていく。私たちの食の選択は味や栄養価だけでなく、生存に関わることなので、選ぶ選択がたいせつなので、そうした市民の皆さんの意識醸成がだいぶできてきた。そこに有機農業の未来がある。

柴山進 組合長から言われたことだが、「農業が大事だ」と農業者が言ったら、それは自己主張だが、農業体験した消費者が同じことを言うとそれは世論になる。農業体験や小学生への教育をしているが、農業の理解者、応援者を作ることが大事かなと。そして、美味しかったということが生産者の励み。消費者と交流しながら美味しかったと言われるのが生産者にとって大事である。

西村いつき 論点がずれるかもしれないが、有機農業の関係で海外からも招聘を受けて、昨年は内モンゴルに行ってきた。チベット仏教の寺院に行って「生き神様」にお目にかかった。その方の話では人はこの世に修行のために生まれてくると。前世でやり残してきたことが修行であると。どんなことをしてもうまくいって皆から愛されるとても幸せな人生を送る人は、前世に世のために人のためになることをしてきた人だと言われた。有機農業も世のため人のためになる農業なので、人に生まれてこれない人もいる。虫にも命があって、殺生はいけないと言われた。なので、是非、皆さんは世のため、人のために有機農業を進めていただきたい。すごく日本非科学的だが、日本以外のところにいってそういうことを感じた。

千葉康伸 メッセージ。昔は危ない会だと思われた時代もあったのが、いまはかなりオープンにいろんなことをやれる時代になった。皆、正義感とか。社会に還元したいと思っているのだろうが、本来の大筋に行っているので、正しいことを認識していても行動ができない人がいるだけなので、時間が解決すると思う。オーガニックはやっていて楽しいし、生きがいにもなるので、勝手に広がっていくと思っているが、流行るために必要なことといえば、ここにいる人たち、関係者をとにかく増やすことが大事で、やりたいことを一人でやることは大変なので、仲間を増やさないといけない。一人でなく誰かと一緒であれば、落ち込むこともなくいので楽しくやってほしい。暗いイメージは嫌なので。いいことをやっているのに、楽しくやらないといけない。周りを巻き込んで。

菅野奈穂 パネルディスカッションは終わりで会場の皆さんとの質疑応答に移りたい。

吉田太郎 皆さんの川下が大事、広げることが大事だとは思うのだが、西村先生にお伺いしたい。イオンはヨーロッパ並みに消費者のニーズが変われば、今から新規就農者に眉をつけておくひつようがあると。こうしたビジネスの動きは有機農業のリジェンドである金子美登さんのお金にしてはいけない、提携・贈与と相矛盾する気もするのだが。ローカルとの絡みで消費者との結びつきで、そういうビジネスをどうお考えになっているのか。

西村いつき 兵庫県もイオンと提携していて、農業大学校もイオンと提携している。イオンは、EUの有機農業ブームを市場調査されていて、向こうの波がくるので、それまでに日本の有機農家と市場の抱え込みをするということで実際に動いている。有機農業教室からの新たな新規就農者もご紹介している。イオンは、新規就農する方が家族も養えるような経営体系も作っていくということで、何をどれだけ作って育てれば年間所得が何百万なるという経営的なサポートもして有機農家の育成もしている。兵庫県の場合は量販店とも提携しているし、コープ自然派とかコープ神戸の協力も得ながら経営として成り立つ有機農業を進めている。それでよろしいでしょうか。

吉田太郎 世界的にも有機農業の市場化、小規模家族農業ではなく大規模でなくビジネスとしての動きもあると思うのですが。

西村いつき いえ、小規模がほとんどですね。神鍋高原では年間2,000万円の所得がありますが、それとて小規模。大規模がないので。

編集後記

 本稿は、2026年1月23日(金)13:00~18:00にかけて、「全国オーガニック給食協議会」の主催によって、都立白川清澄公園内の大正記念館DSCN7498 - コピー.JPGとオンラインで行われた最後のパネルディスカッションの内容をまとめたものである。 なお、これも、あくまでも、会場での聞き取りメモを再整理させていただいたものとして正確さに欠けることをご理解いただきたい。さらに、パラグラフも編集子が勝手につけたものである。ただ、ここでの話題もKJ法で整理することで「こういう構造になっているのか」と参考になることがあるのではないかと思っている。さらに、この閉会後の同じ会場での懇親・交流会も大変に参考になったことを申し添えたい。
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2025年12月17日

全国へ広がる! 令和の百姓一揆意見交換会

生産者と消費者との連帯が大切

開会挨拶

実行委員会事務局長 高橋宏通 3月30日にトラクター行進をしたが、24カ所、述べ6,930名、トラクター117台、軽トラ等の車両174台が参加した。まだ、道半ばで来年3月29日に第二回をしたい。

 農政が目まぐるしく変わり、どうすればいいのか。消費者は「農家が儲かっている」と思っている。そうした考え方を変えないといけない。生産者と消費者との連帯が必要である。いま、作っている人がどんどん減ってきている中、農地を守ることの大切さを確認していきたい。

できないではなく、どうすればできるかを考えるのが行政

20251217003S.JPG山口ひとみ 山形県の令和の百姓一揆の共同代表。11月24日に山形市でトラクター5台、軽トラ15台で行い200名が参加した。その後、「農と食の未来をつなぐ」というシンポジウムを開いたが、こちらも300名が参加した。生産者と消費者とが3名ずつ登壇してのクロストークとなったが、生産者側からは農業は水循環を守っており、国防でもあり、中山間地域農地の重要性、そして、新規就農者をどう確保するかが主張された。消費者からは、食の安全、食農教育を訴え、農業と関わることが楽しい、知ることから何かできることを考えたいとの意見がでた。また、市民側からの要望に対して「それは、できない」と答えるのではなく、「どうすればできるかを考えるのが行政だろう」という行政に対する厳しい意見もでた。とにかく、今の農政があまりにも猫の目で先が見通せないことから、色々な意見交換が出された。そういうことを知ることができたのは大きな進歩だったし、「小さな座談会をこれからもやって欲しい」との意見もあったので、色々な形でこれからも続けていきたい。また、実行委員会には議員も参加していたので、ほとんどのテレビでも一揆について報道され多くの人に知ってもらうことができた。

マスコミよりもフェイス・トゥ・フェイスで農家と語ることが一番

堀井修 どうやって一般の人に広げるか。JAにも入ってもらうこと。また、テレビ、新聞、マスコミにどう扱ってもらうか。これを最大の課題としたことから、実行委員会の段階からテレビにも取材してもらったため、地元の新聞でも一揆の1週間前から告知されたことから、盛り上がった。6月14日に長岡市でトラクター9台、軽トラ35台で行い約220名が参加した。

 結果からして、トラクターを出すことは労力もかかるので、これを何十台も連ねてやることはしないほうがいい。むしろ、これからは、軽トラでやろうということになった。また、自民党の県会議員、JAの組合長も来たりした。全県ではなく、長岡市ならば長岡市とか、県内の各地域毎で多発的やったほうがいいと思う。また、消費者にも来てもらって話をしてもらったが、「なるほどな」と思ったのは、テレビや新聞では実態がわからないが、フェイス・トゥ・フェイスで農家と話すことが一番効果的だと。また、今、米価がおかしくなっているが、これが3万円を切ったら大変なことになる。なお、最後に提案したいのは、菅野芳秀さんが倒れたらしいのだが、少し痩せてもらったほうがいい。

無関心の消費者がどう農とつながり自分毎として考えるかが大切

あすなろ  三鷹市の井の頭公園でオーガニックフェスタをした。事務局の高橋さんと市村さんに来てもらって、「コメ問題をどう考えたらいいのか」について講演をしてもらった。また、11月9日には、多摩市、稲城市、府中市の30区が高橋さんを呼んで、「コメの高騰ではJAが悪だ」とか、言われているが、これが何であったのかについて学んだ。

 東京といっても、多摩地域にはまだ農地が残っているので、一括りで「東京」にするのではなく、都心部でどのようにして農業とつながるのか。少しづつ、農業との距離を詰めていきたい。まだ、勉強会だけからしかできていないのだが、仮に百姓一揆をやってトラクターデモを仕掛けたとしても、圧倒的大人数の消費者がそれを「自分毎」として考えないと始まらない。関心のない人にそれをどう呼びかけていくか。本来、農業があるべきかはどうかは高橋さんのお話を聞けばわかるだろうが、そうしたことを都内の皆さんと協力してやっていきたい。

都市からの移住者が多い地域や食健連の経験から、消費者の関心をどう高めるかを学びたい

吉野信次  千葉県の松戸市。3月30日の港区のトラクターデモには参加した。農業の消滅とかを他人事として受け止めていたが、菅野芳秀さんの訴えで、考えさせられるものがあった。「安ければ、どこで作られた農産物でもいい」という都市に住む人たちに対して、どう連帯していけるのか。そこで、5月に「農と食の危機」への緊急勉強会を呼びかけた。そして、千葉県でも大規模な生産者と意見交換をした。そして、我々は、素人なのだが、10月7日に農水省と交渉。34項目の質問をして、20の提案をした。その結果、「農業の消滅は確実に来るな」と改めて実感した。これからは、千葉県の中でも色々なところで意見交換をやっていきたい。鴨川市のように都会からの移住者が多いところや生活クラブ生協、農民連の食健連とか。そうした中から、都市の市民の意識をどう変えていくかを学んでいきたい。江戸時代からの百姓の戦いに学びながら、農を国の基本にしたい。

杉山敦子 今、国会議員が何人か見えられたので挨拶を。

打越さく良 立憲民主党の参議院議員の打越さく良です。新潟選出です。米価の高騰とか皆さんが言われるとおり。なのに、こうした意見が国会で通らない。

20251217010S.JPGラサール石井 この10月に新潟の堀井修さんのところに行った。素人ながら自分が考えたのは、農業は、資本主義や新由主義では無理で、やはり、社会主義的でないと成立しないのかなということだ。

多ケ谷亮 れいわ新撰組の副代表をしている。鈴木宣弘先生と全国20ヶ所を回っているが、政府がチグハグな農政をする中で、国民の農業への関心は高まっていると。国民の関心が高い今ほどチャンスだと思う。生産者が安心して仕事ができる環境づくりをしたいし、食の安全保障からもそれを達成したい。

ほとんどの消費者が実態を知らない、農業消滅まで時間がないので最善策を考えたい

藤松泰通 静岡県の浜松市。3月30日は突発的に行ったが、100名が集まり関心が高いことがわかった。そこで、7月21日に15台のトラクターで行進をした。その時も160名くらい人が集まった。その近くで井戸端会議を行い、山田正彦先生にも来てもらった。多くの消費者が知らなかったといい、時間が足りないくらいのいい集会となった。来年もまた行いたい。

 浜松は市としては大きく、農家数も多いのだが、全体としては関心が高くない。4月にはテレビで報道してもらったがまだ関心は高まっていない。まず、JAとつながることが大事。そして、国民運動として盛りあげていかないと、あと数年で日本農業がどうなるかわからないので最善の策で動いていきたい。

原爆でゼロから出発した広島は寸劇で人々の関心を集める

鎌谷一也  鳥取県で農家540戸で265haを耕作する農事組合法人。以前に調査をしたら、半分以上の農家が経営が苦しいと。誰がこんな米価にしたかということで、デモをした。そして、いよいよ2024年には「このままでは稲作が続かない」ということで、全農に交渉に行ってきた。そのころは5キロで4,200円だった。生産者、農協、卸売り、小売業と関係しているが、2万4000円。生協でも5,000円で売っている場合ではないと。消費者には新聞折込で5万部を出した。鳥取の中で生産コストを明らかにして、鳥取県民の適正価格を出していきたい。そして、オーガニックにも取り組んでいく。

宮地候子 広島だが3月30日の令和の一揆で西原美和さんと知り合った。そこで、3人が立ち上がった。北広島と広島市で2回行った。7月21日はトラクター10台、軽トラ10台で行い70名が参加した。11月24日はトラクター5台、軽トラ15台で行い100名が参加した。2回目は趣向を凝らして寸劇もした。

西原美和 日本の自給率は38%だが大阪や東京は0%である。そこで、「語る場、つながる場、学ぶ場」をスローガンにまず、知ってもらう。そして、お互いに理解する。自分の命は自分で守る。そして、一人一人が代表。ここで話している時間がなんだ。そう思ったら、単純でシンプル。被曝直後の広島と同じく、ゼロから作っていく。

杉山敦子 ここからは、ウェブからです。

猫の目農政ではなく、農家つぶし農政

伊藤政志 愛知県農民連の会長である。3月30日には東京で参加した。食健連の総会があって静岡県の浜松市でもやったと聞いていたので、豊橋市は愛知でも3番目の都市だが、11月16日に開催した。学習会も行うので印鑰智哉さんに講演に来てもらい、事前にアグロエコロジーのプレ学習会を行った。初めてだったがトラクター4台と軽トラ10台を集めてインパクトを作ったのでパレードにはなった。政治家は来なかったがマスコミが扱ってくれた。先ほど「猫の目農政」とNO意見があたったが、猫の目どころか、規模拡大、大型化、ハイテク化。そして、外国に輸出するという政策になっているので、まさに国内農業を潰すための政策になりつつあることがシンポジウムや学習会から出てきた。価格補償や所得補償で農家に安心して農業をやってもらうことが重要なポイントである。3月には名古屋でやる。豊橋市は60人だったが、名古屋は100人は集めたい。都会の真ん中でやることはインパクトがあるのではないか。

JAもこちら側の主張に共感・賛同

中井良久 滋賀県では湖東市と近江八幡市で軽トラパレードと街頭宣伝を行った。各JA。新婦人、食健連で、集まってのぼり旗も作った。意外なのはSNSで出したら、大阪、京都からも人が来たことで関心の高さを実感した。7月4日は宣伝しないのに、消費者の方から参加したいとの声があった。秋のグリーンウェーブで各JAを回っているが「農民連のいう通りだ」との反応がある。つまり、生産者と消費者がウィンウィンでやっていくと。我々は農村を中心に回ったが、これからは大津など滋賀県の大都市でもやっていかなければあかん。

国民皆農も視野に入れた息の長い運動を

森本吉秀 奈良県の農民連の事務所は飛鳥村にある。この建物の隣が斉明女帝の古墳である。世界遺産に来年登録されるが、すぐ前に星野リゾートのホテルが建設中である。入省2年目に、農水省の職員の時に現場で田植えをしたいと 鈴木農林大臣が田植えをしたところである。だから、現場を知らないわけではないが、今、叩かれている。最初は軽トラ20人で組合員。SNSで集めたら100人とかどんどん集まって、JA奈良から県庁まで2キロあるのだが行進した。一過性だとダメで、「令和の百姓一揆」のフレーズは浸透しているので、恒常的な運動とか活動とかは息が長いことが大事である。僕も60代だがほとんどが70代で棚田の米を作っているので引き継ぐために頑張っていきたい。

安田政教 京都農民連の代表、食健連の事務局長。丹後で実施した。京都の八条駅で食県連として宣伝した。また、京都は広いので丹波町でも美山町を2回やった。「何が起こったんだ」という宣伝効果があった。農民連と新婦人の産直35年の35周年の学習で、7月12日のシンポジウムは200人が参加した。学習会での講師要請もある。国民皆農を考えていきたい。

関心ある人をつなげる広報活動が大切・楽しいイベントは有効

安渓貴子 山口県ではラインでつながって、東京でもやるのでこちらでもやろうと。石田卓成副会長が中心になっている。私は35年間も続いている「山口環境保全型農業推進研究会」の副会長で、山口県庁の前でやったが、岩国、下関と県内各地から100人も集まってきた。楽しい行進を桜が散る中でやって良かったと思う。

 さて、今度の3月29日には有機農業の6団体が一緒になってやる予定だが、3月1日に印鑰智哉さんに来てもらってスマート農業で話をしてもらう。もう一回、しっかりやろうと考えている。百姓一揆は広報がきちんとできていなかったのでマスコミは2社だった。また、もう一つ、この夏に山口県の県庁で農業振興課と意見交換会を開いた。また、県会議員にも集まってもらって意見交換をしている。山口はニュースがつながらないので広報活動がまず大事。そうしたところともつながって山口県でいろんなニュースを伝えたい。

森あやこ 福岡県は11月30日に鈴木宣弘先生を呼んだシンポジウムを弁護士会館でやった。その近くの六本松の交差点で街頭での宣伝をした。トラクターは無理なので紙で組み立てやった。リレートークは、グリーンコープの農家支援、農家、田園プロジェクト。モデル的な活動をしている初面もした。非常に多かった。農家の切実な思いが伝わった。やるべき農政がやれていない。

薬師寺ひろみ  大分県のグリーンコープ生協おおいた。グリーンコープには43万人の組合員がいる。温暖化で規格外野菜になっているので、それを売り買いしている。大分大学の小山敬晴先生と一緒に私たちもやろうではないかと。大分県だけでなく北九州市からもきた。生産者と消費者の意見交換会では、無農薬の高原野菜を作りたいとか、無農薬のブルーベリーの認証を取ったとか。買って応援するだけでなく援農をしていこうという仕組みをつくった。これからもオールグリーンコープにこの動きを広げていきたい。

渡邉浩 農業と環境の問題を大事にしようと広範な国民連合熊本を一昨年に作った。80人くらいが集まった。熊大の名誉教授の徳野貞雄先生を呼んで、課題を知ってもらった。この課題をいかに多くの人に広げていくか。鈴木先生にも来てもらったが、普通の農家ともいかにつながるのかが課題である

沖縄県のビデオ上映 沖縄の自給率は30%だが、サトウキビを除くと6%。アメリカの要請で農業を弱体化してきた。ある農家は100頭牛を40頭に減らし、空いた時間でアルバイトをしている。農家が廃業し、農家は絶滅危惧種。ヤンバルクイナよりも守らなければいけない。沖縄の各地に綱引きがあることは米を作っていた証拠。

田食道弘 島根の農民連の会長をしている。島根は他地域よりも遅れていて、動いたのは農民連だけである。8月4日に県農政部長と会見し、県庁前で街頭宣伝を行った。マスコミが7、8社来て、テレビでも報道された。農民連は過去にも県庁前で活動をやっていたのだが、米問題が深刻ということで報道をしてもらった。吉賀町の取り組みもなされた。島根は保守王国なので他の団体がないのが悩みだが、頑張っていきたい。

20251217014S.JPG福島瑞穂 沖縄の動画が元気でしたよね。農水省と交渉したら農業をしていない面積が増えて農業従事者が減っていることにはなるのだが、それが、個別所得補償にはならない。高市政権の農政も、陸上養殖やビジネス。大規模農業や工業化された農業は応援するけれども、各地で苦しんでいる農業への答えはない。民主党政権の時のように個別所得補償をしないといけないと思っている。農業がダメになって、瑞穂の国がなくなっていいのかと瑞穂は思う。食糧安全保障が大事である。

広島の寸劇、沖縄の音楽のような楽しさの裏に「最初に飢えるのは消費者」というスパイスも

杉山敦子 では、これまでのまとめを実行委員会の金谷さんから。

20251217016S.JPG金谷雅史 これまで様々な報告があったが、それを聞いた私個人の意見だが、消費者の理解度、解像度に違いがあるなと。例えば、もっとフェイス・トゥ・フェイスがよかったという意見があったり、消費者の関心度合いが一様ではない。菅野芳秀さんが「我々はいいんだ。問題は消費者なんだ。何をやっているんだ」と言われたことが印象的だった。つまり、知らない人にどのように伝えていくがすごく大事で、熊本では「最初に飢えるのは消費者」というキャッチフレーズ。かっこがきにするべきだがこうしたことが大事だと。また、広島での寸劇がよかった。最後の沖縄での音楽もよかった。まだまだ、興味がない都市部の人に訴えていくのにはこうした楽しい音楽がいい。

農水省の農政は産業政策だけで地域政策が欠落・地域・いのち・相互連携がキーワード

20251217018S.JPG菅野芳秀 各地からの報告を聞いた。しかしながら、今の農業政策は、産業政策と地域づくり政策があるのだが、産業政策しかない。しかも、そちらも規模拡大一辺倒、生活を守るのならば農業から離れざるを得ない。瑞穂の国がそうでなくなっている。我々は「自給率の向上」と言ってきたのだが、矛を納めるわけにはいけない。来年も再来年も戦う必要がある。

 ただ、もう一点、付け加えたいのは国政に訴えるだけでなく、具体的に地域を守ることが必要だということだ。かかりつけ医者が必要。私たちが作らなければならないのは、かかりつけ農家とかかりつけ消費者の連携である。農繁期にはお手伝いしてもらう代わりに、消費者が食に困った時には、食料を持って駆けつける。キーワードは地域、いのち、相互連携だと思う。来季も日本の農業を守るために働きかけていきたい。引き続きどうぞ、共に頑張っていきましょう。

直接支払いなくば長野県の中山間地域農業はたちゆかない

吉田はるみ  一緒に戦っていきましょう。

20251217021S.jpg篠原孝 農家戸数や農業従事者が1960年くらいには1,270万人で全就業人口の30%を占めていた。ところが、この間の農業センサスでは基幹的農業従事者が102万人である。毎年、農民になるのは医師になる人よりも数ない。民主党が政権与党の時に青年農業者のための交付金を1年間で150万円を5年出すことで少しは新規就農者が増えたが、その後は増えていない。やっていけないからだと思う。長野県の一区、中野市では、キノコと果樹が盛んだが、シャインマスカットは不謹慎な食べ物で、1房が2,000円、3,000円する。10aあたりの粗収入が1,500万円から2,000万円になる。1億円農家がザラにできている。こんな農家に対して補助金はいらない。だけれども、一生懸命に耕しても10万円、20万円では作るはずがない。これをなんとかしなければならない。シャインマスカットやリンゴはちゃんと作れても、コメを作る農家には国が感謝の印としてお金を出していかないといけない。それは、卑屈になる必要がない。それがないともたない。新潟平野のように平ならばいいけれども、長野の中山間地域は全部つぶれていく。できるわけないです。そして、こういう水田なしに自給率38%といっているが、このうち22%は米。やっていけるわけがない。政権交代してやらなければ無理だと。ですから、早く政権交代をして衆議院の終活をしていきたい。以上です。

西川将人 立憲民主党。北海道の旭川は、北海道では有数のコメの産地なのだがここでも農家が減っている。今の政策では農地を守っていけない。

徳永エリ 参議院議員を3期15年やっている。農林水産委員会の委員である。まだ、5Kgが2,000円だった以前に「米は高くない」と言ったら、それが、報道されたおかげで 半年間SNSで叩かれ続けた。けれども、今は「適正価格は3,000円から4,000円だ」と言ったら、消費者からは「4,000円でも買う」というリアクションがある。中山間地域の現場は、高齢化、担い手不足、鳥獣被害に直面し、地球温暖化で農産物の品質も下がっている。だから、直接支払いによる所得補償が必要なのだが、消費者も皆が苦しい時代なので、以前のような主張はできない。そこで、「農家が食料と農地を守ることに感謝しよう」と。だから、立憲は食農支払いと呼んでいる。1兆2,000億円を提唱している。

八幡愛 れいわ新撰組。今日、皆さんが言っていることは当たり前のことではないか。農林水産委員会が明日あるので諦めずにやっていく。

20251217024S.JPG山田勝彦 農林水産委員会で質疑をしますので是非、皆さんみていただきたいです。農水省に畜産農家の時給を確認したらマイナス1万3,000円の赤字だと。米農家の自給が10円で畜産農家の自給がマイナスであれば、これでは誰も農業を続けなくなってしまう。すべての農業者に安定して安心して農業を続けるためにはやはり所得補償制度が必要ではないでしょうか。そういう当たり前の農政を求めて皆さんと共に声をあげていきます。ともにがんばりましょう。

松木ケンコウ 皆さんが言ったとおりです。山田正彦先生と会えたのが一番うれしい。がんばりましょう。

20251217025S.JPG岩渕友 「米が足りない」と委員会で言い続けてきたが、ようやく認めて増産となったら、また、政権が変わったらまた後戻り。政府は需給を見誤ったのに、生産者は需要に応じた生産ができるのか。生産を続けていけるだけの価格。それを作っていく。農業予算を抜本的に増やせ。私も力を合わせて頑張りたい。

20251217028S.jpg紙智子 今、洪水のように離農が増えている。地域を無くしていかないと。やはりこの訴えは事実だし、真剣だから人の心に響く。そういう真剣さで望んでいかなければならない。各地を歩いている。本州も鳥取、愛媛にも行った。日本の農政を変えなければいけない。消費者もわかっている。

地方自治体では自給率向上や所得補償を議会が議論

杉山敦子 地方議員も頑張っておられるので、鶴岡の草島さん。

草島進一 9月議会で全会一致で自民党も賛同して、所得補償を出した。12月議会も相当数意見書が出ている。今のままで次の世代がやれますかと。米どころの鶴岡市でも出来ますかと。自民党でも賛同している。

杉山敦子 栃木市議会でもあったという報告を。

高橋宏通 栃木市議会も今朝連絡、自給率向上と所得補償が全会一致で採決される見込み。

杉山敦子 草島さんの意見書も共有できるので。で、垣根を超えてどうやっていくか。


農水省は国税をかけて除草剤を散布する乾田農業を推進

下山久信 意見じゃなくて報告。今日、農林水産省が1時から5時まで田植えをしないコンソーシアムの2回目をやっている。1回目は、徳本修一さんが出演したが、ガイアの夜明けやNHKが取り上げて、いいことばかりで、まず、最初にラウンドアップを3、4回は播く。つまり、農薬が多いことが言われていない。そういう政策を農水省が40億円かけて推進している。今日は、企業がいっぱい参加している。こういう流れが出来ている。ドローンで農薬を散布すると、水田からメタンガスも出てこないと。バイエルの社長がスイスのダボス会議で「アジアの水田農業がいけない」と言ったことが背景にある。つまり、これは、国際農薬会社の陰謀だと思っている。

杉山敦子 税金がそういうことに回っているということです。

武田まさひと 稲城市議会の立憲の議員である。生産緑地がある。百姓一揆の話をすると「ああ、米の話ね」と言われる。なし農家が多いので非常に反応が悪かった。ただ、来年から建設環境委員会、農業推進基本条例を作ろうという気運になってきた。30区とあったが、これプラスして、日野市と八王子市が参考になる。まずは多摩の地域で新しい風を起こしていきたい。新規就農も難しいので研究していきたい。

杉山敦子 まず、飢えるのは東京なので、農業をどう考えるかを。

T 千葉県の鴨川から。新規就農者が増えるのにどうするかが一番の問題。老齢化で地元農家は諦めている。手遅れというのが実感。僕らは移住者なのだが、移住者2、3年前から増えていて有機農業、半農半X。旧三芳村は地元が15名、30名くらいが移住者。しかし、彼らは消費者と産直をやっていてもその後継者がいない。入ってくる人は蛸壺で横のつながりがない。蛸壺からでて場作りが大事なので第1回の会議をやった。地域を再生すると。地元には失礼だけれども後継者がいないので、地元にはそんな意欲はない。移住してきた有機農家がやるしかない。傲慢だけれども、新規就農者をどうやってするか。研修制度を整える。機械を銀行でリース。所得保証。システム的に回せるようにすることで素人でも構わないけれども米作りができる。そういう状況があるのでどう作るかが最大の問題だと思う。

杉山敦子 そこへの支援がないことも言われ続けていますが。

O 千葉からです。関連で。長期的展望を持たなければいけない。今農家の平均年齢が70歳をちょっと切っている。農業に関心を持って農業をやる人をどうやって育てるか。農業大学校がある。農業系の高校、大学、農業大学校で合格した生徒は無償とする。そういう道を用意することが農業への関心を増やすことにつながっていくと。

杉山敦子 消費者と生産者との垣根をどうやって崩していくか。圧倒的に消費者が多いので。

堀井修 我々の勉強会とかで医者が出てきた。出鱈目のものを食っている。だけれども、腸内細菌は100年前のと同じですよと。パンを食っているからアトピーになる。要は食べ方。今回の百姓一揆で菅野さんと約束したのは、若い衆を探そうよと。大学のゼミからそれを組織しようと。それに手をつけるしかないんだ。今、遺伝子組み換えで水田を乾田化してメタンを出さないようにするとか。ラウンドアップレディはその典型で、完全に日本の農業を潰そうという最後の仕上げだね。我々の知っている農水省の役人がカナダに行ったら「小麦は人間の食べ物だから、遺伝子組み換えをしない。ダイズは人間の食い物ではないから遺伝子組み換えをする」と。つまり、いろんなことが企まれているのかなと。そういう動きを察知して潰していかないと。多くの皆さんに知ってもらい「私がやるよ」と言ってもらいたい。年寄りが出る幕ではないのだがのさばっている。

伊藤政志 先ほど、担い手の育成の話があったが、一時期、年間150万円の支給とあったが、10年以上やっていかないと続かない。農業大学校に5年間、月1で通ったが、農業をやってみたい若い人が多かったが、有機農業を教えているところが少ない。無農薬とか有機に踏み出していくのは本当に少なく、岐阜県の白川町とか本当に少ない。そこで、まず、一般の農業からやってそれから有機に転換していく。最初から有機農業でやって失敗したらどうなのかなと。ベースのお金は年間で200万。肥料とかも入れていくともっと経費もかかる。10年以上やらないと定着しないと5年くらいで終わっちゃうと担い手も消えていってしまう。なお、農業センサスでもこの5年で30万以上がなくなっている。なお、センサスでの平均年齢68歳が67歳になったのは高齢者が辞めたからである。

杉山敦子 まさに1%が1億人を支えている感じでした。

S 財務省の前でデモをやっている。とにかく、今日、語られているこの事実を皆が知らない。だから、消費者をどう巻き込んでいくか。それが命題。沖縄の「ええじゃないか」もあったが、今の消費者はストレス満タンで、「消費税反対」とやってもほとんど関心がない。だから、お祭りっぽくして、人を引き寄せると。そして、東京は物流が止まったらなくなると。非常に大変なことを入り口を易しく訴えて仲間を増やしていく。明るく楽しくこの活動を消費者に向けてやっていくことがいいんじゃないか。

山田正彦 昔、四公六民だと食えたが、五公五民だと一揆が起きた。それは、農家が食べられないからだ。今も農家の収入の5割は公的に49%払われている。そこで、令和の一揆をしないと日本の農家がやっていけない。そのことをわかってもらう。さきほど、徳永エリさんも言いましたけれども、蒲谷さんも言ってくれましたけれども、蒲谷さんは「あの程度でいい」というのだが、10aあたり、皆に1万5,000円を支払う所得補償をした。私も世界を各地を回ってきたがどこもやっている。ヨーロッパも農家収入の8割が税金。アメリカでも調べたらアメリカも農家が赤字で4割は国からの所得補償。ところが、これが日本にはない。これが大事なことだと思っている。だから、是非とも個別所得補償を実現して欲しい。もう一つは新規就農者の対策。実際に農業で食べていけるには最低でも5年はかかる。だから、月に15万円ずつお金を出す制度を実現した。それがあると本当にありがたいと。そうしたことを言いたくて、今日も参加させていただいた。

S  松戸市から来た。流れからして、これまでの話をぶち壊す話なるが覚悟して聞いてほしい。先ほど遺伝子組み換え農産物の話があった。フランスの女性監督が「不自然な食べ物」という映画で、モンサントの悪業を暴いている。遺伝子組み換えの小麦の問題である(注)。また、10年前に上梓されたウイリアム・デイビスの『小麦は食べるな』(2013)日本文芸社とデイビッド・パールマターの『いつものパンがあなたを殺す』(2015)三笠書房という本。今の小麦のために風船みたいに膨らんだ肥満体が起きている。グルテン、パーキンソン病、心臓病、アルツハイマー病。皆、小麦が原因である。これを証明したのが、ノバク・ジョコビッチの本『ジョコビッチの生まれ変わる食事』(2015)三五館である。現実にそういう時代が来ているからほとんどが病人である。だから、小麦を輸入するな、米を食べろ。そして、日本の国産の小麦を守るために。

(注)小麦は遺伝子組み換えではない。発言者の誤解
大切なことをメディアが伝えないからかかりつけ農家システムで応援を

山口ひとみ 山形でシンポジウムをやったのだが、新規就農者でも力がある人はネットを使って自分で米の値段を決めている。ただし、「新しく新規就農した人を支えていくことが理念としてあるべきだよね」と菅野芳秀さんも言っている。それが、かかりつけの農家を作ること。小さな農家ならば200人の消費者がいれば食べていける。ただ、そこまでの仕組みを作ることができない人もいるので、どうやったら安心して食べていけるのか。それには、小さな情報の交換をやっていければいい。それとメディアの力が大きい。伝えなければいけないことが、1、2社のまともなところからしか入ってこない。これに声としてあげることが大事ではないか。気づいた消費者は手を上げることでつなげてもらいたい。

U 院内集会でたくさんの農家から言葉があり、小田原のジョイファームから長谷川功さんを選んだ。ジョイファームは果樹園なので、政府が「サツマイモを作れ」と言ったらそれは可能ではないと。果樹では跳ねたものを持っていっ

S 山口県の岩国市でわさび農業をやっている。来年には農村RMOを行政と一体となってやろうと思っている。千葉の田中先輩が言われたように担い手不足が深刻だが、防衛と安全保障の関係で専門的な先生方と話をしているのだが、根本的に変えることは自衛隊の予備役である。日本は4万人だが、韓国は34万人、中国は2,000万人。圧倒的に兵力がない。だから、屯田兵をやれと。それで、農民と自衛隊の予備役を作ることができると。もう少し大きな話は今の中央集権が問題なので、地域から変えなければいけない。廃県置藩をすべき。

草島進一 要は消費者も理解して税金をかけろということ。今の農業予算の2兆円を5兆円にするべき。

杉山敦子 では、3月29日の計画について藤松さんから

自給率を高めることは他国の農業を守り最終的に移民問題も解決する

藤松泰通 皆さんの話を聞いていて皆同じだなと思った。明るい希望のある未来、健康な食があるために、まず、消費者の方を含めた声で発信していくことが大事であると。消費者とつながることが大事であると。実は、農家と消費者とが切り離されている。乾田直播も企業が中心となるし外国に利益となるし、輸入も危険なので。「コメがなくても小麦を食べればいい」という意見もあるが、小麦の値段も高騰しているし、台湾有事が起これば輸入されるかどうかも不透明である。本気でやれば田んぼでも1,000万tを作れるのが、それだけの生産をしなくても、フードロスの問題もある。畜産も国内に循環されてない家畜分を堆肥にして使えば化学肥料に頼らずとも自給できると思っている。それまで日本はずっとそうしたことを行ってきたので、百姓の技、技術があれば日本の農業は世界に対して解決策を提示できるのではないかと思っている。

 今、先進国、アメリカもEUも移民問題で困っている。というのは、先進国は輸出型農業を行うことで輸出先の農業を破壊してしまう。そうすると、そうした国の農民が移民となって海外に脱出する。つまり、輸出型農業は自業自得であるので、自国農業を守ることが他国の農業を守ることにもなると思う。消費者とつながる勉強会を3月29日にして、農民としての声をあげていきたい。いい会になったと思う。

杉山敦子 同じ日に開催してくれれば注目度も変わるので自分毎として考えてもらえればと思う。では、最後、山田先生から。

山田正彦 提灯行列は私が思いついたんですけれどもね。少し古いかな。小さいのが750円。蝋燭をつけて、提灯を持って日比谷公園を4時半くらいのからだと暗くなってくるので、有楽町まで歩こうかと。欧米なりの個別所得補償を。提灯も一括して買うと安いので。

杉山敦子 日比谷公園は工事中なので、今年と同じ青山公園になるかなと。

高橋宏通 今日、皆さんに呼びかけたいのは、統一行動としてトラクタープラス提灯行列をやりたい。これを半数以上の都府県でやって、国に対して農家の声を届けることをやりたい。本日は、一般参加が63名、国会議員13名プラス秘書。マスコミ6名。ウェブが40名である。

編集後記

 本稿は、2025年12月17日(水)14:00~17:00にかけて、「令和の百姓一揆実行委員会」の主催によって、衆議院第2議員会館多目的会議室で行われた意見交換会の内容をまとめたものである。

 なお、これも、あくまでも、会場での聞き取りメモを再整理させていただいたものとして正確さに欠けることをご理解いただきたい。また、一部は編集子が席を会場から立ったことから発言が抜け落ちている部分があることもご承知願いたい。そして、後半の一般発言は個人情報のことからイニシアルにさせていただいた。さらに、パラグラフも編集子が勝手につけたものである。

 ただ、ここでの話題もKJ法で整理することで「こういう構造になっているのか」と参考になることがあるのではないかと思っている。

 さらに、この閉会後の同じ会場での懇親・交流会も大変に参考になったことを申し添えたい。
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2025年12月03日

持続可能な農業と地域社会

はじめに

20251203010S.jpg この4年、長沼町で 自分で畑を始めている。それを動画でお目にかけよう。西側の斜面に作物を植えているのだが、彼方に札幌の西側の山が見える。この風景に一目惚れして畑をやろうと思っている。

 無農薬、無肥料でほとんど耕起しない。範疇で言えば「自然農法」になる。将来的には菌ちゃん農法にも挑戦しようと思っている。何もしていないのに、収量があって、とんでもなく美味しい。知り合いの和食料理屋の親父も「食べたことがない美味しさだ」と言ってくれている。

 さて、借り物の写真が多いので、写真撮影は遠慮いただき、ここだけの共有にしていただきたい。さて、私は持続可能な農業と地域社会ということで、1993年にカリフォルニア大学のデービス校、有機農業がまだ広がっていない時に、講座があって飛び込んで一年半いた。CSAをやっている農家に3週間泊まり込んだりしてきた。新聞記者としては、農水省とかで農業関係の取材を長くしてきた。

1コメ騒動の原因

コメ高騰の原因は生産抑制・農家の疲弊・気候危機

20251203011S.JPG まず、米騒動の話は、今日も議員会館でも先ほど議論されていたので皆さんには社会に説法だと思うのだが、「なぜ起きたのか」ということを「色々なところから話をしてくれ」と言われているので、話をしているのだが、三つを原因としてまとめている。

 一つは無理な生産抑制である。1967年のピーク時の1,445万トンから2024年の680万トンと53%も減少している。

 その二は、農家の疲弊である。これは、東大の鈴木宣弘先生のグラフだが、生産費の赤字をずっと放置してきた。儲からないから子どもが後を継がない。結果として、耕作放棄地が広がっている。

 第三は猛暑。これは将来的に大変なことになるかもしれない。今日も、農水省の官僚は「需要の読み違い」とか「インバウンドでの需要増」とかを言っていたが、そういうことではないし、JAが流通で米を隠したのでもなく、主食政策の失敗と気候危機が原因である。

 前の石破首相は「増産に舵を切る」と言った。2025年の8月5日に「耕作放棄の拡大を食い止め、これからも農地を次世代につなげていく」と述べた。ここまで言った首相はこれまでにいないので私は評価する。

 実際に、昨今の消費者価格だが、最高値を更新している。「進次郎米」で一時期は価格が下がったがまた上がったのは供給に不安があるからである。長谷川敏郎会長も言われたように、この可能性がある。すでに高いものでは8,000円を超えている。増産が成功しなければ、来年も今年の夏と同じ状況になるのは日を見るように明らかなのに、鈴木農相は「前年比2%減」と言っている。これを受けて、北海道の中央会も「需要に見合う生産だ」と言っているので要警戒である。大胆な増産が必要なのだが、うまい表現として国民に思ってもらえるものとして「余裕のある生産・備蓄で需給の安定」という言葉を考えてみたのだが、どうだろうか。

 この11月21日に道内の昔の仲間と酒を飲んでいたのだが、それは米農家の集まりなのだが、その日までに米を作るためのタネの注文を決めなければいけないと。しかも、それは再来年、2027年産の米である。それを28日にはJAに伝えなければならない。このように農家は2年も3年も先を読んで仕事をしているのだが、そのことを永田町は軽視しているのではないか。

的外れで危うさ満載の旧来路線と乾田直播の落とし穴

 大区画化、スマート農業、バイテク化、輸出拡大と国は、的外れな旧来路線を維持しているが、危うさが満載である。とりわけ、私が危ういと思っているのが乾田直播である。水田から水を抜いたら、水田が果たしてきた多くの多面的機能を失うし、水田では使われない除草剤多用の危険にもつながる。グリホサートを含めて水田では使われていない除草剤を使うことになる。水田は連作障害がなく小動物も多く、世界で最も優良な農地なのだが、それが損なわれる恐れがある。これは小泉進次郎農相の時にやり始めたが、その背景にはバイエルがいると私は思っている。というのは、2024年にバイエルのCEO、ビル・アンダーソンがメタンガスの排出源だとして、水田を批判し、乾田への移行を主張しているからである。この図を見ていただきたい。世界での遺伝子組み換え作物の作付け面積の割合を見てみるとアジアが少ないことがわかる。アジアで少ないのは水田が阻んでいるからだ。それを止めさせようという意図がある。彼らは中南米をゲットしたが、売れ残っているラウンドアップを水田地帯に売りたいというシナリオが見えてくる。

増産成功のための4条件

 そこで、政策的に本当に増産ができるのかを改めて考えてみた。まず、減反を止めると日本の水田には1,300万トンの生産力があると言われている。1961年には1,254万トンで当時の自給率は80%だったと山田正彦さんから聞いている。それは、中小規模の家族農家も担っているので、小規模家族農家から大規模農家までフル活用すれば増産は可能である。そして、当面1,000万トンのコメがあれば価格は安定するのではないか。現在の備蓄コメ100万トンはたった20日分だが、14億人を抱える中国は、ダイズ、トウモロコシを含めて半年分の食料を備蓄している。なので、1,000万トンあれば、300万トン、60日分へと日本も増やせる。この水準に戻すことが必要である。 

 さて、1993年の大凶作の翌年、1994年には53%増で415万トンを1,198万トンにした。これだけの実力が日本の農家にはある。前年比で10.4万㏊増の136.3万㏊で735万トンとなる。そこで、8.3%増が5年続けば、2030年には2025年比で1,010万トン、49%増が可能となる。

 もちろん、これには、現在の担い手140万人を200万人にすること。そして、タネもないといけない。UPOV条約があったとしても、タネがないと成り立たないので種子の自給も大事だし、生産のコスト割を政策的に補填する必要がある。したがって、増産成功のための4条件は以下となる。

1減反を止め、生産を支援する

2備蓄を根本的に拡充する

3価格保証と所得補償

4種子生産と供給体制

「価格保証をすれば所得保障はいらない」と農水省の穀物課の奥西麻衣課長補佐は口にしていたが私は違うと思う。

所得補償は欧米諸国でもやっているし、参議院選でどの政党も言っていた。

食と農への危機意識に火がついた国民

 私が、この間、コメ問題でいろんな人と議論して感じてきたことは、国民の危機感に火をつけたことである。胃袋と食卓レベルで危機を感じたと。そして、猛暑と熊出没が気候危機を肌感覚で意識させたことである。札幌の円山公園を散歩コースにしているのだが熊が出て散歩を止めている。また、長沼町の畑の周りも森林なので何が出てくるかわからない。

 また、私は、北星大学では、成長ホルモンとか、ゲノム編集とかグリホサートとか、嫌な話ばかりをしているのだが、同じ話をしているのに受講生が昨年の二倍になった。そこで、理事長も喜んでいた。そして、若者たちは内容よりも「今日の講義を知るまで知らなかったことが怖い」との感想をもたしている。そして、若者たちが危機感だけでなく諦めている。これは、私たちの若い頃にはなかった。いま、20代、30代の若者がエンディングノートを書いている。それも、7割が書いている。ゾッとした。私の知り合いの若い男の子がいて、彼は「結婚もしないし子どもも作る気がない」と母親にいって母親は「いいよ」とは言ったが、本当に悲しんでいた。若者たちが終末論と厭世感に染まり始めている。もう、人類は短いかもしれないと。戦後政治の矛盾と多国籍企業の野望、気候危機への農業の関与が浮き彫りとなってきて、食と農と地球の危機を持つに至って、それをどう社会運動に結びつけていくかが課題である。

2地球の危機

生物多様性の喪失と土壌劣化と惑星の限界を超える

 プラネタリーバウンダリーで9ある危機指標のうち、境界を越えたものがどんどん増えて、いま6つになっている。とりわけ、生物種の絶滅が劇的で、日本で絶滅したのも120種。そして、タネも消えていて、20世紀後半だけで400種が消滅した。米国ではトウモロコシの品種の9割が失われたと言われる。そして、漁獲量も減っている。我々の食べ物の1割は海由来で残りの9割は土地由来なのだが、その土壌も劣化し続けている。

 UNEPは世界の農地の38%が劣化したと言っている。私はアメリカにいるときにこうした劣化した土壌を見てきたが、畑だったところで塩害が広がったり、とりわけ、アメリカがひどい。結果として、土壌中に閉じ込められていた炭素が大気中に二酸化炭素として放出され増加していることになる。では、なぜここまで増えたのか原因に踏み込みたい。

惑星の限界は近代農業が作り出した

 これを超えたら地球が元に戻らないというポイントがあるが、2030年に1.5度上昇するというシナリオをNHKスペシャルが2020年に放映した。この時点で大気中の二酸化炭素を減らせる手応えがないと地球は沸騰すると。それでは、これは誰のせいなのか。もちろん、工業化で化石燃料を使うことで大気中の二酸化炭素は増えて46%増加したのだが、農業の責任も大きい。ダノンのCEO、エマニュエル・フェイバー(Emmanuel Faber,1964年~)は炭素の30%、淡水使用量の使用の70%、多様性喪失の60%は農業に責任があるとしている。IPCCも温室効果ガス(GHG)の21~37%は農業が原因だとしている。

 農業といっても、それは日本の棚田とかではなく、世界ではめちゃくちゃな農業がなされている。熱帯林を破壊して牧草地にすることがされている。この写真東南アジアのパームヤシだが、熱帯林を伐採してモノカルチャーで生産したり、ブラジルやアルゼンチンではGMダイズやトウモロコシが播種されることがなされている。さらに、この写真はピポット灌漑だが、地下水を引っ張り上げる散水機なのだが、半径400m、長いところは1,000mもあるが、こういう農業をやると地下水が枯渇する。日本列島を上回る広さのオガララ帯水層がなくなるわけで、とりわけ、カリフォルニア大学では、私が渡米している頃に、この危機感から持続可能な農業という考え方を打ち出した。さらに、窒素やリンで海が富栄養化して漁業被害が生じると。2021年には北海道でも過去最大の赤潮被害がでた。

 こういう現象が先ほどのように若者たちの考え方に影響を与えている。つまり、大規模機械化農業、モノカルチャー、農薬、除草剤、化学肥料漬け農業によって惑星限界が生じた。これは、皆さんがすでにお聞きになっているストーリーを話しているだけなのだが、それぞれの危機は連関し合っている。つまり、化学物質とか、生物の問題とか、すべてに農林業がコミットしている。

カーボンゼロでは間に合わない・大気中に出た5億トンをドローダウンせよ

 過去から人間の営みが炭素を大気に放出してきた。森林伐採と農耕によって土中の炭素を大気中に放出したのだが、それが5億トンある。地表の炭素は22.5億トンで、数千年前は大気が大気中に2.5億トン、土中に20億トンあった。それが、いまは大気中に7.5億トン、地中が15億トンとなっている。これは、化石燃料を燃やさないゼロカーボンでは足りないし、間に合わないことを意味する。大気中にすでに出た5億トンを引き摺り下ろさないといけない。これに気づいている人はすでにいて、逆転できる道がドローダウン。190人の専門家が、食品の生産から消費まで全部いれて100の方法を提起している。

 このドローダウンで言われていることを私なりに予約すると最優先課題は二つである。

①食料の安定的生産と供給、飢餓の回避

②自然生態系の回復と食の安全性の確保

 いずれも農業が決定的である。果たして、それができるのか。風の谷のナウシカは「できるよ」と言っている(会場・笑)。

3危機克服の道

4‰1000のイニシアチブ

 ドローダウンして、大気中の炭素を地球に固定できるのは光合成能力を持つ植物だけである。フランスから提起された4‰イニシアチブとは、毎年0.4%づつ表土の炭素貯蔵量を増やせば化石燃料による89億トン/年の放出を帳消しにして、大気中の二酸化炭素増加を食い止めることができるというものだ。これさえできれば2050年に95億人に食料を提供し、かつ、温暖化も防ぐことができる。

では、どのように変えるか、これには実践指針があるのだが、次のようになる。

1森林破壊を減らす

2エコロジカル農業の実践促進で、土中有機物を増やす

 これには、土を裸にしない、作物と土地を休ませる、マメ科植物を活用し、家畜を放牧し、水田を活かすといったことがある。プラネタリーバウンダリ―的に見れば、農地拡大を抑制し、大規模機械化農業を止め、化学肥料と農薬を止める。そして、再生するには、植物によるドローダウン、植物中心に命と多様性、多様で豊かな土壌の回復することとなる。

鍵を握るのは植物と微生物

 さて、この写真は何だと思われるだろうか。実は、これは土中の銀河である。土中の微生物の写真で、これを数値化し、かつ、これを音に転換した人がいる。坂本龍一(1952~2023年)が樹木の生体電位を音楽に変換するインスタレーション作品《Forest Symphony》を発表したようにだ。

 鍵を握るのは植物と微生物である。こんな素敵な世界が土中に広がっている。これからの地球の運命を握っている。

 この図は植物と菌根で、この根毛の先に微生物が張り付いている。最近はこの根圏土壌において何が起きているのかについて最先端の科学者たちがしのぎを削って研究している。NHKスペシャルの超進化論ではカナダのアルバータ大学の助教、ジャスティン・カーストさんが、1本の木が菌とつながるだけでなく菌糸を介して森の木々同士がつながっているとしていた。菌糸と菌糸がつながり合うことで木と木をつなぐ巨大なネットワークがある。

 そして、80%の植物は菌とつながり、菌が土壌中から養分を吸収して植物に送り込んでいる。植物は光合成で糖類を生み出すが、自分でその6割を使い、残りの4割は根を通じて菌ちゃんたちにあげている。菌ちゃんたちが微量元素をあげていることでCHONが循環している。地中生物相が豊かになることで炭素が地中へ移動することが可能になる。ところが、いま、これが破壊される。除草剤が全部を殺してしまうのでこれができなくなっている。小動物とか微生物の死骸が二酸化炭素として放出されている。

 この図はアメリカの研究者、デヴィッド・ジョンソンが示した作物の収量がチッソ、リン、カリ、有機物の量とも関係なく、ただ微生物の豊かさと相関関係があるという研究である。この関連でもうひとつ紹介したいのは北大の後輩にあたる横山和成(1959年~)さんの研究である。彼は96種類の違う種類の餌をおいて、どれだけ分解されるかによって微生物の活力を「土壌微生物多様性・活性値(BIOTREX)」として数値化している。微生物が多いか少ないかでプレートには分解されずに有機物が残る。土壌燻蒸剤を使えば有機物が残るし、殺虫剤であるネオニコチノイドでも微生物が減っていることがわかる。こういうことも多分ナウシカは知っていた(会場・笑)。

4アグロエコロジー

 死骸を生命へと転換できる微生物と蟲たち。これをもう一度、復活させれば、地球のデトックスが進む。そこで、アグロエコロジーについても紹介したい。

ゲノム編集された魚

 この写真はゲノム編集によって筋肉を肥大化させた魚である。私はこんなことをして魚が生きていけるのだろうかと気になって、頭での想像ではなくて現場で確認したくて、実際に宮津の養殖場までいったが、決して魚は見せてくれない。「海にこの真鯛が逃げたらどうするんですか」と聞いたら、「大丈夫です。海に逃げたら死にます」との答えだった。

 この右上の写真はラウンドアップによる腫瘍ができたラットだが、最近ではこれ以外にも培養肉とか命を歪めるもの、命がないものがどんどんと出てきている。果たして、これが肉と言えるのだろうか。農水省はゲノム編集技術を奨励しているため、7種類くらいゲノム編集の食品ができているが、世界でも日本だけである。要は、これが本物かどうかが問われている。福岡正信さんは「本物とは自然である」と言われたが、アグロエコロジーが本当に求められている。

 私が北海道新聞の記者であった時代は「誰にでも会いにいっていい」といういい時代だったので木村秋則(1949年~)さんにも会いに行って来た。まず農園に踏み入れると土がふかふかだった。リンゴを食べてみると、果汁がしたたり落ちてすぐに蜂がきた。この土は森の土をリンゴ園で実現できないかと苦労されたもので、下草は他のリンゴ園と違い、ふかふかの雑草だらけである。

 次に吉田俊道(1959年~)さんの菌ちゃん農法。糸状菌と窒素固定菌をはじめ、菌糸ネットワークを構築することを彼はわかっていてそれをやっている。黒いマルチを畝にかけて雨が入り組みにくくしてネットワークを育て切ると餌は木材とか枯れ草だけですみ、元気な作物には虫がこない。

 北海道の足寄町では亡くなった吉川友二(1964~2024年)さんが「ありがとう牧場」で自然放牧をしていた。そして、ジビーフを駒谷牧場で作っている西川奈緒子さん。これもアグロエコロジーの例である。

5ローカル自給圏

自給的経済の今日的な意義

 グローバルなフードチェーンにいろんなものに囲いとまれようとしているが、それに対する平和的で最強の道が自給であり、その基礎は地域自給である。アグロエコロジーと自給的経済を掛け合わせればナウシカも喜ぶ世界ができる。

 さて、この自給について踏み込めば、フランスやドイツが共通農業政策(CAP)を作った目的は「食料を自給できない国は独立国とは言えない」と言ったシャルル・ドゴール(Charles de Gaulle,1890~1970年)の言葉である。当時は農水省にもこの言葉が掲げられていたので「ドゴールも言っているのだから自給をやろう」といった声が記者クラブでも出た。

 そして、このローカルな自給圏の古典的で純粋な形の一つが日本の提携であり、CSAである。このCSAの国際ネットワークがUGENCIでこの機関紙には「Teikei」と書いてある。そして、金子美登(1948~2022年)がモデルを作ったとされている。西海岸のCSAの草分けがフルベリー・ファームで、こうしたことを世界のCSAが受け止めている。

 他の事例としては、置賜自給圏、生活クラブ生協が作った庄内FEC自給ネットワークがある。そして、米価の低迷と大規模化政策で耕作放棄地が増える危機に直面し、これを止めるためにどうしたらいいかを皆で考えたのがCSAで、それをやったのが、鳴子の米プロジェクトである。支えるのが予約で全国に会員が900人いる。そして、羽布の里ミネアサヒCSA。ミネアサヒというのはコメの品種で、このプロジェクトは消費者のことを「自給家族」と呼んでいる。作っているのは特別栽培米である。

6有機学校給食

ローカル自給圏の要になりえる有機学校給食

 大阪府の泉大津市と北海道の旭川市とは提携している。これがローカルと言えるかとの声もあるだろうが、国境を跨いでいないのでいいかなと。つまり、ローカル自給圏で鍵となるのが、有機学校給食ではないかと。

 農家は経営が安定し、環境保全に貢献し、地域経済の循環や食農教育にも貢献する。私は、オーガニック給食マップにも賛同しているのだが、最も前を走っているのが千葉県いすみ市で、太田洋市長が「1万2,000円で買うよ」といって実現した。そして、和歌山の「給食スマイルプロジェクト」がある。これは、新日本婦人の会の農民連が手を組むことで2020年に実現した。そして、JAやさとの有機栽培の取り組みも重要だし、都内の武蔵野市は優良事例だし、世田谷区でもオーガニックの全国集会を契機に動き始めている。このように全国に本物を目指す取り組みがあるので、各地で実践することが大事なのではないか。若者たちは皆、気づいている。

 最後に一つエピソードをもうしあげたい。札幌から東京に向かう道中で、僕の横に73才の男性がいて、自己紹介もしないのに食の話になった。彼は「もう、大学もなくてもいいし、難しいことはいらないし、畑と山の中に国民を突っ込めよ。実行すべき時だ」と言っていた。これほど食に皆関心をもっている。そこで、学生たちにも「未来がないのではない。今度は畑に行こうよ」と次の授業では言おうと思っている。

質疑応答 

村田武 愛媛食健連会長の村田である。冒頭のコメ騒動について、農水省交渉、政府への要請に賛同したが、今日の資料、ゆとりのある生産、大胆な増産に乗り出すことについて。日本は食管制度で過剰を輸出できなかった。それで、やむをえず生産調整、まさに減反を始めた。これがどれだけ生産者の心を傷めたか。農民運動として、「餌米を加えろ」と述べてきたが、断固として農水省が認めなかった。農民運動をやったけれどもダメだった。しかし、WCSが入った。西日本にとってアグロエコロジーとはどういうものかというと北海道とは違う。水田を総合的に利用していくことだ。米・麦・大豆。飼料米もWCS稲も作り、地域資源循環、構畜連携が重要である。今後の我々の運動としてはきちんと転作作物も問題にしていきたい。

吉田太郎 コメの増産のためには、タネが大事だと指摘されたが、種子法廃止を違憲だとする市民側の訴えは、東京地裁では合憲とされ、最高裁では受理されなかった。このことに対して久田さんの感想なりご見解をいただきたい。

久田徳二 最高裁には受理してもらいたかった。ただ、実現できなかったとしても、すでに37道府県が種子条例を作っているし、種子の供給は滞ってはいない。今後もいろんな手段でタネを守っていくことが大事だと思っている。

会場 山形から 自分は都内の学校や保育園に米を供給している。最近は、首長選挙で無償化、次に有機学校給食と内容がステップアップしているのだが、行政の方からも「有機米にしたい」との相談がある。けれども、100校とか規模が大きいとその対応が難しい。学校給食に有機農産物を入れていくうえでどういうことがポイントになるのかアドバイスをいただければ。

久田徳二 とても、大事なポイントかなと思う。もし、域内で足りない場合には北海道には有機農協があるのでそちらに回してくれるとありがたい(会場・笑)。とにかく、需要が高まっていけばどんどん作れる状況になっていく。出口さえ確保していれば作る方も安心して作れる。

司会 チャットでの質問。なぜ工場での生産のようなやり方が美化されて推奨されるのか。それと、それに対して、若者たちはどう考えているのか。

久田徳二 資本をたくさん持っている側からするとやりやすいのが工場とか養殖とか、遺伝子を組み換えて知的財産権を取る世界である。だから、いつまでもこうした流れ止まらない。私は見分けるポイントは、それが本当の生き物なのか、いのちがあるのかだと見分け、偽物だと思ったら手にしないことだと思う。ゲノム編集の真鯛も現地では私にはわからなかったが、漁師は一発で見分けて「気色が悪い。俺は絶対に食べない」と言っていた。つまり、マクドナルドとか焼肉のバイキングで食べているものが、どういうものかを話をして、それが、わかれば若者も食べないと言っていた。食は命なので、それを繰り返し広げていくことで打開していくのだと思っている。

司会 若者に本物を知らせていくことが大事であると。アグロエコロジーを含めて地域の自給が大事であるということです。ありがとうございました。

編集後記

 本稿は、2025年12月3日(水)15:30~17:30にかけて、国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会の主催によって、湯島の全労連2Fホールで行われた北海道大学の久田徳二客員教授の「持続可能な農業と地域社会」と題する講演の内容をまとめたものである。

 90分という短い時間の中でも、コメ騒動と地球の危機の実情を中心にわかりやすく説明され、危機を克服する道として、アグロエコロジーとローカル自給圏、有機学校給食を提起され、その具体的な事例として、北大の後輩にあたる横山和成さんの微生物分析、デヴィッド・ジョンソン博士の糸状菌と微生物のバランス、吉田俊道さんの炭素を原料とした空中窒素固定農法、カナダの菌のネットワークで生きている森、JAやさとの後継者育成、武蔵野市の有機給食といったトピックが具体例をもって語られ、聴衆から大変な好評を持って迎えられた。

 なお、スライドの撮影及び会場での録音は禁止されていたが、パソコンでメモを取ることはOKとのことであったので、あくまでも、会場での聞き取りメモを再整理させていただいたものとして正確さに欠けることをご理解いただきたい。また、パラグラフも久田さんからの資料をベースに編集子が勝手につけたものである。

 情報屋が提供する話題とかなり重なるところもあるのだが、「このように話せば伝わるのか」という点で大変に勉強になった次第。なお、特に印象に残ったのは、久田さんがCSAのモデルは日本の提携にあり、CSAのURGENCIでは、金子美登氏がモデルとなっているということを金子さんの写真入りできちんとふれていただいたこと。余談ながら、拙新刊本『社会実装するオーガニック』(2025)築地書館でもCSAを末尾で解説しており、そこでは「URGENCIのサイトには、CSAは日本で生まれた。哲学者で農協のリーダーである一樂照雄が運動を1971年に開始し、3年後に金子美登が今日に至る提携のモデルを立ち上げた」と説明されている、と書いた。

 また、衝撃を受けたのは、いまの若者の7割が未来に絶望しており、エンディングノートを書いているということ。いやいや、それはあまりにもまずい。「思考が未来をつくる」というスピを信じる必要はないが、一つでも二つでも明るいメッセージを伝えなければならないと思ったりした。
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2025年11月28日

今年の作柄を振り返って―③自家採種について

自家採種はその土地にあったタネを育てればいい

松澤政満 タネ取りは、ダイズも取っているし、ほとんど作物、半分以上が自分でタネを採って伝承している。

菊池達弥 タネは品種的には年間70品目が採種しているが、今年は採種しやすい年だった。宇都宮はあまり湿度がなく、一日でも晴天がでれば採種ができた。ただ、作付けが少しだけ、ただし、春野菜から夏野菜に替わるときに春野菜の比重が多く、栽培しているときと交雑を防止するために寒冷紗をかけるのだが、その作業が間に合わないところがあって、採種数が少し減った。どうしても忙しいので、採るかとらないかの選択を迫られたときには、東京大会でもいただいたのだが、アブラナ属のゲノムを区分してコカブも周りに高菜系がなければ防止の対策を取らずに詐してしまう。次の年に蒔いてもそれほど交雑していないので、交雑株が見つかってもその段階で除けばいいので。

 自家採種については頑張っているのだが、東京大会でもあったのだが、進まない現状があると就農当初から思っていた。皆さんに取らない理由を聞くと、「固定化が難しい。期待してとっても交雑して変なのがでたら商品にならない」と言うのだが、私は固定化させていく感覚がなく、育種のような形でこの土地になかった品種が多いので自分の土地で育種して変化を楽しむ考えで採っている。もちろん、交雑もたくさんあるのだが、次の年に苗の段階でわかるので、ナスかであればそういう段階で取り除けるのであまり恐れる必要はないと思っている。圃場を離す、人工授粉とか交雑防止策は色々とあるのだが、手間がかかるので、自然に摂れるのであれば、来年育苗しているときに選別するというやり方があるのではないかと思っている。

 以前は選抜するとか固定化するという意識が強かったので、これから冬越しするような野菜も12月に一度引き抜いて植え替えていたのだが、2月が寒いので移植した株が死んでしまうこともあって、べたがけをして守ったりもしていたのだが、その後の花を咲かすのが弱くなって採種数にも影響するので、いまは栽培地で移動させずに採種までやっている。

 固定化という考え方がなければ、そこで、固定種を早生だろうが、中生だろうが、晩生だろうが雑多な状態で入っているのがむしろ好ましいと思って採種している。早生だけ選んでとかがひとつなのだが、それが採種が進まない原因だと思っているので、雑多な状態で変な交雑がなければ、早生、中生、晩生が含まれる採種を目指している。

 育種の観点もあるので、交雑をちょっと楽しんでいるところもあって、こぼれタネをみていると、葉っぱがコマツナで下が蕪とか、葉っぱがミズナで下が蕪とか、皆さんの圃場でもあると思うのだけれども、そういうものは選抜して移植してちょっとタネを採ってみるということもやっている。

早津一仁 自家採種はずっとしてきている。どうしようもなくなると5年か10年に一回更新するが、地元で採れた自家採種でその土地、その気候にあったものでいくべきではないかと思っているので、また頑張っていきたいと思っている。

タネには低温や高温に適応する潜在力がある?

舘野廣幸 イネは自家採種して、半分は更新しながら自家採種をしているが、イネは40℃を超えるような温度の中で出穂すると花粉が死んでしまって不稔になると言われている。ところが、40℃近い日がずっと続いたにも関わらず実っていて、温度が高いわりには被害が少なかった。

 秋田の早津さんも言われていたように、収穫量は平年並みでよかった。うちの平年は6俵くらいだけれども、暑い時に適応するレジリアンス能力をタネが発揮したのではないかと思う。

 イネ作は過去には現在よりもずっと寒い時期が平安時代以降、江戸時代後半まで続いてきて、明治以降、文明開化してから炭酸ガスを人間が出すようになって温暖化が始まっているが、さらにずっと地球の過去を見てみると現在よりも温かい時期が何回かある。それは一つが6,000年くらい前の縄文時代と10万年以上前の間氷期である。こういう温かい時期をイネや他の植物も乗り越えてきたので、その遺伝子の中には低温や高温に対する抵抗性があるのではないかと思っている。

 私は以前に低温に対する抵抗性を持たせるために保冷庫の中で低温を与えてから種を蒔くことをしてきた。それが高温にあてはまるかどうかはわからないが。

林重孝 異常気象と自家採種の関係だが、自家採種をすることでタネをふんだんに使える。買ったタネだと経費がかかるが、自分で自家採種をしていれば蒔き直しをしたりしても使える。例えば、提携をしていることから周年で野菜を出したいが、葉物をいつまで蒔くかがいつも課題になる。以前は10月20日を最終の種蒔きにしていたが、やはり冬が温かいため途中で皆大きくなってしまうため春まで持たない。そこで、徐々に種まきを遅らせ、いまは11月に入った時期まで種まきをしている。ただし、年によって冬が寒くなるとどうしても霜にやられてしまう。霜がおりるときに最後の種蒔きが無駄になることがあるのだが、キヌサヤやコマツナを自家採種をしている。買ったタネだと結構値段が高いが、自家採種をしていると蒔き直しをしてもお金が無駄にならない。

 キュウリはポット蒔きであれば1ポットに1個だが、直播だと1カ所に3粒は蒔かなければならない。しかし、自家採種でタネをたくさんとっておけばタネ代を考えずに使える。そういう意味でも自家採種がいいと思っている。

 また、創森社から出ている野口勲さんと関野幸生さんの『固定種野菜の種と育て方』(2012)という本がある。関野さんが野口さんから委託されて、野口種苗にタネを出しているのだが、タネを自家採種していくうちに地域にタネが変わってくると書いてあるのだが、私も自家採種しているのだが、自分のとる地域にタネがあって来て、順化していくのではないかという気がしている。

斎藤 昭 タネ取りだが、ほとんど全部自家採種をしていて、大部分のタネは買わないでやっている。今年も穫れるタネはとっている。ハウスでのタネ取りが難しい長ネギやタマネギは露地栽培で雨除けシートで良くなっている。

魚住道郎 菊池さんをはじめ、不耕起栽培とタネ取りが今後の気候変動に対して有機がどれだけの有効性を保てるのか。稲作においては中干し、舘野さんも林さんも中干しをしないと。いま、節水型直播農法を国が率先して補助金を出して農業法人にやらせようとしている動きがでたり、あきたこまちRという品種でもってカドミの吸収率の低いコメを重イオンビームを使ってやろうというゲノムをいじくりまわすような方法、AIを使って機械自動化でやっていこうという国の方針と我々の方針はまったく真逆の方向に歩始めている。我々、50年やってきてまだまだ力不足だと思っている。とにかく、全国の仲間が取り組みは小さくても仲間を増やしていくことは誰でもできるし、近隣の仲間に声かけして、こんな楽しい有機農業はないといういろんな角度からの取り組みでタネをわけたり、栽培方法を見せたり、意見交換をしたり、作柄をふりかえったりということで、こう乗り越えてきたよ、こういうタネができてよということを蓄積していけば、有機農業運動のまた新しいページを積み重ねていけるかなと思っている。

 九州から北海道までの生産現場で日々、厳しい自然条件だとは思うが、夏の暑さだけでなく冬の寒さにも耐えながら、来年への希望を持ちながら、取り組んでいただければと思っている。

編集後記

 以下は、日本有機農業研究会が11月28日に行った「今年の作柄を振り返って」というオンラインでの対談結果をまとめたものである。オリジナルは口語であるため、主語が明確でなかったり繰り返しが多かったりしている。それを本人の発言意図を出来る限り損なわない形で再整理させていただいている。また、それぞれが、猛暑の影響、収量、自家採種等について述べていることから、これは自家採種についての発言を取り出して対談風に再整理した。文責は編集子にある。

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