一般社団法人日本共同組合連携機構 客員研究員 和泉真里
食品表示には人々の関心が反映されている
身体にいいかどうかを判断できるようべらぼうな表示がある
消費者はマークの内容を理解して購入
チョコレートへの油の混入率
その土地を重視して地理的表示も
イギリスはかつては「食べ物がまずい」と言われてきたのだが、ここ20年、30年でEUの影響もあって食べ物を気にするようになった。
欧州のキーワードは環境と健康
日本では有機だけのF2Fも実は全体のフード戦略
F2F戦略は苦戦中だがジグザグで前進する凄み
そして、みどり戦略も目標数値は同じようなものなのだが、F2Fが出て、その後3年経って現状はどうなのか。今、苦戦中である。例えば、50%の農薬を削減する法律を作ろうとして合意がえられず失敗。資材が高騰し、ウクライナで食糧安全保障も問題となる中、「10%農地削減なんてとんでもない」と。そして、「食糧安全保障で農家の経営が苦しいから農薬を減らすのは無理だ」という声も出て苦戦中。ただし、ヨーロッパのすごいところはまず高い目標を立てて、叩かれるが必ず前進する。かなりのところまで行ったり来たりでそれでも進んでいく。ドイツが原発を止めたことも失敗だったと言われるが、ヨーロッパの再生可能エネルギーの普及率は驚くべき水準になっている。それがヨーロッパの凄さだと私は考える。
日本よりも厳しい有機基準は消費者の意識の高さが支える
2023年に世界の森林保護のために森林認証を打ち出す
包装及び包装廃棄物にも規則案が出されている
肥満を防ぐための健康表示
では、EUでの議論の主な論点は何かというと、何についての表示か、義務か任意か、そして、数字表示型かスコア型かである。
新たな技術と食品表示
そして、普及しつつあるゲノム食品も表示というよりは規格である。食用油を対象とするのか。意図せざる混入率を何%にするのか。それはまさに皆様の仕事かなと。
消費者教育が鍵で国産率がパーセントで出るアプリを北欧は開発
最後にまとめておきたい。いま、消費者は頭で食べるようになってきている。家族が小さくなって表示は多様化している。生産者、流通業者にとっては差別化の道具だがコストでもある。
また、一番大事なのは消費者教育である。これはフィンランドのアプリだが、国産率、カーボンフットプリントモデル。フィランドの生協のであるSグループは2030年までに調達する食品の80%を国産品に持っていく目標を立てている。そこで、消費者に実感してもらうと組合員向けのアプリでは、購入した食品の国産率が表示される。こうしたことで、消費者教育を是非、頑張っていきたい。
質疑応答
北欧では農業支援策は国防政策でもある
杉山敦子 日本の食品表示が周回遅れだとつくづく感じた。
会場女性 10年前にスペインにいたのだが、イタリアとイギリスと日本で軍事拡大の技術の共同研究をしている。そうしたことへの危機感をどう思われるのか。
和泉真理 イギリスは軍事大国で軍隊を持つことは当たり前。少し外れた話をすれば、フィンランドに最近行ったのだが、膨大な農業補助金を農家に対して支払っている。隣がロシアで植民地にもなって、良港をとられっぱなしである。そして、酪農が唯一の産業。それを維持することは国防である。農業政策が国防になっている。そう思った時に日本は離島とか北海道の端とか山とかが農業で儲からないとしても、そうした農家を守る政策をしなくていいのかといつも感じる。
農地法の改正で農業生産法人は大手食品産業の支配下に
下山久信 食品表示の話ではないが今度の食料・農業・基本法の改正で輸出が強調されている。農地の法律改正はあまり問題にならなかったのだが、農業生産法人の経営に食品産業が関与できる。食品産業が農業生産に乗り出してきて政府がそれを推進するので、これからは間違いなく、農業生産法人が大手食品産業の支配下にこれからはなるということですから。適正な価格形成で問題が出てきますから、そこは国会で議論されなかったので危険な傾向かなと思っている。
欧州では民間やマスコミがきちんとチェックするのでなあなあにならない
天笠啓祐 具体的なところで。民間認証が多いわけだが、それがちゃんとしたものであることをどこがどういう形で担保しているのか。また、森林の規則だとか環境保全での取り組みが多いとのことだが、私もヨーロッパに行った時にパームオイルが大きな問題にされたのだが、これは表示制度ですか。規格ですか。表示として出す必要はないのですか。
和泉真理 民間認証については、例えば、土壌協会の資格を英国政府が云々するということは聞いたことがない。マスコミの目が非常に厳しい。また、農薬とかを散布していれば散歩している人がすぐに通報するし、個々の認証では裏で偽装があったとかのトラブルもあるのだが、マスコミが非常に厳しくチェックしている。つまり、ヨーロッパが強いのは自分たちの中でチェックしたり、他からチェックされる仕組みがしっかりしていて、なぁなぁでやらないことである。それと、後者のものは、そうしたものはそもそも流通してはいけないと。
杉山敦子 チャットの方での質問です。レストランはどうなっていますか。
和泉真理 有機認証団体において紹介したところではスウェーデンのKRAVはレストランも認証しているが、公的にはなかったかと。
下山久信 有機認証で日本はF1は認めているのだが、タネはどうなっているのか。例えば、日本では輸入トウモロコシやダイズは遺伝子組み換えで、それで作られた堆肥を認めているが、日本の有機認証はヨーロッぱからすればザルですね。
和泉真理 F1のタネは認証団体によって違う。また、有機農業についての考え方がまったく違う。日本は耕種と畜産とが別れているのだが、むこうは畜産とセットで、循環システムでないといけない。また、日本は「有機資材と言われていて実は違っていたとして認証取り消しがあるのだが、このことをイギリスの土壌協会で話題にして真面目に聞いたら「なぜ資材を使うのかと。自分の家畜のものを使えばいいじゃん」で終わった。だからといって、ヨーロッパがすべていいわけではない。日本は林作がなくてもできる水田がある。どちらがいい悪いの話ではない。
大量生産のスーパーよりも農家直売所の方が高いヨーロッパ
会場女性 私は食品表示に関心があり、ビーガンにも関心があるのだが、消費者があれだけ複数ある表示についてどうやって知識を得ているのか。また、Demeterとか厳しいものは商品価格に反映されて、それでも消費者から選ばれているのだろうか。
和泉真理 一般に認識されている。そして、悪いモノは淘汰され、そして、統合される。日本は似たような団体が少しの違いでなかなか統合されないが、欧州は違う。そして、システムとして効率化していくと。いつまで経っても「あそこが違う」と言いあっているといずれ潰れるということをヨーロッパ人はわかっている。そして、Demeterはより高い。ちなみに、ファーマーズマーケットで売っている農産物は日本とは逆でスーパーよりも高い。というのは、スーパーは大量生産・大量消費の論理で動いているので、ファーマーズマーケットの方が質が高いからだ。日本では逆だという話をするとヨーロッパ人は信じられないと言う。
市村忠文 日本から輸出しようとするときに日本とヨーロッパでの表示が異なることとか実態があれば。
和泉真理 ミネラルウォーターの表示はコーデックスでは加熱したり殺菌しないと。日本は加熱殺菌するので外ではそう言えなくなる。日本は輸出していないのからいいのかなと。
自分で解決しようとするヨーロッパ人
会場男性 制度の違いがあるのだが、根本にあるのが民度、高くても買う国と安くしてもいい国との意識の違い。国民の意識ではないか。先生の見方として何が違うのか。ヨーロッパのように日本でも意識を高めるためにどうしたらいいのか。
和泉真理 ヨーロッパ人は問題があったら、まず自分で解決しようとする。その延長線上に協働組合等もある。道路に穴が開いていたらまず自分でスコップを持って穴を埋めようとするヨーロッパ人と市役所を呼ぶ日本人の違いがある。民間表示が強いのも、「政府に何かしてください」ではなくて、まず自分たちでルールを作ろうという意識があるからではないか。そこで、民間表示の方が強い。とりあえず、自分がやるという意識の違いかなと。
会場男性 昔の勉強なのだが、ドイツにはビール純水法で、水とホップだけで作ると。これからすると、日本のビールはビールもどきなのかなと。EUでもお国柄で、こうしたことを守っているところとそうではないところがあるのだろうか。
和泉真理 チョコレートがまさにそうで、伝統的な製法にはこだわるのとそうではないのかがある。結果として、規格を緩くするとブランド力が下がるのだが、日本の規格は皆で一緒にということで周辺も入れるのでとかく緩くなる。
川田龍平 ドイツに20年前に行った時には基準が厳しくて、どれくらいの社会的階層が買っているのかと。もちろん、安いスーパーもいっぱいあったが。
和泉真理 インテリ層が買うことはあるが、土壌協会で話をしていたら若い子どもを持つ夫婦がしっかりと子どもに教育をしていた。
欧米で禁止されているものが日本だけ緩く緩和されている
会場女性 一市民として何ができるのか。
和泉真理 まずは興味を持つ。例えば、水田にどういう機能があるのかとか。
会場男性 モンサント社が禁止されたものをいま皆、日本に持ってきている。我々は余命幾許もないのだが、子どもが心配である。
和泉真理 本当にそうで、少し高くても国産だから買って食べるとかを私たちの親がやっていくしかないのかなと。
会場女性 食料品を買うときに国産か輸入されたものか曖昧になってしまっている。輸入品が日本向けでヨーロッパやアメリカで禁止されているのがOKになっている。なぜ日本だけなのでしょうか。
和泉真理 それこそが皆さんの関心事項で私が答えることなのかな。自分で勉強する。農業者とできるだけつながって直接買う。
杉山敦子 チャットでの質問でヨーロッパでの学校給食について聞いています。
和泉真理 ヨーロッパは階層社会でインテリ層が友達でもいるのだが、家庭での会話が違う。やはり子どもに伝えている。私も親として頑張らなければならないかなと思っている。
日消連H氏 あきたこまちRは、あきたこまちの表示で売られてしまう。消費者が選べない。
JAいばらぎ萩谷茂 食品表示問題は大きいと。国産で作ったものが大事だと。鯉淵学園がEランニングを始めていて、そこで、授業をやってきたばかりである。
会場女性Mさん 食べママプロジェクトです。アメリカで頑張っているお母さんから「日本でも頑張ってほしい:と作った団体ですが、表示には困っているし怒っている。大企業、多国籍企業重視で、段階的に悪くなっている。皆の健康のために頑張っている。オーガニック給食は環境のためにもなるので。認証がどんどん広がっていくといいなぁと思っている。
会場女性 川田先生にお願いしたいのだが、遺伝子組み換えではないものへの助成金のご検討をお願いします。
川田龍平 ローカルフード法、なかなか法律成立まで至っていないが、それとは別に遺伝子製剤がワクチンで使われている。これについて、売ってはいけないとの冊子を妻と共著で出した。遺伝子製剤であるmRNAワクチンが食品よりも先に身体に入ってしまうので。もう一度内容を検証しなおして止められないか。ここまでワクチンを日本だけである。今度8回打とうとしているが本当に効いているのか。安全性の面で問題があるし、マスコミのスポンサーである明治製菓ファルマが製造者なのでマスコミも牛耳られている。そして、警告する人に対して会社側が裁判で訴えると。今日も警告のブックレットを持ってきたが、何も言えなくなる社会は怖いなと思う。常に言っていかないと訴訟を起こされて何も言えなくなる社会が製薬業界の方ではすでに起きている。先ほど、自分で表示とあったが、自分たちで作っていくことがいかに大事かと思った。国を頼っていたらダメだと思っているので。
編集後記
本稿は、2024年10月9日(水)14:00~16:30にかけて、衆議院第2議員会館の第5会議室とオンラインとで行われた「食品表示問題ネットワーク設立総会」での和泉真理さんの基調講演「EUの食品表示とその界隈」の内容をまとめたものである。和泉さんからは「講演の内容は自由に公開してもよい」との承諾をいただいているが、あくまでも、会場での聞き取りメモを再整理させていただいたものとして正確さに欠けることをご理解いただきたい。また、冒頭の挨拶と後半の質疑応答の一部は割愛した。






