Catch-up オーガニック!~峻烈熱風 躍動するアジア、沸き立つオーガニック!
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セッション①オーガニックとは何?まずは知っておきたいこと
株式会社プラスリジョン IFOAMOrganics ASIA理事 福井佑実子
まず、IFOAMによる有機農業の原理と組織について私からお話する。IFOAMは、1972年に設立され、現在、132カ国からの850団体が加盟する国際組織となっている。本部はドイツのボンで、世界で唯一の有機農業のための国際アンブレラ組織となっている。
IFOAM Organic ASIAは7つある地域団体(リージョナル・ボデイ)のひとつで、2012年11月28日に設立された。また、ナショナル・ボディとして、オーガニック・ジャパンがある。この中にナショナル・ボディがあるのだが、例えば、オーガニック・ジャパンはここに入っている。
オーガニックとは何か? 安全だけではない4つの原理
さて、私に対して個人的に「オーガニックとは何か?」と聞いて来られる方もいる。そこで、「では、どんなイメージですか」と聞いてみるのだが、だいたいオーガニックという言葉から受ける印象として、日本では、無農薬、安全といった農法をイメージされる方が多い。
有機JASマークは農林水産大臣が認めた登録認証機関だけが貼ることができる。EU、米国、台湾等の各国が独自の認証マークを持っている。この認証は第三者の国際認証となっている。そして、国家間において同等性が認められた国では有機とすることができる。日本が、同等性を認めているのはEU、イギリス、アメリカ、スイス、オーストラリア、アルゼンチン、カナダ、台湾となっている。
第一の健康の原理では、有機農業は、土・動植物・人、地球の健康を別々に切り分けては考えられないものと認識して、これを維持・助長すべきであるとなっている。そこで、農薬を使わないことになる。
第二のエコロジーの原理では、有機農業は、生態系とその循環に基づくもので、それと協働するべきとなっている。いま100万もの生物種が絶滅の危機にさらされているが、生態系に配慮しなければならない。
第三の公正の原理は、英語ではフェアネスとなっている。いまの若い人はイメージしやすいのだが、共有や環境と生存の機会についての公正を確かにすると。生産、流通、加工、販売の段階において、誰かだけが得をするのではなく、天然資源や環境資源も公正に管理されて未来世代に信託されるという認識である。食料主権や貧困撲滅にも貢献すべきであることわかる。
セッション③ データで見る日本のオーガニック市場
摂南大学農学部 谷口葉子准教授
1人当たりの購入額でも低迷する日本
円安とはいえ、購買力はそれほど落ちてはいないのにもかかわらず、日本の状況が芳しくない。これは見方を変えれば、日本はこういう状況に持っていけないわけはない。先例がすでにあるわけで、希望を与える数字でもある。
日本が世界トレンドになれば有機大国になれる
そして、実際に有機農産物への興味がないわけではない。私自身がしたアンケート調査でも回答者の25.6%が買いたいと言っている。すでに買っている人も含めると過半数が購入意向を持っている。
それでは、なぜ、実際の消費が伸びないのか。値段が高いとか、品揃えがないとか、近くで売っていないとか、本当に有機か信用できないとかいろんな理由があるのだが、価格が高いのが最大の理由だが、価格に見合う有機の価値を伝えて、価値創造をし、それを消費者に提供する価値伝達が大事であると思う。
有機市場が述べる米英に抜かれている日本
日本の農産物市場はバラバラで推計が難しい
日本も伸び率が高くないのだが、日本は定義が曖昧で、1990年代はバラバラで調査がなされ、その後の間がなく、2009年にOMRとIFOAM JAPANが推計をし、近年の2017年からやっといろいろな推計が出てきたのだが、それをみると値がバラバラである。何が市場なのか、その言葉の定義も統一されていない。では、どうやってデータを推計するのか、その推計手法もバラバラである。
加えて、毎年調査がなされているわけでもない。ただ、2009年と2017年が同じやり方なのでこれを見ると2009年が有機JASで1,300億円で2013年が農水省で1,850億円で42%増えたとされている。そこで、どうすれば諸外国と比較が可能なのかのリサーチを始めた。
購買履歴を用いて有機食品市場を推計する
コロナの影響か2020年から有機が増える
二番目に大きいのは有機豆乳である。三番目はコーヒー、四番目がナッツ・レーズン。水物は豆腐、納豆、こんにゃく。そして、パン、シリアルも伸びている。とりわけ、2022年からの食パンの伸び率が大きい。
既存ユーザの裾野が広がっている
そして、購買履歴からもそれぞれのカテゴリーについて、どういう人が購入しているのかがわかる。
日本の有機食品市場規模の2018~21年の伸びは20%
福井佑実子 マーケティング戦略を作っていくうえでとても参考になると思うのだが、何かご意見があれば。
吉田太郎 他のどなた方も意見がないので、口火を切らせていただく。海外では有機が伸びているのに対して日本では伸び悩んでいる理由には食品の表示もあるのではないか。例えば、豆腐や納豆や卵も遺伝子組み換え表示ができなくなり、それのみならず、国産も国内製造として表示できなくなっている。海外との消費動向のズレの中には、こうした食品表示問題もあるのではないかと思う。世界の流れとなぜ日本が逆行しているのか、それに対して何かご見解があれば。
谷口葉子 海外をみると和食への需要が高まっているが、国内ではこうしたものの売り上げが縮小している。世界のトレンドとずれている。
福井佑実子 消費者の選択しやすさの中で、豆腐は伸びているのではないかと思っていたのだが、実は国内での豆腐市場が減っている。製造メーカーの方と話をすると有機大豆を確保するのが困難であると。これには複数の要因があるのではないか。また、表示については、遺伝子組み換え技術を用いた原料は使用不可のため「有機JASマーク」が手がかりになる。
会場 日本有機食品は国内の有機栽培面積が0.6%しかない中で、市場規模もほとんどないと思うのだが、仮に25%になった時には市場規模はどうなっているのか。谷口先生からのご示唆があれば。
谷口葉子 食料システム戦略で掲げられている目標値が達成された暁にどうなるかの推計については私はまだやっていないのでお答えできないし、わからない。ただ、輸入原料の加工食品が多くなっている。例えば、日本のオーガニックの投入やナッツは輸入である。コーヒーや紅茶もそうである。日本のオーガニック市場は輸入オーガニック農産物に支えられている。そこで、25%になったときのインパクトがどれだけか。外食に回されるのかもしれないし、推計が難しいタスクだと思うが、将来予測もやっていくべきだとは思う。
会場 熊本県庁からきた小川と言います。谷口先生にお伺いしたいのだが、私は生産を所管する部署に所属しているのだが、日本の有機食品は輸入に頼っているとのことだが、こうした農産物であれば海外にも売っていけるのだというご知見があればお教えいただきたい。
谷口葉子 輸出に焦点をあてた調査研究を行っていけないのでお答えできない。ただ、海外市場を視察する機会はあったのだが、そこで見た限りでは、日本の有機食材へのニーズは一定程度ある。最近、伸びているのが緑茶、抹茶で、ドイツでも中国産でなく日本産が売られている。また、抹茶カプチーノもドイツで定着している。また、意外に日本の豆乳が美味しいとして売れているということも聞いている。これもきちんとリサーチして輸出の潜在力を把握することもやっていく必要がある。
会場 谷口准教授の膨大なデータを解析された中では、オーガニックを選ぶのは美味しいからではなく、安全だから選ぶのではないかと思うのだが、購入動機では何があるのだろうか。
谷口葉子 消費者のアンケート調査はかなりなされているのだが、そこから見る限りでは新たな知見というのはない。直接的に消費者に尋ねると安全性や健康が出てきている。一番大きいのがコロナの中では健康であった。免疫力をあげたいと。ただ、この購入動機が実際の購買行動につながっているのかどうかは検証する必要がある。ある研究によれば、有機農産物の購入への入口は十人十色で掴みにくいとい。妊娠や子どもが生まれたことがきっかけということが多い。ただ、多数が有機農産物について「美味しい」と回答していることもある。消費者が農産物を高く評価している事実があるのだが、その大半が購買につながっていない。これは、態度と行動とのギャップと言われている。態度と行動のギャップをどう埋めるのが我々がやらなければならないタスクである。
福井佑実子 では、時間にもなったので最後の方のご質問を。
会場 ペットやベビーフードについてご意見があれば。
谷口葉子 ペットフードはお示ししたデータの中には含まれていないので私は状況は掴んでいない。ベビーフードは規模が小さいが、伸びてきている。諸外国で品目別に見てくるとベビーフードは比率が高い。おそらく日本でも今後そうなってくるのではないか。
編集後記
本稿は、2023年9月15日(金)の10時30分から12時30分にかけて、東京都立産業貿易センター 浜松町館において、(一社)オーガニックフォーラムジャパン(OFJ)の主催、Catch up Organicsの協力においてなされた第8回 Organic Forum JAPAN~オーガニックライフスタイルEXPOでの講演会の内容をまとめたものである。講演会を聴きながらメモしたもので、録音はしていないので、講演内容すべては網羅されてはいないが、多忙な中、福井佑実子さんと谷口葉子准教授は、原稿に赤ペンを入れ、編集子のミスを修正すると同時に加筆もしていただいたので、正確さを欠くことはない。これは、校正推敲のうえ、修正をいただいたバージョンである。貴重な話題が盛り込まれているので参考にさせていただければ幸いである。






