ヴィーガンとハラールフードのブーム
プラントベースの代替肉は何があるだろうか。豆腐、厚揚げ、高野豆腐、車麩なのだが、脱脂大豆からの大豆ミート、えんどう豆や玄米からの人工肉、おからこんにゃく等もある。肉だけでなく、いま、色々なものが植物性に置き換えられつつある。チーズ、マヨネーズ、ラード、たまご、魚等である。
レストランも同じで、銀座ではプラントベースの店舗が36あるのだが、コメダがコメダイズを作っている。他にも生クリームも動物性を使っていないコース料理が食べられる時代になってきている。
プラントベースのヴィーガンは、コロナでの腸活(発酵食品)、美容、安全安心食品。一方、たんぱく質を取って糖質を制限するブームがハラール・フードである。この2つのニーズを合わせるものがテンペである。
クモノスカビが創り出すインドネシアの国民食
バナナの葉やハイビスカスの葉に付着しているクモノスカビの一種がテンペ菌である。ダイズにテンペ菌を付けて発酵させたものは納豆のように見えるが、納豆のように臭くなく、粘りがなく、ナッツのような香りがする。研究者によるとインドネシアでは16世紀にはすでに存在していたことが知られており、いつから存在しているかわからない。
インドネシアはアジア最大の大豆市場だが、国民食であって、消費の割合では50%がテンペ、豆腐が40%、他が10%である。大豆の年間平均消費量は6.5kgである。
そして、テンペは栄養価も高い。タンパク質では、牛肉、納豆、ダイズミートと遜色がない。そして、脂質は低く、コレステロールがゼロで、発酵のプロセスで食物繊維が増えるため腸活にいい。そして、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ビタミンB群も豊富である。
抗生物質的な抗菌作用もある。そこで、第二次大戦中も捕虜の多くがテンペを食べたことで栄養価が高く、抗菌力のためか、生き伸びられたというエピソードがある。私は、以前には人間ドックで、悪玉コレステロールが数値ギリギリだったのだが、毎日テンペを食べるようになってから半分になった。
テンペ市場が拡大中
欧米ではどこのレストランでも置かれているほどテンペは知名度が高い。そして、誰もが食べられる安心食である。そこで、日本でも以下の理由から今後テンペ市場は拡大していくと叶える。
① インバウンド対応で求められている。
② 発酵食品と健康志向の増加
③ 発酵させるだけで環境負荷が小さいことからSDGsでも着目
④ 代替え肉でプラントベースのフードに企業が着目してきたことから、テンペも着目されている。
簡単で多様な料理法
テンペの使用方法は簡単である。冷凍して切るだけである。スープや揚げたり、ミンチの代わりとして餃子にも使える。レストランでもバーガーとか、インドネシア料理店では、カレー、フライ、甘辛煮と多様に使われている。
イスラームとハラール認証について
NPO法人日本ハラール協会理事長 レモン史視(ひとみ)
海外に住んでいたことから改宗したのだが、日本で生活をしずらいことから、ハラール協会を2010年に設立した。ハラール認証が主な活動で、セミナー等の講習をしている。国内で10年前に比べるとハラール食品は利用しやすくなっている。ハラールの屠畜場や学校給食等対応ができていないところはある。
私が、改宗した理由は、人間としての基本的な教えがある宗教だからである。全知全能の神が創造したと信じている。このすべての創造主である神に帰依し、現世で生きることが終われば、いるべきところに帰る。それがイスラームという意味である。神は歴代の預言者を通じてメッセージをつたえてきたのだが、イエス・キリストもその一人であり、最後の預言者がモハマンドで、そこの聖典で、人間によって良いものを許し、悪いものを禁じた。人生の様々なシーン、生活全般において社会的なモラルを保つためにやってよいことと悪いことがある。神の判断において、許されているものをアラビア語で「ハラール」、禁じられているものを「ハラーム」と呼ぶ。そして、食生活に関しては禁じているものがある。ハラールでは、羊、牛、鶏を食べることはできる。ただし、神の許可を得て、神の名における処理、屠畜方法がある。それ以外の野菜、海産物、穀物、果物はハラールである。
食べて行けないものは、犬と肉、ロバ。そして、捕食動物、ライオンやワシ、ネコはだめである。毒を持つもの。そして、昆虫もだめとされている。酒もだめである。
コーランの23:51では、「あなたがた使徒たちよ善い清いものを食べ、善いおこないをしないさい。われはあなた方のすることを熟知している」とある。食べ物は、身体の一部になるし、思考にも影響するからである。
ハラール認証とハラール産業とは
マレーシア、インドネシア、シンガポール等では法律に位置づけられている。タイ、台湾、トルコ等でも法律がある。世界全体で産業としてマレーシア、インドネシア、USEである。イスラム圏だけでなく、米国、イタリア、ドイツでもハラール産業に参入してきている。イスラーム金融で伸びている。ハラール認証があるからといって売れるわけではない。
編集後記
本稿は、2023年4月14日(金)11:00~12:40に、プレミアムフードショー2023の特別セミナーとして行われた(株)Tempeh Queenの安藤えり代表と日本ハラール協会のレモン歴史視代表の講演内容をまとめたものである。会場での撮影は禁じられていたので、あくまでも、会場での聞き取りメモを再整理させていただいたものとして正確さに欠けることをご理解いただきたい。
さて、テンペはもちろん、食べたことがあるのだが、経験上、すぐに三つのことが思い浮かぶ。①長野県の上田市にある山岳科学センター菅平高原実験所の出川洋介所長がカビの専門家であって、テンペを作るクモノスカビについて説明をいただいたこと、②東京オリンピックが開催される前だが、来日される外国人をターゲットにヴィーガン料理のメニューを増やす必要があるとして、埼玉県小川町のハッタケンタロー氏が、テンペにいち早く着目されたこと、③コロナ禍の中、大量の犠牲者を出したイタリアのロンバルディア州が、免疫力を高めるための今後の州民の食生活指針として「テンペ」を入れたことをイタリアのスローフードに詳しい島村菜津先生からお教えいただいたことである。
今回、改めて、この講演を受けてみようと思ったのは、昆虫食が日本ではブームとなっているのだが、これに対して、ムスリム市場の「ハラール認証」は、神の意志として昆虫食を否定していることである。
前にも書いたが、どうしても、自分の趣味や関心にとどまっていると、ハラール認証等というイスラームの話題は入ってこない。そうした意味でもやはり知的関心を高めるうえで、あちらこちらを移動することは必要なのである。なお、会場でもつづけて詳しい補足説明やブログアップを快く承諾いただいた安藤えり社長にこの場を借りてお礼をもうしあげたい。






