2023年03月10日

茨城県の有機農業販売支援戦略

 茨城県営業戦略部販売流通課販売戦略担当係長 杉山健介


オーガニックと言えば、茨城を目指す

202303100501.jpg杉山です。皆さんの話と重なるところもあるのでオマケ的かと思うのだが、生産者側の視点からの追加の説明をしたい。

「オーガニックと言えば茨城」を目指している。色々なところとヒアリングをさせてもらったが、そこで感じたことをまとめてみると、地域毎の特徴が見てきた。まず、ルートだが、大治の社長からも話があったようにJASの便を活用したほうがいい。そして、二つ目が農水省の補助事業の活用である。そして、茨城県がPRしたことについて説明したい。

県内各地域のオーガニックの情況

202303100503s.jpg まず、県北地域は自然が豊かで、有機の生産者が比較的多いが、大規模な生産者は自社による宅配便を有していて物流には大きく困っていない。それ以外の比較的な小規模な生産者はJAS認証は取得しないで、レストランや個人に宅配便を出している。そして、農産物の味を重要視していて、信頼関係ができているのでJAS認証を取得するメリットや意義が感じられない。少量を宅配便で送るうえでは効率化が難しいのでこれは宅配便がいいのではないか。

 県央地域も小規模な生産者が多くJAS認証は少ない。

 県南部の鹿行(ろっこう)地域の鹿島や神栖市の生産者で千葉側は自分でも出荷している。県南は比較的物流が豊富で、首都圏への便も多く、物流会社を通じて出荷している。

 最後に県西は、私の調査不足もあるかもしれないがもともとJAが強いためか、生産者では物流は困っていないのかなと。

202303100504s.jpg そして、特徴的な地域として、つくば市には有機生産者が集中していて大田市場への便を持つ物流会社があるため、販路とあわせて一体感がでてくるのかなと。つくば市の北側の石岡市のやさと地区は、全国的にも珍しくJAの中に有機栽培部会がある。農産物をJAが出荷しており、物流が構築されている。常陸大宮市は県の三美地区では約32haの有機モデル団地を作っている。

これ以外でも2つのJAが有機農産物の扱いに前向きでJA便を活用して大田市場に運搬できないかと模索している。

有機農産物の物流の実証試験

202303100505s.jpg 次に、JA便を活用した有機農産物の効率的な物流網の構築は、構想段階だが、これを茨城県に落とし込んだ場合には、こういうイメージ図になるのではないかと。まず、全農いばらぎがVFステーションを持っていて、出荷機能があるため、ここから(株)大治を活かして大田市場にもっていくと。

 次につくば市内の生産者を活かして、宅配便での通常の出荷と大治便を活かした比較をしてみた。途中でセンサーも入れて温度を測ってみたが問題がなった。

 小美玉市内の生産者で(株)MOA商事への出荷も試験してみた。もちろん、宅配便にもメリットがある。宅配便の場合は事故があっても責任が明確だが、市場便はどこで起きた事故かわからないこと。また、農家は繁忙期を心配している。安価では送ることはできるが、出荷のスケジュールがあわないこともあるからである。

ビオセボンでのオーガニックフェア、環境意識高い系層をターゲットに

202303100508s.jpg 次にフランス発のオーガニック・スーパー、ビオセボンで「茨城オーガニックフェア」を2週間やってみた。もちろん、購入に来る人は意識が高い人たちだが、茨城県内の有機生産者を広くアピールするとともに販路拡大を支援するため、売り込むサイト「Organic IBARAKI」も作っている。

202303100507s.jpg 私の独りよがりかもしれないが、茨城県の有利点をあげると、第一に農業が最大の県であり、首都圏に近いことである。そして、田舎のイメージがあるので逆にこれを強みに使えないか。例えば、首都圏に近く輸送距離が短いことから温室効果ガスの排出量が少ないことも優位性としてあげられる。

202303100509s.jpg そして、オーガニック食品を嗜好する層は、健康に対する意識が高いのかなと思っていたのだが、アンケート調査をしたら環境への配慮が多かった。そこで、「オーガニックいばらき」を選んでいただける可能性があると思っている。

編集後記

202303100510s.jpg 本稿は、農林水産省の補助事業を活用した一般社団法人日本有機農産物協会の主催で、なされた3月10日(金)15:00~17:00の「物流効率化報告会-新たな有機農産物物流のかたち」の講演会のうち「有機農産物の自治体単位による効率化物流構築」を聴きながらメモしたものである。ということで、録音はしていないし、正確さは欠く。あくまでも、会場での聞き取りメモを再整理させていただいたものとしてご理解いただきたい。なお、茨城県の旧八郷町には、消費者が立ち上げた「たまごの会」があり、有機農業研究会の会長である魚住道郎氏の農場もあるので、八郷が有機農業が盛んであることは知っていたが、茨城県営業戦略部販売流通課がオーガニックを販売していることは初耳だった。東京に住んでいるだけに、ビオセボンの池袋支店や四谷三丁目支店は時折立ち寄る。「おおっ、茨城県の農産物がおいてあるわ」と思ったものだが、このバックにこうした県の販売戦略があるとは知らなかった。

 「有機=安全」という思い込みだけではなく、消費者ニーズをアンケート調査したうえで、環境に配慮するレイヤーを対象に販売戦略を展開するなど、さすが茨城はしたたかだと思ったりもした。ちなみに、JA中央会の八木岡組合長も以前から有機派であり、JA常陸大田の秋山組合長もオーガニック給食の講演会に登壇するなど、有機派である。

 2022年5月30日の記者会見でも茨城県の大井川和彦知事は「農業の分野では、いばらきオーガニック生産拡大加速化事業を進めます。オーガニック農業を、県が中心になって特に常陸大宮周辺で大規模に集積を進めておりますが、今現在、肥料価格の高騰などによって、農業に伴う化学肥料・化学農薬などの製品の入手が非常に難しくなっている、あるいは、価格が高騰してしまっているという中で、そういうものに頼らないオーガニック農業への転換というのを逆にチャンスと捉え、茨城県の農業の一つの大きな差別化の方法としてさらに進めていきたいと思っています。資機材や有機JASの認証取得などへの支援が含まれております」と発言していることから、同じ有機農家であっても支援がある県とない県によってこれから格差が開いていくであろうと思ったりもした。
posted by 情報屋 at 16:40| Comment(0) | 講演会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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