2022年09月18日

「いただきます2~オーガニック給食編」を観る

千葉県いすみ市の有機農業

 映画が始まってから30分目で千葉県のいすみ市が登場する。

Shin-SamedaS.jpg鮫田晋「学生時代からサーフィンをしてきたので海の近くで生活するのに憧れていた。[このいすみ市では]ウミガメやスナメリというイルカに遭遇することも日常茶飯事である。海だけでなく里山と包み込むところで住みたいなと」。

いすみ市太田洋市長「コウノトリが天を舞うイメージが涌いて、これがいいなと」。

いすみ市の峰谷村で有機稲作に挑戦される農家、矢澤喜久雄さんは「技術もなかったが、地域を活性化する意味でとりあえずやってみようと思った」と語る。

 ところが、これが失敗する。

太田市長「雑草は出るは米は獲れない。惨々たる結果で止めようかと」。

矢澤喜久雄「雑草だらけで稲がみえない」

Hiroshi-Ota.jpg太田市長「ということで、当時の課長と3人で稲葉[光圀]さんのところに乗り込んだ。

鮫田晋 「[いすみ市で講演会を開き]100人で稲葉さんの話を聞くことが出来たのだが、環境を良くする日本農業の本来の姿に戻る重要な局面を迎えていると。そして、社会をより良きものにしていくと。いすみ市の取り組み方ひとつで世の中を変えていくことが可能だとの強いメッセージをくれた」。

 ここで、2018年当時の故稲葉光圀氏の指導の映像が登場する。

「どうやって雑草を取るかとほとんどの農家が考えていたが、どうやって発芽を抑えるかの技術に集中してきた。」

矢澤喜久雄「稲葉先生の生き方、農業を通じて社会や生態系を良くしたいとの信念、一緒に有機農業を作っていこうというスタンス、姿勢。本当に素晴らしい人だなと。稲葉先生と巡り会えたことがありがたいことだったと」

稲葉光圀「1回目で除草し、2回目に代掻きをすることがポイント。そこで、泥水をかきあげる」

矢澤喜久雄「おっしゃるとおりにやってみたら稲の成長の邪魔になる草がない。稲刈りまでぜんぜん田んぼに入らない。草がでない。もうびっくりしました。これが稲葉先生にお教えいただいた最大の驚きでしたね」

 代掻き、深水湛水等の有機農業技術によって水田から雑草が消えたのであった。そして、鮫田晋氏が、サンショウウオ等が戻ってくきている映像が入る。

太田市長「これを子どもたちに使おうと農家は提案してくれた。これは嬉しかった。全国初だということで出発させてもらった」

 慣行米との価格差500万円は市が負担しているのだが、これについて「これもしっかり説明して議会も理解してくれた」と市長は語る。「難しいのかもしれませんが、説明すればつかないことはないと思う」と微笑む。

 いすみ市はゼロから出発したが、2015年の4tが2018年で42tとなり、全校に有機米が提供された。以前は16%も残食率があったのだが太田市長は「残飯だらけだったのが間食に近くなった」と言う。

Mitsukuni-Inaba.jpg稲葉光圀「雑草が許せないと農家は思う。しかし、それが子どもたちの健康に問題があるとなれば、孫の健康を願わないおじいさん、おばあさんはいないと思いますよ」

鮫田晋「稲葉先生がコウノトリを飛んでくるとのエピソードを言ってくれて、『コウノトリも来てくれますよ』と言ったら、本当にその2、3カ月後に、それも取り組んだばかりの2反の水田にコウノトリが飛んできてくれた」

 ここで、コウノトリが飛翔する素晴らしい映像が入る。

鮫田晋「奇跡的。作り話にしてもできすぎているのですが、わざわざ始めてきたところにピンポイントで飛んで来るのは信じられない」

矢澤喜久雄「信じられない。励ましてくれたのかなと」

鮫田晋「稲葉先生は『私が呼んでしまったのかな』と語られる。そして、[有機]給食が気に入って[いすみ市に]移住した人もいる」

 実際、住みたい田舎ランキングが5年連続1位になっている。

「暮らしの豊かさを求めている人が多い」と鮫田氏はいう 。

 次に、ブラウンズ・フィールドの中島デコ氏が登場する。そして、野菜農家の近藤立子さんが登場する。

鮫田晋「近藤立子さんから農林課に電話があって、熱意があればできると思ったので、学校給食センターと生産者のみなさんとひとつずつ開拓してきた。何万食の給食センターだと1日に使う量は半端ではないが、その一部からやっていけばいい。ニンジンが100kgいるとしてもそのうちの20kgでいい」

 そして、畑で近藤立子さんが始めた理由を説明する。

近藤立子「自分の子どもの体調が悪く学校に通えなかったのだが、[有吉佐和子さんの]複合汚染を読んで、実際に作ってみたところ、野菜の味が違うことに気づく。アレルギーのことはわからなかったが、昔、食べていたのと同じものを手に入れようと思ったのがきっかけで、近所の農家に幼稚園のグループで何でもいいけれども頼んだが笑い飛ばされて、それで自分たちで菜園を借りて自分たちで作り始めた。最初にできたのが小松菜だったが、覚えている昔のナッパの味だなと。そして、子どもたちもよく食べてくれたので1反を借りて、8つに区切ってここには石灰を撒くとか実験的にやってみた」

「無農薬野菜が順調に育ち近所に配れるようになってから農家に広めていけばどれだけ幸せになるだろうと。皆に知らせたいと天に向かって叫んだ。それから、一週間、10日も経たないうちに、まだ無農薬という言葉が知られず、ましてや有機農業なんて言葉もないときに出版社から『話を聞きたい』との連絡があった。そして、「婦人の友」に掲載されたところ全国からすごい反響だった。

 近藤さんは有機給食が夢であった。「給食に使っていただければいいなと。お米が成功したので話がくるかなと思ったら来なかったのでニンジンを強引に持っていったら『2カ月先に入れてみませんか』とその場で決まった。そして、採用が決まって子どもたちが実際に食べてくれたときに嬉しいという実感が湧いたと。挨拶をしてくださいと言われたが涙をこぼさないのが精一杯で何も言えなかった。胸が一杯で子どもたちのキラキラした目をみていて、夢を持ち続けていれば叶うということを言った気がする」と語る。

 次に給食センターにシーンが変わる。

いすみ市学校給食センター長の鶴岡勝夫氏が、8品目、ダイコン、ニンジン、ジャガイモ、コマツナ、ニラ、タマネギ、長ネギ、キャベツ、この品目では20%が有機であると述べる。センター長によれば、大きさを揃えて出荷することを生産者にお願いしたのだが、状況によってはできないこともあると。

鮫田晋「前向きな答えが出せないのが自治体の定めなので、必ずしも前向きな回答が得られないので『うちの自治体は駄目だ』ということではなく、共感する人と一緒になって広めていけばいい。木更津市も3年目だし、他の自治体でもセット増えていくのではないか」

千葉県木更津市の有機給食

Youki-Nomura.jpg 次に木更津市が「人と自然が調和する条例」を作ったことについて、市の野村洋貴氏が説明する。

「1万500人なので、30校にお米を出す。2019年が1.8haで3t。2020年が2年目で生産者が8名で5.5ha、13t、2021年が42t。差額は市が財政負担をする。2019年の2月に稲葉光圀さんをお招きし、そこに生産者が20、30人来た。生産に必要な機材は稲葉先生からお借りした」。

 稲作農家、杉山孝氏は雑草が出ずに1年目から成功したと言う。

 野村氏はいすみ市という前例があるので、JAとの付き合い方とかのノウハウもあるのでそれを聞けることがありがたいと述べる。

新潟県佐渡市の有機農業

 映画が始まり1時間目で新潟県の佐渡市が登場する。

Ryugo-Watanabe.jpg渡辺竜五(1965年~)市長「朱鷺が絶滅したのは農薬よりも用水路等の環境の変化が大きい。佐渡全体でも最低でも農薬は5割減、そして、お米だけはネオニコを使わないところまでは来ている。ヨーロッパでも国によって禁止されているので」

稲作農家、斎藤真一郎「アカトンボがいなくなったということで研修会があった。トキが食べるものがなくなってしまうので、農薬を使っていたらトキが増えないので農薬を使わないと。農協が決心すれば農家は買えないからできる」

渡辺竜五市長「佐渡農協が農協として判断をした。これは偉い。そして、きちんとうまくいっている。これは素晴らしい。一回絶滅した鳥が5、10羽を放しただけで、それがいま500羽になっている。

斎藤真一郎「25年前に農業をやっていたときにはいなかった。環境さえ変えてやれば生き物は増えるしね。ふと空を見るとトキが飛んでいたと。これまではカラスや鳶しかいなかったけれども、いまはトキが飛んでいると。10年前には双眼鏡で追っかていたのだがいまは朝起きれば飛んでくると」

 そして、朱鷺の素晴らしい飛翔シーンが映像で流れる。このお米が売れない時期に佐渡の米は足りないと。そして、農家やJAも希望が出る。

渡辺竜五市長「お客さんがいることが生産者にとって命ですね。これまでは安いものを出すことが、高くてもいいものを、になってきている。そして、お客さんが支えてくれるお米を作るべきだろう。さらにはお客さんのニーズを変えるお米を作りたい。この背景に環境を守っていることをトキが教えてくれた」

斎藤真一郎「実証モデル事業、不耕起で有機を始めて、最後は自然栽培で5、6年。空気中にある窒素が田んぼにいる窒素固定菌が増えてくると何もしなくても獲れる。草と共生できる世界になってしまったんだよね。精神的にも収量も変わらないし、すごく楽になった。昔はコナギを取っていたが、それが共に生きていける世界の生き物になりましたよ」

 もちろん、2.5ha。1カ月4回は除草機械で歩かなければならない。

Shinichiro-Saito.jpg斎藤真一郎「田んぼは人間のためのものではない。地球を含めて必要なものだと思うので消費者もいいことをしている農家、産地を応援する。ただ安いだけでなく社会貢献できる消費をしてもらいたい」

渡辺竜五市長「子どもたちが食べるものをまず優先する。そこで、この6月は30校で1カ月は有機米を食べてもらった。すると、あるお母さんから市長ありがとうと。発達障害があるのだが少し落ち着いていると。これは素晴らしいことだなと。来年に向けて、作る人を増やすために研修会をやっている。やるときにはどんとやればいい」

 そして、佐渡が転換した理由について斎藤真一郎は「やはり動いたきっかけは市長でしょう」と語る。「農協も一緒になってやってきたから。行政よりも農協が動けば変わりやすい。トキの野生復帰のアピールとか佐渡のお米のアピールとか、もりあげようとしている。

京都府亀岡市の有機農業

 映画が始まってから75分目あたりで亀岡市にシーンが変わる。

Takahiro-Katuragawa.jpg桂川孝裕市長「亀岡市は環境の世界都市を目指しているので、農業でいえば有機とか無農薬である。天然記念物アユモドキを護るために、スタジアムの開発場所を別に移して生物多様性を守っている。そして、令和4年から保津川小学校での給食で有機米を使っていくと。昨年の生産は8畝なので、地元のオーガニックアクションとの協力でこれを10倍にする。将来的には全校で使っていく。アレルギーの子どもが多いが、食の中で何かの変調が身体で起こしているのではないかと。そこで、田植え、刈り取り、脱穀の過程を子どもたちに体験してもらうことが必要である。自らを体験して故郷を語れるようにないといけない」

長野県松川町の有機農業

 映画が始まってから80分目あたりで長野県松川町へとシーンが変わる。

Tomohiro-Miyashita.jpg宮下智博町長「子どもの頃に体調を壊して20歳まで生きられないと言われたが、食べ物を変えたら元気になって、いまも町長をやっている。その体験から子どもたちのために何かをやってもらおうと。最初はお米でしたが、そして、野菜を入れました」

 松川町での吉田俊道氏の講演の風景が登場する。そして、町の富士森公園での実習風景。乾燥させた雑草を畑の土に大量にすき込むシーンが出てくる。一切肥料をいれていないのだが、ピーマン等ができている。

kimika-MiyazimaS .jpg宮島公香係長「主要5品目、お米、ジャガイモ、タマネギ、ニンジン、長ネギ。今年の目標50%で、11月1月分は新米のお米が100%提供できる。できることから少しずつ産んでいきたいと思っている」

 無肥料でできたピーマンを手にした松川町の子どものシーンが映る。

木更津市野村洋貴氏「新型コロナで自分たちのところで獲れたものを子どもたちに向けて消費することは、農業振興にも環境負荷にも市のブランド化にもなっていいことづくめ」

佐渡市渡辺市長 「佐渡に来てください。[朱鷺を見ることは]一生忘れられないですよ」

斎藤真一郎「子どもにいいものを食べさせるのが大人の責任だ」

Toshimichi-YoshidaS .jpg吉田俊道「土を作ってしまえば美味しくなって楽になるんですから」

鮫田晋「国が支えてくれるとか企業が支えてくれること以上に、正しいことを正しいと言う人がいることで世の中は支えられている」

 稲葉氏が2020年76歳で永眠したことが映り、「稲葉さん子どもたちを守ってください」とのメッセージで映画は終わる。

編集後記

 いただきますの映画を見た。3回以上も見ているのだが、千葉県のいすみ市ができたり、長野県の松川町が登場したり毎回バージョンアップされている。ということで、映画を見ながら、メモした内容を活字にしてみた。もちろん、文字だけでは、本当の映画の素晴らしいシーンの数パーセントしか伝えられないのだが、本番の映画をみるための参考にしていただきたい。なお、画像も撮影できないので、登場人物の画像をネットから検索し、出してみた。

【画像】
鮫田晋氏の画像はこのサイトより
いすみ市太田洋市長の画像はこのサイトより
稲葉光圀氏の画像はこのサイトより
野村洋貴氏の画像はこのサイトより
渡辺竜五市長の画像はこのサイトより
斎藤真一郎氏の画像はこのサイトより
桂川孝裕市長の画像はこのサイトより
宮下智博町長の画像はこのサイトより
宮島公香係長の画像はこのサイトより
吉田俊道氏の画像はこのサイトより
posted by 情報屋 at 10:30| Comment(0) | 有機学校給食 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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