(株)舞ファーム代表取締役西辻一真 農水省の方も自治体側の協力があって横展開をし、有機農業面的に広げていきたいと。そこで、学校給食への有機食材の導入を支援し、農水省の食堂そのものでも有機が食べられるようにしていると。で次に、桂川市長からお願いしたい。
保津川の環境保全からオーガニックへ
この8月22日には「子供ファースト宣言」をした。そこで、18歳までの子どもの医療費の無料化とか、子どもが2人目以降は保育料を無料にするとかをしているのだが、保育所と小学校での給食で有機食材を使っていくとも宣言をした。
町にオーガニックの研修拠点を作り既存農家を有機に転換しふるさと納税で税収もあげる
先ほどのスタジアムの開発用地が14haあり、そこは亀岡市が持っているのだが、これをオーガニックビレッジパークとしていろんな有機の生産技術を学ぶ場にしていくと。オーガニック・アクションを介して、農地を無償で貸して、そこでできたものを全量、亀岡市が買いあげていくことを進めている。そこで学校給食の活動もできる。年間活動を通じて給食に有機米を提供するのには60tがいるのだが、まだ10分の1しかない。なので、減農薬でまだ有機ができない既存の農家に研修をして広げ、この14haを拠点にして、そこで学んだ人が自分の畑や田んぼで広げていきたいと。
亀岡市は今回のエキスポにも出店をさせてもらっているが、国が掲げるみどりの戦略では2050年までに有機農業を25%まで増やしていくとしているが、亀岡市はそれに率先して取り組んで国と一緒にやると共に市をPRしてアピールしいきたい。というのは、32億円ある多くのふるさと納税がまだ活用されていないので、オーガニック野菜を届ける戦略を持ちながら、若手農業者を応援していると。
有機給食の課題、ロットの確保と価格を解決するには
西辻一真 私も3年前まで京都に住んでいたので応援したくなると。先日、亀岡市役所にお邪魔した時にもアユモドキがいて、こうした生物を守っていかなければならないと。それを強く感じた。
では、次にトークセッションで私から口火を切りたいのだが、有機食材を入れるときに二つの課題があると。一つが供給すると言っても食材が十分にないではないかと。二点目が慣行栽培に比べて値段が高くなるのだが、それを公共調達や学校給食としてどう解決しているのか。政策としてフォローできるのであればご意見を。
教育の観点も加味すると市民の有機への評価は高い
桂川孝裕 有機米は昨年に作られたものを市が買い上げ始めているのだが、実は通常、センター方式でお米だけを炊いているのだが、そこだけでやるのが難しいので各小学校に炊飯器を用意して自分たちでお米を食べる取り組みをしている。
次に有機米の生産者からすると既存の米との価格差があると。いろいろと有機で作るには工夫をしているため、そこを高く買わしていただいている。元々、給食費については市が半分の補填している。けれども、食育の観点から、植え付けから刈り取りまで自分たちでコメを育てたという意識が持てるので、子どもたちのお米への関心・理解が深まっている。先日、亀岡市で「子どもファースト宣言」をしたので、公立の保育所、森の自然子ども育園等で出していると。自然の中の保育園に入れたいという親御さんが遠くからわざわざ送っている。そこの保育園のプログラムには有機給食があって、そこに採れた有機野菜を納品して調理をしている。保育所は自校給食をやっているので、それでやることによって、お母さん方の反応がわかる。それまで、野菜嫌いであったのが、学ぶことで野菜を食べてくれるようになったと。つまり、有機給食というのは、食育からもいい要素を持っているのだと。農業者だけでなく保護者や子ども応援するということで補助を出して取り組んでいる。
西辻一真 食育や環境の学校給食。食べるためだけの予算ではないと。このご意見が印象的でしたが、議会対策は大変ではないですか。
桂川孝裕 亀岡は環境都市を目指しているし、ふるさと納税としても農産物を扱っていると。いま、亀岡市の返礼品としては農産物しかないのだけれども、それが有機でブランド化されていけば寄付も増えるだろうと反対がなくて、おおむね賛同をいただいている。
有機を知らない消費者に対して月1回でも給食を介して理解を広めることが肝要
西辻一真 確かにいまの桂川市長のお話を聞けば反対が難しいなと思った。で、伊藤補佐から価格差について農水省の政策として何かあるのだろうか。
西辻一真 自治体の中で環境セミナーを行う予算や慣行栽培との差額を補填することも出ていると。この農水省の補助金を活用すれば、あえて市の予算を取らなくてもやれると。
伊藤隆 保護者負担もある。最初は少しずつでやっていくと。これであればできるかと。
西辻一真 質問も数多くチャットできているので各論に入っていきたい。まず、話題が学校給食からはそれるのだが、ここでいう有機食材は有機JASを取得しているのだろうか。取得にはお金と時間がかかるが、それに対する補助金はあるのかという質問。
伊藤隆 必ずしも有機JASでなくてもいい。平成18年の有機農業推進法で、JAS認証を取得していない有機も存在している。地方の直売所や直接、消費者と農家とがやりとりしているものは、表示の外でのものになる。だから有機JASでなくてもよい。そして、補助の話だが、新しく有機JASを取得する人は手続きや認証機関から検査を受けるのだが、それについて補助する支援制度も導入している。
JAS認証への中間を埋める市独自の認証制度を設け転換のハードルを下げる
桂川孝裕 亀岡市は市内の農業者が有機JASを取得することに対して研修会や補助をしている。すでに、4、5件の農家はJAS認証を持っているが、これを20件まで増やすことが目標なので市単独で支援制度を設けている。また、農水省のオーガニック・ビレッジ構想を実現するため、有機JASはレベルが高い目標なのでまず亀岡市独自の有機基準で段階的に取り組んでもいいのではないかと思っている。それを検討していきたい。こうした亀岡的な制度ができれば、既存の農業者ができるのではないかと。地方からそのチャレンジをできればと思っている。
西辻一真 自治体によってはすでに地産地消をしていますと。そこから先の有機まではハードルが高いと。そこで市としてどういうアプローチをしていますかというご質問が来ているのだが、慣行から有機のJASの間に一つ挟む市独自の認証制度があると。まさにズバリこのご質問への回答になっているのかなと。それと農家に有機に切り換えてもらいたいというときに、慣行栽培がある日突然に有機認証までいくのは転換が大変なのだがどうするかと。
有機農業が難しいという偏見をなくし農家が出せないB級品も活用する
桂川孝裕 一つは学びである。除草剤や農薬に助けてもらって手軽にできている人が、有機をやれば草が生えて大変で手間がかかる。こうした先入観を持っているわけだが、水田に張る水の深さや泥をかき混ぜる。あるいは、既存の草を熱で殺す技術とか、有機栽培は技術的なサポートがないと達成できない。そこで、研修会、勉強会を行い、すでに有機農業をやってくれる人との苦労を共有してハードルを下げるサポートをしないと無理であると。まして、既存の農業者は固定観念を持っているので、「隣で有機農業を始められたら虫が発生してうちの農産物が食われたら市は補償してくれるのか」とも言ってくる。しかし、ちょっとした知識があれば有機はやりやすくなってきているし、とりわけ、米はそうである。
いま、市の給食の米はすべて地産地消で、地元産の米を買い付けているのだが、野菜でも一番のA級品、真っ直ぐのキュウリとかがあるのだが、多少虫が食っていたり、曲がっていてもいいと。給食の食材であれば味も変わらないので、B級の農家が市場に出荷できないものを有効に活用すればいいのではないか。農家がほ場段階で廃棄する量はかなり多くある。ちょっと虫が食べた跡がとか光が変色したものは市場に出せない。それを有効に活用していけば一級品もいいが、有機のB級品でも味は変わらないと。そして、農家にとっても捨てなければならない野菜を活用できると。食材を供給する側からすれば、どちらもウィン・ウィンになるのではないか。農家が出荷できないものをどう活用していくかも大事である。
西辻一真 慣行栽培を有機に切り換える時には、技術もないなかでどうしても収量が下がる。その分、捨てていた分が使われれば農家の所得にとってもいいことになるのではないかなと。もう一つ、廃棄しているものの規格も含めてJAとの取り組みは。
桂川孝裕 JAとの取り組みはまだないが、年間60t、100tを使おうと思うと、貯蔵する施設があるし、JAと連携をしていかなければならないと。ただ、有機の農産物がJAを通じて市場に出ることはないので今後の課題だと思っている。
財政が厳しい自治体でも可能~フランスでは料理の工夫でコストをあげていない
西辻一真 一昨日のセミナーで島根県は有機を推進していて、JAしまねと物流でも取り組んでいくとの話があった。亀岡市でも物流があるとそこまで話が進めば量が増えることになるかなと思う。次に今度、伊藤さんに難しめの質問なのだが、今、有機農産物を入れたいのだが、財政の厳しい自治体はどうしたらいいのかと。
伊藤隆 一概にこうとは言えない。二つの考えがある。まず、財政が厳しい中でも全部を有機にするのではなく、月に1回、例えば、お米の日を作るということであれば100万円の単位ではなく数十万円の単位でもできる。次に有機にすると高くなると言われているのだが、費用を抑えていくこともある。フランスの事例がよく出るのだが、公共調達の20%は有機を使うことが数年前に法制度化され、これは民間の調査によるのだが、それだと給食の経費が上がっていないと。日本よりも有機農業が進んでいるので有機食材が日本ほど高くはないと。したがって、広がって普通に生産ができるようになると値段もマイルドになるのかなと。もう一つは工夫で、フランスでは調理やメニューの工夫、例えば、肉を減らしてダイズにすることで値段が上がらなかったと。いま、亀岡市長が言われた廃棄物を減らすとかもあるし、そこまでしなくてもできるのかなと。
西辻一真 では、仮に財政が厳しい自治体の首長だったとして市長は。
1回でもまず有機給食をやることで市民の反応が変わる
桂川孝裕 まず、月1回でも実際にやってみると市民の意見が変わってくると。自治体は市民の声を聞かなければいけないし、大きな道路を作れば何億円もかかるのだが1回の有機給食は数十万円でできるので、結果として市民や住民の農業者への理解が広がると。そういう雰囲気を作っていくことが大事で、どこも行政が大事なのだが、子どもファーストで有機給食を進めていく上での有効な政策ではないか。そこをどうアピールできるかだと思う。まずはやってみてその反応をリサーチすることで、次のアクションが生まれてくる。まず、一歩進めてみて、それから考えてみたらいいのではないか。
有機で学校の給食の作業工程が増すことは見える化を
桂川孝裕 うちはセンター方式で、それを民間事業者に指定管理で入ってもらって運営している。曲がった野菜や傷があるものを使うと手間がかかると。では、どれだけ手間がかかるのかを実証していただいて、そこでロスをどう改善するのかである。例えば、人件費を上乗せすることになるのか、それとも指定管理業者の自助努力でできるのか。子どもたちの食への反応は敏感なので、「美味しかった」とか残飯としてどれだけ残すのかをいつもリサーチしているので、仮に手間がかかっても全て平らげて残飯が出なければ、そこには、やりがいもあるし、そこをうまく見える化するという連携が必要かなと思っている。
西辻一真 曲がったキュウリの数を計算するよりもまずはトライしてから結果を計算すると。業者だけの努力でできるのかと対応しながらやっていくと。次に面白い質問がきている。亀岡市の取り組みは、素晴らしいと思うのだが、市長が有機化をする前にそんな声が市民からあったのだろうか。
桂川孝裕 肌で関心を持っている人が増えていることは感じていた。亀岡市が有機給食をやっていくにあたっては、有機を志して移住してこられている人もいる。そういう人が活躍できる場が大事であると。もう一つは有機をやることは食育と一緒になってやることが大事だと。こんな過程で、有機農産物ができていることを理解するというのが大事だと。トータルの中で有機給食をやっていく。実は、保育園でやったら非常に評価が高かった。保護者の声をいただいて着実にそれを求めているし、子どもたちもわかってもらえると。だからこそ、すべての小学校で毎日はできないにして、月何回か、週1回から来年度からやると発表させていただいた。
西辻一真 もう一つ米の有機化があったのだが、牛乳や乾物、調味料も考えていくのかと。
桂川孝裕 調味料も変えていく必要があると思っている。
伊藤隆 牛乳は難しい。濃厚飼料の餌は輸入であるので。
西辻一真 本日の内容は参考になるものであったと思っている。そして、市民として声を上げることが大事だと思った。そして、今日のお話を聞くと、市長が変わらない限りは市の担当職員が変わっても大丈夫だと。
編集後記
【画像】
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