はじめに
昭和63年に入省、2年本省にいたが、四国の四万十川の源流の村梼原町(ゆすはらちょう)に出向した。棚田を守るために「四万十」にちなんで4万10円の料金設定で棚田のオーナーをつのるプロジェクトをやったりした。2年後に本省に戻り、27、28歳の頃に「こーいちクラブ」にデビューした。その後、2000年に静岡県庁に出向していたのだが、その時に「こーいちクラブ」の方にも静岡に来ていただいた。また、4年前には「スマート農業」の話をさせてもらった。さて、今日は技術が果たしてきた役割、みどりの食料システム戦略、そして、スマート農業について話したい。
農業技術の開発で増加する人口が養えた
まず、世界人口だが、収穫面積がさして変わらない中で、世界では人口が増え消費量も増えたが、生産量が増えたため養うことができた。しかし、現在の77億人が、今の中国とEUをあわせたくらいの人口が増え2050年には97億人になるとされている。
こうした中で大きな役割を果たしたのが生産性の向上である。労働時間は農業の機械化で稲作では1960年に23時間かかっていた田植え時間が2005年には3時間となった。また、農林10号は日本人が開発した小麦品種だが、ボーローグ博士[米語発音ではバーラーグ]がこれをもとに多収品種を育成した。
農業の温室効果への責任は日本では小さいが日本技術が地球環境に貢献
こうした中で、なぜ、いま「みどりの食料システム戦略」かである。メタン等の温室効果ガスをCO2 換算してみると現在、世界では人類起源のものが約520億tあるのだが、うち、農林業由来が約120億t、23%あるといわれている。日本からの排出量は12億tで世界全体の中では2〜3%で、このうち、4,747万tと農林水産分野からで、日本全体の3.9%である。したがって、日本の中での農業の寄与はそれほど多く出しているわけではない。しかしながら、日本技術が開発されることによって世界に貢献しようということである。
農林水産分野での内訳を見ると、温室のための加温など燃料の燃焼が3分の1で34.1%、メタン等の牛のゲップと家畜の排泄物や稲作から出てくるメタンが半分弱の46.2%、そして、一酸化二窒素が2割、19.7%となっている。
肥料確保が厳しくなってきた
欧米の環境シフトにあわせてアジアなりに野心的な目標を設定
さて、昨年に作った「みどりの食料システム戦略」を1枚紙で説明するとこうなるのだが、まず、EUがファーム・トゥー・フォーク戦略を立てたと。化学農薬を50%削減し、有機農業を25%に拡大すると。また、米国もバイデン政権になって「農業イノベーションアジェンダ」で2050年までに農業からのカーボンフットプリントを半減すると。EUや米国が環境にシフトした国家戦略を立てている中で、アジア・モンスーン地域の日本も欧米に引っ張らないように自分たちもやらなければならないという意識が働いたと。つまり、EUは有機農業がやりやすい風土にあるのだが、アジア・モンスーンはすぐには有機に移行できないので2030年ではなく、2050年までにするとしていると。だいたい4分の1は有機農業にしていく戦略を作った。
では、これにどうやって持っていくか。「現在、0.5%しかない有機農業を25%にまでするなんてことはありえない」と言われるのだが、まず、戦略的な取り組み方法として、しっかりと技術開発をするのだと。そうした、志が高い目標を設定している。
この戦略を進めていく法律が、今年、5月2日に公布された。作った法律の正式名称は「環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律」という名前なのだが、ジュゲム・ジュゲムみたいと言われていて、我々は略称として「みどりの法律」と呼んでいる。
この法律は何を規定しているのかというと、まず、生産者と事業者と消費者が連携しないとだめですね。そして、国や地方公共団体等の関係者の役割の明確化と。そして、国がすべきこととして、関係者の理解の促進、環境負荷の低減のための調達・生産・流通・消費の促進、そして、技術の開発・普及と環境負荷低減の見える化といったことをやるようにしている。
また、特別償却を受けられる税制の仕組みを説明する。可変施肥田植え機は、土壌中の肥料成分を感知して判断するスマート農業の田植え機なのだが、この償却が7年かかるもの早めに5年で償却すると。また、堆肥施設を建てるときにもこの建屋を早く償却できると。もちろん、これらはそれを作るタイミングの人しか利用できない。資料19ページは全体の概要を紹介しているのだが、例えば、研究開発については14の目標が書いてあり、ドローンでピンポイントで防除をすれば化学農薬の削減ができると。また、土壌センサー付の可変施肥も肥料削減になると。これらは直ちに普及したいと。一方、まだできていないのが、正条植田植機の開発である。これまでは機械で除草しても苗間は手で除草しなければならないのだが、真四角に植えると縦横で除草機械を走らせれば、除草をすべて機械化ができると。有機農業で皆さんが田植えするときにも手で植えてた時代は正方にやっていたと思う。これまでは植えるための動力と走るための動力が別でなく一緒にしていたのでできなかったが、動力をわければGPS信号の受信とセットで可能になる。これを研究開発して速やかに普及しようとチャレンジしている。これが安くできると大規模での有機栽培が可能になるので頑張っている。また、AI除草機は雑草と苗とをしっかりと見分けるようなシステムの開発をやっている。
そして、右側の資料だが、例えば、牛のげっぷだがこれは草を分解する過程で必ずメタンがでてしまう。これは牛を飼う以上は止められない。しかし、メタンが少ない牛の種類もいるので、それを選んでその牛の腸内細菌を調べ研究をしていると。欧米のほうが当然のことながら、牛肉を消費しているので牛のゲップをどう減らせるかを切実に研究しているので、日本もそれを頑張っていると。そして、さらに右側の図は土壌微生物がいることによって、なぜ無耕機栽培がやれるのか、生産性があがるかを検証してこれを再現しようと。このメタンと土壌微生物の解明は時間がかかるので、ムーンショット事業によって2040年までに技術確立することになっていると。
スマート農業の推進について
次に4年前に、この「こーいちクラブ」でスマート農業の話をさせていただいたが、それ以降、だいぶ進んできたのでそれをご紹介したい。まず、農家が減少して一人当たりの作業面積が増えている。農作物の選別等はJA等もやっているが労力もかかっている。そして、危険な作業やきつい作業は機械化が難しいし、トラクターの操作等の熟練の技術を要する作業は、新規参入が困難であると。そこで、いま、令和元年から全国202地区でスマート農業の実証プロジェクトを全国展開している。例えば、ドローンで写真を撮って回り、どんな虫がいるのかをAIが学習していく。そして、そこだけ農薬を撒くことが可能となっている。大豆では農薬散布量が10分の1になると。(株)オプティムがピンポイント農薬散布技術を開発している。また、これもAIの話だが、いろんな病気の画像データを集めてこの葉がなんの病気かをすぐに判定することが、トマト、イチゴ、キュウリ、ナスの4作物ではできている。今後、判定できる作物を増やしていくのだが、画像データを集めて学習させるのが難しい。そして、右側のAIの事例は長崎でやっているのだが、例えば、ミカンは表年と裏年があるので、降水量、日照量だけではその年の糖度や収量がわからないが、前年の糖度も含めて学習させておくと秋にはこうなると予想できる。そして、秋の収穫時の糖度が低そうだとなればマルチを張って糖度をあげる栽培の工夫を行う。あるいは、秋の収穫時の糖度が高く美味しいとなれば余計に手間をかけない。すると産地では糖度が何度のミカンが今年はどれくらい獲れそうだそうだということで小売りとも商売ができる。
そして、次が機械を入れた事例だが、茨城県龍ケ崎市の横田農場の横田修一さんだが、ここは164haを家族+わずかな従業員でやっているが1台の機械ですべてやっていくことを目標にしている。早生から奥手まで10品種のコメを作っているのだが、これを1台の田植え機を使い倒すと。そこで、収量コンバインとドローンをセットで入れて、田圃毎の収量がわかると。そして、モザイク状で管理している田圃にコンバインでのこの収量のデータを入れると、今年の施肥量をどうすべきかがわかる。この方はもともとドローンを嫌っていたのだが、試しにやってみたら追肥が楽だったと。短時間でできたということでこれからはドローンは使うと言っている。「背負動力散布機と比べて1日当たり2倍の面積の作業ができ労働負荷も軽減される。予想外の良い結果でドローンを使った追肥は大きな可能性があると考えを改めました」と経験を語っている。
次の事例は、愛知県のJA西三河の事例である。ハウスの中にセンサーを入れて、気温、湿度、二酸化炭素濃度、施肥等のデータをJAのセンターに集め共有して組合員が見られるようにしている。これまでは参入したての若い人は栽培につまずくことが多かったのだが、ベテラン農家の管理がリアルタイムで見られるようになったので、新規就農者が他の人のデーターをみてつまずかなくなったと。また、10年もやっているとベテランの農家の方も栽培管理に自信をもって行っているはずだが、JAで一番の実績の人の管理方法を見て「自分は温度管理があまかった」とか「肥料が多すぎた」といったことがわかると。つまり、産地全体の単収があがって27t/反が取れていると。この2つは事例としてよくあげさせていただいている。
次が水稲をやっている岐阜県の集落営農法人の事例だが、196haでGPSを使ったロボットトラクターを導入した。女性の経理担当だったスタッフが「私もやりたい」とオペレーターになったと。結果として、会社の人数を増やさずに面積が164から196haに拡大できたと。この資料の右側は北海道で水稲でロボットトラクター等を導入した事例だが、これまではお父さんが忙しくて子どもたちを連れて遊びにいけなかったのが今年のGWはみんあで遊びにいけて家の雰囲気が良くなったと、喜んでいる。
次が高知県の四万十町の事例で、中山間地域でリタイア農家の依頼を受けた法人には水田が集まっており、約700枚を管理している。一昔前は新人職員が田圃を間違えて稲刈りする事件なども起きいたのだが、スマホで確認できるようになったため、新人職員でも請け負っている田圃を間違えないでわかると。さらに、新人でもまっすぐ苗を植えられるようになったので戦力になったと。ところで、「直進キープ田植え機」はどこがいいものなのか疑っていたが、横田修一さんと話をしていたときに苗の配置が曲がっていると収穫時にコンバインが詰まってしまうと。そして、詰まったイネを除去して再起動することを考えると、その時間ロスの有無れが効率性を高めるうえですごく大事なことだと改めて気付かされたと。真っ直ぐに植えることは見栄えだけでなく作業性からも重要だと。
このページの右側は宮崎県で学生アルバイトがラジコン草刈り機をよろこんでやるようになったと。木陰でくつろぎながらゲーム感覚で楽しいと。
藤田和芳 でも、それでは、水争い輪は防げないでしょう。
青山総括審議官 スマート農業も結局は人が使うものなので、トラブルはもともと防げない。また、水田で水が張っていると嫌気性でメタンが出てくると。もともと水田はメタンを出しやすいのだが、中干しをする期間を伸ばすと。メタンの発生量が3割位減ると。この水管理システムがあるとメタンの発生量を減らすことができるし、環境負荷低減効果もある。スマート農機はまだニッチで高いものがあるので皆で使うシェアリングをする。そして、ドローンもオペレーター付で安く使えるようにすることが我々の政策目標である。
そして、スマート農業の効果を農林水産省のホームページで宣伝していたのだが、今年の4月になされた全国学力調査での中学の3年生の国語の問題にスマート農業がとりあげられたと。これで、中学生に周知が広がったと期待している。
藤田和芳 それは、文科省に友だちがいたんじゃないの。
青山総括審議官 そうではない。全く関係ないところで採択された。次のその他の農業分野の研究開発について、説明したい。牛のメタン等の技術開発をしなければならないものはムーンショット型で時間がかかるのだが、時間がかかるのだがもしできたらならばかなり面白いということをやっている。さらに別の視点のアジア・モンスーン地域への応用事業がある。メタンを減らすことは東南アジアと共有することでアジアの人々も「そうか、メタンを減らすためには、水稲の中干しの期間を増やせばいいのか」とわかってもらい、世界全体でメタンの発生量が減らせると。そして、国際農研(JIRCAS)が作った小麦がある。窒素肥料をやりすぎるとこれが硝酸塩になってN2O のもとになってしまう。このBNI強化小麦は硝化抑制に世界で始めて成功したと。そして、一酸化二窒素が出る量も減ると。ただ、これはこの機能を持つだけでまだ美味しいかどうかはわからないので美味しい品種とあわせて普及していかなければならない。日本はともかく、世界では小麦を多く作っているので世界に広めることが期待される。このBNI小麦の論文を出したら、米国科学アカデミー紀要から最優秀論文賞を受賞していると。そして、資料の最後のページだが、こうした技術をどうやって広めていくか。農研機構と農政局が一緒になって県やJAに協力する体制を作っていると。
なお、補足情報だが、みどりの食料システム戦略を次世代にPRするうえで、これが教科書に書いてあると良いので、文科省の事務次官に中学校とか高校の教科書にこの戦略のことを書いて欲しいとお願いしにいった。そのときに文科省が、教科書に載っている農業関係の記述のコピーをくれた。東京書籍が出す、高校の地理Bの教科書に昔、藤田さんがキャンドルナイトの際に作られたフード・マイレージを計算するPOCOという単位が出ていた。藤田さん、このこと知っていましたか?
藤田和芳 知らない。嬉しいなあ。もう死んでもいいなあ。
ディスカッション
消費者 研究で汚泥からリン酸を取り出して肥料にすると。僕が知っている広島大学の黒田[章夫]先生がその研究をやっている。また、土壌微生物でのムーンショットの研究だが、以前に、横山和成先生をこーいちクラブで呼んでいるのだが、こうした研究に農水省はどんなネットワークでかかわっているのだろうか。こういう先生とどうつながるのか。
青山総括審議官 一般論として、農研機構の研究者がテーマ毎に先生毎につながって関係性を持つかどうかしかわからないと。リンは肥料として年間30万t使っているのだが、下水汚泥から得られるといっても3万t程度でしかないし、重金属が入っていると肥料に使えないと。扱いにくいところもあるので低コストでどう回収するかをいま国交省の下水道部局と話し合いを始めている。広島大学の先生は私は存じあげなかった。
青山総括審議官 おっしゃるとおりで各県によってばらつきがあると思うし、生産者が再生産可能な値段で消費者に買ってもらうことが前提で、どうしたら買ってもらえるかが一番の課題と認識していると。国が有機農業を振興すべきといっても、生産者がお金をかけてそれをどう消費者に伝えて実際にわかってもらえるかと。生産者が先行して始めるということではなく、消費者に届く流通とセットでないとそれは、広がらないなと思っている。
レイチェル・カーソンがサイレント・スプリングを書いたのが1962年で、有吉佐和子さんが複合汚染を書かれたのが1974年。これを受けて藤田さんたちの有機農業は始まった一方で、農業技術は生産性を上げて人口増加に対応してきた学問としての成功体験があるので、自負がある。なので伝統的な農学はずっと有機を否定してきたと。有機農業推進法ができて、ようやくもりかえしたのかなと。
今回のみどりの戦略の有機25%についても、農学を専攻してきた技術屋さんが農水省にも大勢いて大論争になった。自分たちの存在意義、信じてきたものではないところに入っていくので。つまり、ドローンとかで前向きの成果がでることはいいのだが、これまでやってきた生理学的なことを否定されると不愉快であると。どうしても、心情的に否定に走ると。
小松光一 そうした中で、大英断ではないですか。目標を立てたのは。ただ、既存の制度、学者はNPKでやっているので、困っちゃうね。
青山総括審議官 日本の水稲の単収は明治維新から3倍。180kgが500kgを超えている。3倍にしてきたと。そして、人口は4倍になっている。
小松光一 その自負がありますね。僕の知っている農家も有機農業に近いことをやっていても食料を生産しているので有機農業ではないと言っている。やっていることはかなり近いのだけれども。
青山総括審議官 茨城の横田さんは消費者を自分でつかまえているのだが、有機は数haであとは減農薬で慣行。つながっている消費者は横田さんを信頼しているので多少の病気があるときには最小限の農薬を使うときにも信頼していると。
小松光一 これを含めて有機の運動だと。
消費者 青山さんのお話を聞くと明るくなるのだが、長谷川さんの話をお聞きするとやはり予算が少ないですよね。戦闘機が5,6台分。せいぜい十億円と。議員費を減らせば十分に出るのではないか。そして、消費が増えないとやれやれといっても。一番早いのが半分以上を有機を使わなければならないとか、量販店で有機食材を出さなければならないとかを決めること。最近はフランスも給食の食材の50%を有機に規定したことで、飛躍的に有機の栽培面積が伸びたと。そして、給食費があがるのでそれに補助を考えないと広がらないと。この少ない金額でどうするのかなと。先々の動きはそういう予算を奪い取れるまで成長するのであろうか。
青山総括審議官 確かに、消費者の皆さんの応援がないといけないと。いま給食は市町村が負担することになっているので、千葉県のいすみ市、木更津市は市長が「有機をやる」と言って増えていると。一方で、北杜市の有機農家の井上さんとこの間お話をしたのだが、山梨県は標高が高いので有機で野菜を作りやすい。そして、周りも有機農家が多いのだが、それを一生懸命学校給食向けに出していこうとして井上さんがまわりの有機農家を取りまとめてきたのだが、それでも量的には7%が限界だったと。まだ、日本の中で10%とかを学校給食に恒常的に提供することは難しい。
消費者 量産はできないのですか。それとも、入れる気がないのか。
青山総括審議官 必要な量を作って入れることができない。なので、どうでしょう。オイシックス・ら・大地では学校給食に対応することは可能ですか。
藤田和芳 給食は春休みがあったり夏休みがあるとその間が切れるんですよね。それを調整しないと農家は夏場に買ってもらえないとか。それが年に3回は起こると。
消費者 加工技術でトマトソースにするとかの技術はあるでしょう。
藤田和芳 だから、それを誰が買ってくれるかと。
消費者 それがないと最終的に広まらないですよね。
青山総括審議官 学校給食はスタートだと思っている。国会でも給食については言われ続けているので。
藤田和芳 韓国の例でも学校給食が一番いいですね。有機農業に転換しやすくなるし。そうした調整ができればいい。
消費者 子どものときから舌を変えていくのが大事だと。このトマトは美味しいとか。AIは非常にいいのですが、もう少し内容を変えないと。◯◯さんのニンジンがいいと子どもが言うとか。自分の中でのプライドを作る意味で給食がいいのではないか。それが皆さんの役目ではないかと。冷凍食品にするとか補助をしないと広がっていかないと。
小松光一 学校給食でも議論がされている。
青山総括審議官 オーガニック・ビレッジ宣言の予算では、最初は100%定額でお試し出荷のお手伝いはできるのだが、ずっと支援する構図にはなっていない。
消費者 JA羽咋はすでに有機給食をやっていますよ。
青山総括審議官 それを、まとめる人が大変だと言っていますよね。
長谷川満 いろんな人と連携しないとできないですよ。高く買うこともそれも支援がないと学校給食は安いのがいいという人もいるので。
藤田和芳 無料化と連携しないと。値段が安い方にもっていかれる可能性がある。
紹興酒メーカー お話を聞いてまず技術がすごく進んだなと。一つ感じたのは日本人は本当に熱心だなと。中国では、お金を払ってもやってくれないと。お金だけもらって帰ってしまう。勉強しない。それと私の出身地は浙江省、モンスーンの気候で有機で米を作ろうとしているが難しい。まだ基盤整備がされていないし、機械化もできていない。そこで日本と差があるなと。有機食品の価格に関しては中国では高く売られていて、慣行の2、3倍だがあまり信頼されていない。私もコロナで向こうに行けないけれども、政府、県、町で場所を探している。モデル事業をやりましょうと。そして、農業が収入的に良くなってきていると。こうしたことで日本に学ぶべきだと。何十年もやってきているが、中国は始まったばかりで日本が羨ましい。また、中国では何か始めるのにも仲間がいない。人を育成するためには人を呼んできて日本の現場で勉強してそれを中国に戻してやらないといけないと。
青山総括審議官 豚の顔認証は中国の方が進んでいる。日本は牛の方が付加価値が高いが、中国は豚でやっているのですごいなと。個体識別管理を行っている。
消費者 豚は転換が早すぎるがそれでも認証ができるのか。
青山総括審議官 鶏も群としてロボットで自動管理している。
紹興酒メーカー それと中国はトウモロコシがブラジルに頼ることになっている。それが大きい。
青山総括審議官 中国は食料自給のために肥料のリンを国内のために使うと。
小松光一 以前は残飯の養豚がいたのが、それがほとんどなくなって近代養豚がトウモロコシ、飼料の餌でやっているので、輸入量が増えている。
紹興酒メーカー 肥料に投資をした。最先端の技術に投入するのは中国は得意で、植物工場も結構進んでいる。
消費者 先週の土曜日に有機農業のシンポジウムがあり、「未来の子どものためのみどりの食料システム戦略」をもっと早くということで、農水省から担当の方が来て、一人15分とかパネラーが10人くらいいたのだが、印象に残っているのがすごい計画があるのに政治家が潰して残念だなと。私たち市民の責任かなと。
消費者 国が支援しないと駄目なのかな。中国もかつては化学肥料を買えなかったから自給率が高かったと。なんとか国か政治家の問題が大きいですか。
青山総括審議官 コメの消費量が一人年間120kgあったものが今は50kgでカロリーベースの自給率が低下していると。スーパーの野菜はほぼ100%国産。加工食品用の野菜は約4割が国産。多くの人は「スーパーでは国産野菜を買っているし、自分自身の食料自給率はかなり高い」と思っているのだが、お米を食べずにパンを食べている。それが自給率の低下につながっていると思わないと。カロリーベースの37%をそんなに低いと嘆く必要があるのかな。金額ベースだと訳70%なのでそれが日本の農業の実力ではないかと思っている。国産野菜を食べてもカロリーはほぼゼロなので自給率のカウントはゼロ。また、餌を輸入している畜産物。そして、大量に摂取するようになった油もカロリーベースの自給率を押し下げている。コンビニにいってもパンのコーナーが大きくてそれはそれで否定できないのだが、おにぎりとお弁当のコーナーにしかコメがないので、カロリーベースの自給率の低さを心配する人は安全保障上、日ごろから米を選択して消費するべきだと。
消費者 フランスが120%という数値と比べてしまうのでわかりにくくなってしまうと。
青山総括審議官 江戸時代は300万町歩で3000万人を養っていて、その人口が4倍に増えたが、農地は400万ha。いったん600万haまで行ったが、いまは440万ha。今も一町歩で10人を養っている。土地として人を扶養する能力は江戸時代からほぼ変わっていない。ほぼ同じ面積で水稲の単収を180kgを500 kgにして頑張っていると。
小松光一 自給を議論したうえでのこの計画なのかなと。
消費者 世界でCO2をゼロにすることを先進国で決めて、「そういうことは可能なのかしら」と思っていたのですが、それをブレークダウンして実行されつつあるかなと。目から鱗でした。
紹興酒メーカー 中国はよそから買えばいいのが、危機感を持っている。本当に日本以上に厳しい。農業の跡継ぎがいないと。誰も農業をやりたくないので。また、機械も開発されているがアジアで連携して、東アジアの持続可能な農業を世界の智恵でアジアでもっと結集して進んでいけばいいと。
消費者 今日、ここに来るまでにグリーン・ニューディールのパクさんの話を聞いてきた。また、福岡で緑の党の長谷川さんがグリーン・ディールの話をしていて、有機農業を進めるには学校給食がいいと。同じことをいっていました。そして、うちの田舎もそれで成功したところなんですよ。山形県の長井市で。20年も前ですがレインボープランで生ゴミを回収して肥料にそれを換えると。そして、それを給食に出すと。堆肥センターには学校が必ず見にいくと。そうすると輸入されたグレープ・フルーツとかレモンは分解しないので避けないといけないと、絶対に食べなくなったと。こうした子どもの時の教育は大きなと思いました。なので、すごく大事だと思いました。そういう教育をしてもらわないと世の中が変わらないなと思ったので、文部省と協力して財務省からお金をとってきてください。
長谷川満 農業委員をやっていて耕作放棄地、鳥獣害、高齢化で大変だと。最近、農水省が農地を林業化することに補助金を出すと。農業委員としては先人が山を畑にしたところを人口減でやむを得ないかなと思うのだが、農水省も変わったのかと。農地であると太陽光発電に転用するのが大変なのだが、山に戻しておくと転用が楽なので、とある人は勘ぐると。それもあるのかなと。林業も農水省なので山にするのもありなのかもしれないが、半分山になっているところもあるのだけれども、人・農地プランで是非、営農してもらいたいと。畑を山にするのに農水省が補助金を出すのはどうかなと。
青山総括審議官 その補助金の内容がわからないが、太陽光発電は民主党政権時代から、千葉のみんなのプロジェクトで農地上でソーラーシェアリングしているのだが、フィット価格でキロワット30円で電気が買われると採算が合うのだが、いま10円になっているので、パネル設置が12〜13円で採算が合わないのでこれからは推進できないと。また、柱を立てていると限られたところでしか農業ができないと。また、32円の買取価格では、太陽光発電が稼ぎすぎるので下で有機でやるといってもバカバカしくて。つまり、これは、農作業をさせないようにする単価だったと思っている。今、営農型太陽光をやりたいというところがでてきたら、下もちゃんと耕作してくださいねと我々は言っていますがね。匝瑳市はまだ真面目にやっている方だと認識している。
消費者 私は自然農の側にいるのだがスマート農業を取り組めればいいのかなと。来年から渡辺さんが都庁を止めて就農すると楽しみだなと。
小松光一 明治大を卒業して都庁に努めているのだが、それを止めて30台半ば。
消費者 学校給食でスマート農業でラジコンで子どもがやるとそこに子どもが見学するといいなと思った。
青山総括審議官 ありがとうございます。スマート実証事業はこれまで全国202箇所で行われているが、そのうち何箇所かでは、農業高校の生徒さんに必ず見せてねと言っている。まだ点の動きでしかないので。
消費者 書かれたことが実現されるといいと思うけれども、大規模ですよね。堆肥センターとかも効率はいいと思うのだが、小さいところで頑張っている有機農業は衰退なのかと。そうしたところが守っているタネとかが地域であったものが長い年月で開発してきたものを科学に置き換えてしまうのかというところが。また、草刈りもAIでなくてヤギを放せばいいと。その地域地域でやればいいので、そうではないフォローもきちんとやっていただきたい。昔からのタネを守ることもやっていただかないと。これまで切り捨てる方向でいっているので。また、小麦もウクライナの関係で値上がりするので買わなくなるので、米を使って研究をするはいいかなと。米粉パンも昔はひどかったがレベルがあがってきているので、米粉の麺類もいいものができているので米が売れるように補助とか研究費。技術開発がうまくかかわっていきたいと。日本全体でかかわらないと前に進まないので派閥とかで止めないでほしい。
藤田和芳 官僚の世界というよりも政治家の問題だ
消費者 先程学んできたことがいらないといわれたら反抗する人もいると言われたが、是非やってほしい。青山さんのような人が、そういう人たちのお顎をなぜて。
消費者 4年前にスマート農業の話を聞いて、そのときの感動が2025年前にスマート農業を完成させると。今日は、さらにそれが進んでいて。日本の国はありがたいなと安心したところです。
青山総括審議官 がんばります。
編集後記
なお、余談となるが、かなり過激な意見であり、対立を煽りかねないことを念頭に置きつつ、この対談への情報屋の個人的な見解を申し上げておきたい。実は、いま、農産物価格が下落する中、ソーラーシェアリングとセットで地方を再生しようとする運動が盛んに置きている。拙ブログのこのサイトをご覧いただければおわかりいただけるが、 日本の有機農業推進のキーマンとして若者に圧倒的な人気と支持を得ている徳江倫明氏は「「みんな電力」を若手が作って四苦八苦しているというのでそれを私が手伝った。そのこともあって、かなりの事業体へと育ってきている。いろんな農家が発電と農業を組み合わせた経済は十分に可能だと思っている。それをみなさんに伝えたくてこれを企画した」と主張されている。
これに対して、行政マンとして青山統括審議官が「柱を立てていると限られたところでしか農業ができないと。32円の買取価格では、太陽光発電が稼ぎすぎるので下で有機でやるといってもバカバカしくて。つまり、これは、農作業をさせないようにする単価だったと思っている」とまで発言されたことは大変なことだと思っている。もちろん、これは農業振興に従事してきた人間としてのエールの意味も込めてである。
この場では発言されなかったが、青山統括審議官は、食と健康との関連性についても造詣が深く、個人的にも食を変えたことで花粉症の症状が軽減したことを口にされていた。ポストという自分がおかれた「立場」と自分の信念とが乖離した場合には、齟齬が生じないように前者を重視せざるをえないのが、官僚や役人の限界でもあるのだが、こうした中で、仕事と自分の見解とを一致させようと苦闘される青山統括審議官には畏敬の念を抱かざるを得なかった。







売電収入は毎月の額はわずかにしかならない(多くても10万円程度の小遣い)。なのでソーラーシェアリングは電気で設けるという位置づけよりは、農業セクターでの脱炭素(脱石油石炭)を推進していく一つのツールであり、その意義(俺らが環境負荷軽減に寄与しているんだぜ)を前面に打ち出して導入する覚悟性が問われているものだ、と。
32円というのはちょっと少し前の買取価格ですね。
この時期に契約しているところが山林を切り崩して乱開発していることやソーラーシェアリングも、ある程度の離脱組が一定層あるらしいとも。これらはもともと農業で、ではなく荒地をちょっと耕作地っぽくしてその後はほったらかしということかなと。
なのでしっかりと営農する意思と覚悟と発電がセットであることが重要だとのことでした。