①島根県の有機農業推進政策について
島根県農林水産部産地支援課 有機グループ 宮崎弘文
有機農業の担当をしている。相川先生から紹介があったように県内の有機農業、環境保全型農業を支える政策を過去20年取り組んできた。現在の政策を中心に説明したい。
まず、2012年に農林大学校に有機農業専攻を全国に先駆けて設置し、また、各普及センターに一人ずつ有機担当も配置した。2020年には県の基本計画で重点推進項目に有機農業を位置づけた。
JAS認証を取得した農家にアンケート調査をしたことから見えて来た島根県の有機農業の特徴を述べると、4分の1が米、同じく4分の1が野菜、他に桑やエゴマ等の健康食品の材料が作られている。そして、野菜では葉物野菜の施設栽培が多い。
R2年では生産工程管理者が57事業者、R 2年の認証農地は176haで、耕地面積に占める割合は0.5%で全国7位である。そして、県内で点在している。
また、認証面積の推移はグラフのとおり。オレンジ色が環境直接支払いの面積である。H30年までは順調に伸びてきたがR1からは需要の変動を受けて面積が下がっている。
今後の課題としては、生産者が点在していて個々に販売しているため、販路の拡大が進まない。そして、需要に対応したロットが確保できない。また、有機農業は作業の労力負担がかかることから面積が拡大しないと。さらに、物流コストの高騰から販売環境が悪化しており、消費地に近く有利な近郊産地との競争力が低下している。
最後に認証手続きや経費等の負担等によって、有機表示ができるJAS認証が進んでいない。
そこで、R2の計画では、ひとづくり、ものづくり、農村・地域づくりの中で位置づけている。今後の目指す姿としてR6には有機JAS認証を0.4%から1%に広げ、新規就農者を30人以上、JAS認証取得者を160名以上に増やすこととしている。
これまでの有機農業の推進の流れを受けて経営の柱となることに力を入れている。基本計画における3ポイントは以下のとおり。
1実需者のニーズに応えられる産地づくり
収量向上、機械化体系導入
2担い手の確保・育成
3有機JAS認証の取得拡大
島根有機農業協会と連携して指導を強化したい。
また、県内の中核産地で産地化がされているところに対してはリースハウス団地の支援をしてきた。コメでは乾燥調製施設や除草機械の補助。農業試験場では省力化・収量向上への実証試験を行っている。そして、ニーズに向けて首都圏の小売り事業者と産地づくりである。
また、物流についてはこれまで行政が手を出しにくかったが、新たな物流構築をR2から実施し、首都圏への共同物流を行っている。
担い手については少しずつ増えてきている。2割が新規就農者である。県立の農業大学校での農家研修も行っている。
最後に有機JASの認証拡大に向けた取り組みは県立農林大学校を研修圃場として現地研修会を行っている。そして、有機JAS取得にかかる経費を支援している。
今後は、産地全体として取り組み、共同作業等地域全体で有機農業を進めていくための体制づくり。そして、スマート農業等の技術もでてきているので経営安定に取り組む。そして、新たな需要にも対応する。みどり戦略を受けて、地域外から参入する企業とも連携したい。実際にそうした話ももらっている。
②幸せを運ぶコウノトリと共生するまちづくり
雲南市政策企画部地域振興課 板持周治統括主幹
実際にコウノトリを目撃をしているのとしないのでは意識がかなり違う。例えば、目撃者では80%以上がまちづくり推進に賛同するが、していないと80%を切る。まちづくりへの期待度も目撃があった人では90%近いが、ないと70%程度である。
そこで、H30 年にビジョンをつくり、R1に実現するためのアクションプランを策定した。全体として、農業と学習、生物多様性の保全。これを受けて産業分野での活用とイメージ活用で、それぞれが関連している。例えば、学習・情報発信は田圃での生き物探しや定点観測、パネル展示をしている。西小学校では全校生徒で非常に秀逸なプログラムを実施している。
なお、生物多様性を保全するためには非常にたくさんの餌資源が必要である。では、冬の餌資源が少なるときにどうするか。そこで、耕作困難な水田はビオトープ化している。
そして、生き物を育む農業がプログラムの中心である。水路から水がなくなるとコウノトリの餌がないので水路については常時水をためている。来年度からモデル集落で徐々に拡大していく。
構想としては、面的拡大パッケージ。無関心層に対して賛同者を増やす。心身の健康が大事なので心理的にも効果があり、農家に対しては、直接所得補償と割高で消費者に買っていただく。そして、学校給食で支えていく。
いま、コウノトリを活かしたものをふるさと納税の返礼品としている。市内にはコウノトリをデザインとしたお菓子を開発した人もいる。また、JRと連携してウォーキングツアーもしている。そして、市の出生届にもコウノトリをデザインした。市民・専門家とのネットワークを構築していく。隣の出雲市ではトキにも取り組んでいるので一緒に推進をはかっている。ふるさと納税、県、出雲市とともに広域的に連携していく。
生き物が大事なので、幸雲なんですを「幸・雲南です」をフレーズにしている。
③自治体の総合的な政策・住民活動としての有機農業~暮らしの自給に取り組む
元吉賀町役場・きのきむら企業組合 福原圧史
さて、山村の課題だが、60年前に遡ると農業基本法によって山村農業が大きく変貌した。換金作物が求められ、しいたけ、わさび、栗を振興した。規模拡大はできないが機械化は進んだ。この機械化による「機械化貧乏」で現金収入、農外収入を求めて出稼ぎが増えた。農村が変わっていった。
1970年の減反政策で山間地では作る作物がなくなる。そして、競争ができない。そこで、高度成長以降のあり方として「質素革命」を求めた。1975年から生活改善運動と連携して、自給生産に戻そうとしてきた。具体的には、ダイズによる味噌の自給と余剰農産物を学校給食に提供してきた。
有機農業の取り組みは、有吉佐和子の複合汚染で連載された環境破壊や健康破壊から着目した。ポイントは、機械化貧乏でも農業の所得が増えないので過剰投資にならないようにし、無理な専業を目指さないことである。そして、消費者との提携や学校給食への提供を目指した。つまり、兼業の豊かさを追及した方が良い。
そして、秋田県仁賀保町の佐藤喜作さんの取り組みを参考とし、九州の大分県の一村一品運動の大山町や下郷農協の事例を参考とした。こうしたことが、消費者に認められ1980年に岩口市と連携した。そして、1981年に有機農業研究会が発足し、徳山市の消費者グループとも提携する。一気に、30名で日本有機農業研究会に団体加入したしたことから、関心を持たれ、1981年2月には一楽輝雄氏が来村した。
1991年には総合振興計画を策定したが、島根大学にお願いして1年間、調査をした。ここで、出された方向性は「環境や健康を守る運動が21世紀のテーマになる」というものであった。そして、健康と有機農業の里づくり宣言がされた。
三つの基本課題は、人口対策、所得対策、生活環境対策である。多様な暮らしを実現し、山村ならではの豊かさ。これを基本目標とした。
具体的には道の駅を1997年に開設。独自表示をしている。また、棚田を守るためのトラスト制度をやっている。アンテナショップで広島県の廿日市市に農産物を出している。特産品だけだとどうにもならなかったが、自給をしていたため多様な農産物が出荷できている。
さて、2005年10月に吉賀町となったが、思うように有機農業は進んではいない。そして、2014年7月には企業組合を設立して、そこで、物流をしている。というのは、農協が2015年からひとつになったので小さい村は捨てられると予想したからである。いうので企業組合を設立した。予想どおりJAの支社も営農指導もなくなった。現在、企業組合では43名の生産者を中心にやっている。
今後の課題は、暮らしの農業をベースに産業農業を推進することが重要であると。自給と協同の有機農業推進。最も重要なことは自給と共同である。
いま、新規就農やIターンはほとんどが有機農業志向である。U・Iターン者の多様な暮らしを評価しながら、農産加工、農家レストラン、カフェ、農家民宿などにも挑戦している。みどりの食料システム戦略は、市域内での活用できる。なつかしい未来。高齢者が元気に暮らせるまちづくりを目指している。
④中山間地域の振興は集落ぐるみの有機農業にあり
(有)ほたるの里三谷・元美都町長寺戸和憲
島根大学の乗本吉郎先生が「里山が一番生活しやすい」と言っている。山があり、農地があり、有畜複合がいい。そこで、水稲、和牛繁殖、山林(ゆずと生シイタケ)を選択した。
1993年に美都町有機農業研究会が発足した。そして、農業委員会を中心に、アイガモ水稲が一番いいと。1994年に美都町として環境保全型農業推進事業に取り組む。集落15haのうち3分の1の5haが有機となっている。
一番問題は、雑草と販路である。例えば、アイガモによる雑草対策を確立したがアイガモは手間がかかるし費用もかなりかかる。機械除草が必要であるため、2018年に島根県の機械除草の展示圃に応募した。効果を確認したため除草機を購入した。そのおかげで面積が増えて来た。
また、当初は有機栽培で作っても売れない。県内の米屋や個人的な消費者に売っても売れない。広島県内でも思うように売れない。そこで、近隣の生産者も一緒になって販売をしている。ロットが少ないため、集めて安定的に有機JAS米を供給している。美都有機稲作研究会として、グループとして柿木村有機米研究会で生協に一緒に出すことで安心して作られている。
水稲は、みのる産業の機械を用いて、植えてからすぐに除草をする。それから2回目を1週間後にする。コナギが浮く。50日ではオモダカ、クログアイがでてくる。
イノシシ被害もあるが収量は490kg程度だがかなりよかった。というのは、村は山間地で日照時間がないのでまあいい方である。美都町の平均が450kgだからである。今後は、JAS認証圃場が4割なのでこれを7割にする。GAP実践のレベルアップ。そして、美味しまね認証、上位基準。
具体的に有機農業を広げるには、学校給食から有機食材に変えていく。そして、食農教育の必要性。有機農産物の良さを理解してもらうこと。行政、教育委員会、JA等が協力して具体的に進める。全自治体にみどり戦略のモデル地域を作る。販売、とりわけ、米はJAが司ると。そして、地域で有機資材や堆肥が手軽に入ることが必要。食物残渣や家畜糞を使った肥料製造施設を各自治体単位で持つ。また、慣行農業の差別にならない配慮も必要である。「有機でなければ駄目だ」と一方的にいうと慣行農業の方が肩身が狭い想いをするからである。
コメント〜島根県の有機農業政策と実践の歴史からの学び
島根大学井上憲一教授
農業経営学で経営政策を研究している。行政の政策に加えて主体としてものもあり、両輪の政策である。国や地方自治体の農政は冒頭での谷口吉光学会長からの指摘があったように縦割りが色濃かったが、今般のみどり政策は両輪に軸足を置いていると。けれども、島根県はすでに産業農業と暮らし農業を両輪でやってきたと。
農業・農村経営主体の自主活動による自律的な経営政策は重要なメッセージである。100年と継承されているのは特筆すべきである。それは「村がら」である。
論点① 行政は多角的な支援の継続と産業と暮らしの両輪
住民は内発的な自律的な実践している。
論点② 技の継承と世代間のキャッチアップ
多様なネットワークのハブとしての多様な役割。1970年代にあったイナカ再建運動の理念に通底する。
論点③ 国の有機農業政策の受け止め
二つの車輪の両輪という言葉があった。これが大事である。
農村振興において果たす有機農業の役割は
第一点の論点は、県や自治体でどのような取り組みがされているのかについては、かなり報告がなされた。
論点2は有機農業を広げていくために、有機農業にはどのような多面的な効用をもっているのか。そして、それぞれが考える地域で有機農業が地域の課題を解決するうえでどのように役立つのだろうかである。まず、県としては農業振興があるのだろうが農村振興において有機農業にどのような意義があるとお考えなのだろうか。
宮崎弘文 島根県では野菜にしても米にしても大産地とは条件が違い大ロットでの勝負が厳しい。そこで、有機農業のブランディングは販売面でも柱になる。
相川陽一教授 雲南市での横の広がりはどうなのだろうか。
宮崎弘文 行政内部でいうと多面的で、教育委員会もそうだし、鳥獣関係も関係する。山も関係する。市民も関係するので協議会を作っている。
暮らしを軸に目指すところを共有し横でつながっていく
相川陽一教授 政策企画課で横でつながっていくときのまとめ役で重視しているポイントは何だろうか。
板持周治 目指すところを共有すること。雲南市では人と自然との共生である。生き物が暮らしやすければ人も暮らしやすい。そこで有機農業があると。
相川陽一教授 非常に明確にご回答いただきました。日常業務で違うことをやっている部署が同じ目標を持つと。
板持周治 目標に向かう過程を共有することが大事かと。
相川陽一教授 領域横断についての話をうかがえてありがたい。さて、第三報告は、有機農業政策の総合性であったが、どのような総合性があるのだろうか。
福原圧史 有機農業は有機的なつながりなので、どう暮らしていくかがテーマだ。子どもも老人も人も自然も。
相川陽一教授 役場の内外での実践で。有機農業での切り口はどのように横串を刺していくのだろうか。
福原庄史 心も体も健康ということで保健福祉、教育委員会、高齢者とのつながりが大事で総合的に活動していくとイベントにいっても一緒に行うイベントとなる。いま、機械化して分業化しているので農村の方が子どもの出番がない。都市から来る人が一緒に田植えをして地元の子どもの方が危ないから出番がないと。
相川陽一教授 次に集落のつながりを保っていくことをリーダーが考えていると。地域の中で無理なく広がるには中では何が重要だったのか。
寺戸和憲 集落15haの中で、集落営農として受け持つ面積が徐々に増えているが、皆さんの協力がないと成り立っていかない。有機でやっても遜色なく生産できる実績がわかると個人でやっている農家も農薬をやらんでもできることがわかって来る。自分の農業も農薬を使わない人がでてきたと。
相川陽一教授 この50年の長さ。福原さんも歴史を言われたが、時間がかかることは悪いことではないのではないかと。それを井上さんのコメントからも感じる。時間をかけて広がっていく。このことをどうお考えになるか。
寺戸和憲 当初は農薬や化学肥料が中心でわかっていなかった。深水栽培をしたりイトミミズが可能な販売をしたりいろんなことを組み合わせてやってきている。そういう技術が確立されてきているから今からやるのはそう難しくはない。これまでの50年の歴史は失敗もあてそれは肥料になっている。
相川陽一教授 益田市へ広げるために何をされているのか。
寺戸和憲 意見書を出している。中山間地を守るうえで有効な手段だと。有機稲作研究会を作って市内の保育園にも供給している。いきなり有機でなくても有機肥料と除草剤1回だけのエコ栽培ならばすぐにでも取り組めるのではないか。
みどりの食料戦略やグリーン購入法への対応は
相川陽一教授 有機農業にどのような総合性の可能性をもっているのかを様々な立場がつながるために何が必要なのか実践経験に基づいてお話をいただいた。三つ目がみどり戦略にどのように向き合おうとしているのかである。島根県では宮崎さんの資料に入ってたし、板持さんは給食が前面にでている。寺尾さんも給食がでている。そのうえで、これまでとむすびつけていく可能性は。
板持周治 可能性はあるのだろうが、まだまだかなと。
では、チャットでの質問を順番にお伝えしてご回答をいただこうかなと。まず、長谷川浩さんから、グリーン購入法で島根県はどのように進める方向か。補填するつもりか。
宮崎弘文 支援助成については十分に把握していない。私の部署では食品コーディネーターがいてA市ではあるがB市ではない。これを調整する事例はある。
相川陽一教授 ご展望をお示しいただいた。価格差については自治体の課題でもある。福原さんはどうでしょうか。
福原圧史 野菜については本当に高いのか安いのか。旬の食材を旬の時期に出すので年間を通じると市場から仕入れるよりも安いことがある。白菜は暴落したら1000円になるのが、決して高くはない。全国流通していれば高いが。検証しないといけないが柿の木村は高くない。コメは再生産価格が必要で、いま1万円では無理である。2万4000~5000円。差額は行政負担でやっている。標準米でないと補助金の対象にならない。ムラのコシヒカリを出すと保護者負担が増えるのでムラでやっている。やってみて検証しないとわからない。
流域で山林や畜産も考えるべき
相川陽一教授 地産地消と村の単独事業での補填。そろそろ時間が来ているが、吉田太郎さんからの面的の団地化、そして、畜産や山林との連携面が弱いような気がするとの質問。難しい質問だと思うが山が豊かな地域では耕畜連携でどのようにしているのか。
宮崎弘文 山林はないが畜産は堆肥については認証機関が認めた堆肥なので県内の希望する事業者に調査をかけている。それを農業者に提供したいと思っている。
相川陽一教授 野口さんから、コウノトリで山を活かす視点があるのだろうか。魅力や資源はあるのであろうか。
板持周治 農業だけで捉えない方がいい。会議でも出て来るのだが水としての山も重要であるとの意見が農家から出て来る。生産だけでなく流通消費の視点も欠かせない。どこからの面だけでなく広い視野で多面的アプローチが欠かせないと思う。
相川陽一教授 このフォーラムの狙いを超えるようなご回答をいただいた。農業は山によって、そして川下での消費が大事と。バランスがとれたご見解である。
福原圧史 山から畜産まで地域で考えるべきだと。いま、山の産物の価値がわからなくなっている。どれだが食べられどれが食べられないか。昔の食を継承する必要がある。鶏も食卓に並んでいた。余剰を卵にかえることが非常に重要で、その余剰を給食に出している。牛肉も転作も資料作物にしているわけで、自分たちの飼料作物で肥育することが出している。大型畜産よりも小農家族経営。それが重要で、すべての食が循環して命の入り口が大事である。海までで魚介類に返って来ることがない。地域の食育が進んでくるのだろうかと。学校給食をふくめてやった方がいい。
相川陽一教授 寺戸さんはいまも有畜複合を続けられている。そういう経営をされているので、畜産をする時に山との連携を考えると魅力的だと思うのだが。
寺戸和憲 私の集落でも山を利用して牛を飼っている経営者もいる。私自身も5頭だが裏山で活用している。山から水田地帯できれいな水がくるのでいい面がある。
専修大学靏理恵子教授 私は社会学で民俗学が専門。今日の話で大事だなと思ったのは歴史やどの時間のスパンで考えるか。農業は100年の体系である。そして、島根県には行政の歴史もある。もうひとつ思ったのは相川さんの質問にもあったが江戸時代の村、そして、明治以降の小学校のエリアが見直されていると。そうした中で板持さんにもあったがどこかの面だけから見るのではなく様々に見ていくことが大事かなと。人間らしい暮らしをするためにはどう範囲が望ましいのか。改めて題材だけでなく問われている時代に生きていると思っている。
板持周治 豊岡市とは国際会議でつながっている。最後に一言申し上げあげると学術調査をしたいということであると積極的に受け入れ。地元との調整があればご連絡をいただければと思う。研究のフィールドとしての地元での研究者の皆さま。ご希望があれば受け入れたい。
有機学校給食は葉物がメイン
相川陽一教授 宮崎さんに質問で島根県での給食への提供の現状は
宮崎弘文 細かくデータはないが浜田市、吉賀、安来市では取り組みがされている。米は吉賀町のみが100%やっていると聞いている。後は把握できていない。
相川陽一教授 内容は
宮崎弘文 葉物野菜の産地なのでホウレンソウ、コマツナ、春菊が回数的には多い。熊本県からの質問で認証面積がなぜ減ったのかとのことだが、需要が減ったこともあるが、正確に言うと島根県から仕入れていた産地が県内から県外に切り替えた。生産そのものは続けているが認証を取りやめたこともある。
技術的な壁は高齢者や篤農家に学ぶ
新潟食料農業大学伊藤豊彰教授 有機農業に転換したときに水稲では除草が大変だろうが技術的な壁に対してどのように相談したのか。公的研究機関の支援があるのか。
相川陽一教授 福原さん、技術の壁は。
福原圧史 40数年だが50年代には20代ではじめたので古老、高齢者の技術をおしえていただいた。それ以降は、行政で村として取り組んでからは有機農業塾を毎年やっている。月に2回、春から秋までやっている。ただ有機農業で虫をつかないものを作るのではない。虫だらけでは駄目だが、虫が食べたものが本来の食べ物。商品ではなく食べ物として扱うことが大事で、まびきなから無選別の規格がなし。そうした評価をすると農家の手取りも増える。日有研で広島県で幹事をしている福田さんにお願いしている。それ以前はMOAを講師としてお願いしている。参考にするだけ。自分でやることが大事だ。
相川陽一教授 有機のイネ作りで技術的な壁にぶつかった時にどなたに助言を求めたのだろうか。
寺戸和憲 日有研や稲葉先生にも来てもらった。県の農技センターも研究しているので勉強させてもらった。
相川陽一教授 島根県は除草剤を使わない稲づくりを県が熱心に取り組んでいる。県の技術開発で恩恵を受けていることもあるのだろうか。
寺戸和憲 もちろんありますね。大豆も小麦も県の認証圃にしてもらっている。県も積極的にやっているので助かっている。
相川陽一教授 吉賀町は
福原圧史 関心をもっている(県)職員は仕事というよりは自分で関心をもって夜も昼もなく応援してもらったのでそれが現在につながっている。
伊藤教授 公的機関の研究が遅れて来たのでどういうサポートかなと思っていたが島根のように研究機関が好意的であったのは稀なような気がする。
相川陽一教授 島根有機農業協会の松本理事長にご意見を。
松本公一 協会の松本です。一方的な情報発信だと思うがこういう形でつながったことが嬉しいと思う。数少ないコロナの恩恵かなと。普及員からスタートして47年前で。機械力を使って化学農薬、化学肥料を使う農法を大学でも学んで普及で現場で伝えていったわけだが、有機農業に接して疑問をもちながらやめるまえにやっと施策体系を作ることができた。SDGsがあるがそのベースにあるのは生物環境。そこで大事なのは地球環境の保全と生物多様性の確保。これがクリアしないと他がクリアしない。生活者を持たないといけない。子や孫がやるためにはクリアしないといけない。その中で有機農業が非常に大事なテーマで貢献することだと思っている。いま、推進普及する。多くのことをキーワード。それが理解されないと理解されない。経済行為につながる。生活者には未来永劫安心することにつながっている。有機農業は貢献することですよと思っている。発展していけばいいと思う。大事な共通認識を作っていくことが重要だと思っている。
現場の篤農家に学ぶことが重要
島根県三原 農業経営の研究に携わっている。有機農業の研究もしているのだが、個人的には暮らしはわかるのが県としては経営を重視せざるをえず販売が重要になる。どういったツールがあるのか。
相川陽一教授 非常に重要な論点だと思う。
福原庄史 技術センターということだが、まず足元から。学校でいいのか保育園でいいのか。少しずつ広げていく。出雲市内にはマルシェをやっていく。県外から広がっていく。問合せがくると。一気に市場を目指すのではない。地道なものがいい。それぞれの町で広島には広島がある。
寺田和憲 地産地消が理想だと思う。はじめは地元だけでは売れない。今の状況ではいろんなところから問い合わせがある。グリーンコープもある。有機JASが足りない。他の業者からも問合せがある。岐阜県。ゆずも有機で自然栽培でネットでのモノがある。
福原圧史 農業塾、有機農業学会よりは現場で日々やっている人に直接聞く。自然農法研究センター、MOAも思想的はともかく技術的には交流を持っている。現場の技術はそういう人がストレートでわかりやすい。いつでもだれでもいろんな人が入ってもらっているので。関わると最近は山下一穂さんとか。実践しながら指導されるので。小さな村でも秋のタマネギは北海道のタマネギの情報をもらっている。九州もつながっている。
石黒宗秀教授 もうひとつは幸福度が言われるが、経済的に豊かになったが幸福度が低いと。幸福度が高いのはブータンですかネパールですか。有機農業は幸福度が高いと思うのだろうが。そういう評価があるのだろうか。自治体でやっているのか。
相川陽一教授 重要ですね。学会関係者に向けられた質問かなと拝読しており社会学では幸福度は地域の意識調査でとても大事なので、熊本大学の山本勉さんがやっている調査では過疎と大都市圏では過疎地の方の方が総体的に満足度が高い。農村社会学や都市農村ではあるのだが有機農業があるのではないかと。
寺田和憲 それができれば面白いがそういう観点でやっていない。
編集後記
本稿は2022年3月20日(日) 13:00〜16:00にかけて、日本有機農業学会が実施したオンラインでの公開フォーラム「自治体の有機農業政策と地域づくり」での講演内容をまとめたものである。
【画像】
相川陽一教授の画像はこのサイトより
板持周治統括主幹の画像はこのサイトより
福原圧史氏の画像はこのサイトより
寺戸和憲氏の画像はこのサイトより
石黒宗秀教授の画像はこのサイトより
大江正章氏の画像はこのサイトより






