開会挨拶
山田明美 毎年100人は対面で集まる講演会だが、コロナもある中で「オンラインでも参加したい」という人がいたため、今年はオンラインで開催することとした。講師も松本からリモートである。会長である伊澤から挨拶をする。
山田明美 いま、伊澤の方から「これからは有機農業、自然農法にしていかなければならない」と申したが、まさに25年以上も今日の講師である榊原さんは携わってきた。途中は5年ほど資材メーカーに出向されたりしてきた。現在は松本にある自然農法国際研究開発センターで仕事をされている。
自然農法は何もしないのではなく自然の摂理を観察し学ぶ農法
いま皆さんにお見せしているのが育種の圃場である。麦だが緑肥と一緒に植えている。自然農法という雑草の問題があるが、草と一緒に育つ品種を選ぼうとしている。
今日は、まず、自然農法とはなにか。そして、自家採種を含めて、野菜の一生から栽培を考えると。そして、栽培の方法は化学肥料や農薬を使うそれとさほど変わりはないが、栽培の組み合わせと有機物の施し方が違う。それについてお話をしたい。
まず、自然農法センターの紹介だが、昭和10年に岡田茂吉が提唱した技術開発と普及を目的に設立され、1985年に農水省として認可され、2012年には内閣府から公益財団法人として認可されている。研究開発と普及、そして、認証業務もやっている。いまはタネと認証を両輪で活動している。
長野県は寒冷地展示検証だが、知多草木農場は温暖地の展示検証、そして、熱海事務所は有機JAS認証をしている。そして、自然方法センターが社会に貢献したいことは、最近はSDGsと言われているが、農業を基盤にした持続可能な地域社会づくりである。そのためには多くの人が有機栽培を実践してもらいたい。そのための勉強会や支援をしている。さらに、そこに到達したい人のために有機栽培に適したタネの開発・販売もしている。
では、これをもっと詳しく観察してみると水分がなくなっていく。その採種果が腐ることで、赤ちゃんが芽吹くようになっていると言える。キュウリのお母さんは採種果の果肉が堆肥になって赤ちゃんの栄養になるようになっていると。
つまり、自然は何もしないのではなく、その自然の仕組みをうまく自分たちの畑に持ってくることがポイントである。それには、キュウリがどのように芽吹くかを観察することが重要である。そして、キュウリが芽吹くまでに堆肥化するのにどれだけの時間が必要なのかを知ることがポイントになるのではないか。
このように自然条件にあった条件を作ってやることが自然農法のポイントになる。自然農法の畑は草が生えている。そこに完熟した堆肥を入れて40~3カ月おいて播種をして、水分を保持させる。そうしたタネを再選抜をして皆さんに提供していると。
有機農業=ただ有機物を入れると考えると痛い目に会う
そこで、有機物の活用のポイントとして、温度、酸素、水分がないと分解しないと。また、そして、時間や根の施す場所を考えれば、害もなくすくすく育つことになる。
そこで、堆肥の入れ方だが、堆肥を毎年入れていくと窒素量があがってくるが、例えば、長野県だとだいたい堆肥2t分の養分が出て来るので、それに前の年の分解分が増えて蓄積をされていく。そして、10年経つ入れた分と分解する量がつりあうようになる。
そこで、最初は4tくらいを入れて分解を進めていくと、地力が出てきたところで分解する量を補うと年2tでも安定していくと。よく虫がでるとか雑草が大変等と言われるが、うまく育つようになれば入れる量を減らせば安定する。
有機物が分解するまでの作付の時期を取ること
生きるためにかなり伸びる根たち
栽培の組み合わせ
例えば、アブラナ科の花が咲く頃にジャガイモを植え付け、サクラの開花する頃にコマツナ、トマト。を播種する。そして、フジの花が咲くことには15℃になっているので、スイートコーンやインゲンがいい。そして、小麦が出穂するときには、フジが満開で16℃となっているので、キュウリやトマトの夏野菜の植え付け時期になると。
そして、最終的に土ができれば連作も可能だが、それが、できるまでは自分で植え付けプランを作り連作を避けた方がいい。
混作にはトマトが太くなるとかメリットがある。一例だが、株元にレタスを一緒に植える。あるいは、サンチュとブロッコリーを一緒に植える。すると有効に空間の利用ができる。
次にコンスタント型は最初から肥料を入れてしまうと難しいので、少しずつ追肥をするといい。夏場は40日前に、春先は90日前に、できれば前年の秋にまで。そして、ビニールや敷草で覆って地温と水分を安定させる。
スイートコーンと白菜を栽培する方法
イネ科は、排水性や保水性がいい。そして、残渣が土づくりに役立つのだが、欠点は面積を取るがそのわりに収量があがらないことである。そこで、良いのがトウモロコシ。スイートコーンはイネ科である。
この松本は黒ぼく土であるため無施肥で、後で追肥するのだが、雄穂と離す。
こうすると、収量もいい。トウモロコシは分解させたいので青い段階で干さないでそのまま表層5cmで漉き込む。チョッパーで砕いて入れる。もちろん、家庭菜園ではチョッパーがないのでその場合は切ればいい。そして、分解したものを深目にして、大きめの白菜の苗を植える。収穫残渣は白菜の根を傷めずにどんどんと育つ。
ということで、次作に使えるとして、気軽にやればいいのではない。また、時間がなければ無理に耕さないと。そして、有機物は蓄積していくので肥えてきたら量を減らしてメタボにならないようにする。養分が効きすぎて虫だらけにならないように混植をすると。
質疑応答と議論
山田明美 松本に比べると佐久は寒いのですが参考になりました。イメージがしやすい話でした。では会場からの質問を。
池田 農場長をしている。うちの農場では40年前から(生ゴミ)堆肥センターからの堆肥をかなり入れている。いまでも10aあたり2t入れている。そして、土壌分析をしてみるとリン酸が過剰でメタボになってきている。リン酸を抜きたいのだがどうしたらいいのだろうか。
榊原健太郎 とくに過剰なのはリン酸ということですね。我々はマメ科のマメを収穫物として出す。それと実のなる物を作るのがいいのではないか。また、1、2年は堆肥を入れずに休憩をしてもいいのではないか。全体の数値が落ち着くまでは減らすとよい。夏にマメ科と果菜類を多めに作るのがいいのではないか。そして、栽培しながら肥料分を抜いていったらいいのではないか。
有坂真智子 自分の畑の評価ができない。5年、ほったらかしにしておいた庭兼畑で近所の人が除草剤を撒いている。そこを低農薬で野菜や花を育てていたのだが、何が畑にあった品種かがわからない。
榊原健太郎 実際にやってみてよくできたものとかがありますか。
有坂真智子 トマトが美味しくできるはずなのに駄目でナスもだめ。白菜はいいのができた。
榊原健太郎 はあはあ。秋野菜はよくできたと。重量野菜ができたとなると地力はある。で、ナス科は栽培方法がまずかったのかな。トマトの茎はどうでした。
有坂真智子 太い親指くらい。
榊原健太郎 だとすると、土は肥え土だと思います。制御のやり方ですね。ナスとトマトで植え付けが早かったのでは。
有坂真智子 遅いですね。
榊原健太郎 なるほど。いま聞いたのは、有機は慣行の近所の人よりも遅い方がいいので、早く植えて駄目だったのではないかと。だとすると暴れすぎたのかなと思いますね。
有坂真智子 トマトは斑点ができてナスは丈が短く低い。近所の人には株間をあけず混み過ぎたのがいけないと言われた。実はなりました。
榊原健太郎 周りは田圃ですか。
有坂真智子 畑です。
村上陽志 今年から菜園を始めたのだが、他のものもスイートコーンと同じく畑に戻していいのだろうか。
榊原健太郎 基本的に有機であればいいですが、明らかに病気で溶けている。キャベツでは黒いふんのようなものは畑の外で堆肥化した方がいいです。
堀田高昭 幼稚な質問だが、化学肥料をあまり使っていないが大きなナメクジが出て困っている。
榊原健太郎 何か入れていますか。
堀田高昭 生ごみを発酵させたものを使っている。自分で乾燥させたものだ。
榊原健太郎 ナメクジが多いのは湿度が多く日当たりが悪い。そして、米糠やぼかしを多投すると誘発することがある。ナメクジをトラップするには一番はビール缶を埋めてビールを入れておく。そこによって落ちる。発酵させているけれども土になっていないとそれを吸った植物もなんとなく臭いを持つのでナメクジが寄りやすい。そこで、お皿とかで発酵させている生ゴミを畑のそばで土に入れてさらに完全に土化する。ホームセンターで売っているコンポスターとかに入れて土と混ぜて土にして土の臭いになっている。培養土になってから畑に戻す。米糠も多用するとナメクジが大発生しているので、ぼかしを十分に土にされてから植らえるといい。
堀田高昭 そのナメクジが大型なんで。3cmはある。ナスは食うは。帰化したナメクジかと思っているのだが調べようがない。
榊原健太郎 山田さんを通じて調べさせてもらいたい。
山田明美 では、最後に農場長の池田からお礼を申し上げたい
池田 貴重なお話をありがとうございました。さきほど先生がアマガエルの話をされましたが、実はポプコーンがアワノメイガでやられるかと思ったらアマガエルで無事だったことがある。今年もビニールハウスで作っているトマト50本でアブラムシが大発生して水圧で飛ばしたが、ちょうど雨上がりにアマガエルが群がってアブラムシがいなくなった。カエルが育つ環境づくりが大事だと思いました。参考になりました。今後とも我々は無農薬、有機でやりたいので、ご指導、ご鞭撻をお願いします。
編集後記
【画像】
伊澤敏会長の画像はこのサイトより
榊原健太郎氏の画像はこのサイトより






