2019年05月24日

国連小農宣言・家族農業の10年院内集会

2019年5月24日

はじめに

司会 渡辺直子(国際ボランティアセンター) これは、単発のイベントではない。私たちは5年以上、モザンビークで日本のODAが行なっている「プロサバンナ事業」に対して、現地住民が反対していることを伝えてきた。そして、昨年の11月にブラジルから3名、モザンビークから13名の人たちを招聘する交流会を設けた。この問題も継続的に政策に落として行く必要がある。政策決定者と市民とがともに考えていく必要がある。さて、これは「民衆会議」と命名したのだが、そこに参加した小農の人たちがこうした動きを作ってきたことがわかってきた。実は、昨年の12月に国連総会で小農宣言採択された。

 こうした枠組みの中で、今年の2月に第1回のイベントを開催している。今日は、日本の小農が抱えている問題を外務省と農水省の方を交えて議論したい。さて、今日は、様々な国会議員の方の協力でできている。今日のこの場の会場をとってくれたのは石橋通宏議員である。今後とも続けていきたい。

 さて、今日は、ビア・カンペシーナとして、インドネシアで小農宣言に携わってきた人が来ている。韓国からもキムさんが来ている。最初の1時間でコメントをいただき、後半では議論をしたい。

農民のせいではなくグローバル化による農産物価格の低迷で韓国の農村は消滅

キム・ジョンヨル(韓国女性農民協会)

 韓国から来た。農民運動をしている。今日、みなさんとお会いできて光栄である。日本と韓国の農業とは共通するものが多くある。例えば、高齢化と過疎化である。ある国会議員が農村の女性の妊娠状況について調査したが、その結果は深刻で、今後、10〜30年以内に多くの農村が消滅することが判明した。農村が消滅することは自然や環境も消滅することを意味する。

 また、国の統計局も農村では収入が増えないことを問題視している。けれども、これは、農民が怠惰なためではない。農産物価格が安すぎることが問題なのである。これはひとえに農産物の多国籍化が原因である。

 韓国では食料自給率が20%台で残りは海外からの輸入に依存している。この自給率の低さは、都市生活者が自給農業に価値を置いていないことも関係している。

 また、韓国においては自然由来の農業が工業化し、農薬や化学薬品を用いる農業が主流になっている。このため、都市部でも農産物による病気が増えている。さらに、微粒子の環境汚染が問題になっていることから、市民の環境への意識も非常に高まっている。

 結論からして、こうした問題は一つの国の政府だけでは解決できず、世界的な問題として取り組む必要があると思っている。

 韓国の農民組織は2004年にビア・カンペシーナに参加したが、理由は二つある。2003年のWTOのカンクンでの会議において農民が自殺したこと。2004年に韓国政府が米の輸入を自由化したことである。以来、韓国の農民組織は自由貿易に対して戦っている。

 韓国では女性農民組合も存在している。1989年に設立されたが、これも二つの理由がある。女性農民は農業だけでなく、家事のために過重労働をしていること。そして、家父長制という社会制度の中で女性の権利が守られてこなかったことである。韓国の農民女性組織は、小農宣言の中の女性の権利の部分で大きく関係した。ビア・カンペシーナはジェンダーの平等について大切に考えているが、この宣言は、小農と政府とが対立するものではなく、小農が多国籍企業と話し合うための機会であると考えている。これを機会に農民の声を是非、政府の関係者も聞いていただき、政策に反映させていただきたいと思う。

家族農業が多国籍企業に侵害されている危機的状態

アグス・ルリ・アルディアンスア、インドネシア(インドネシア農民組合事務局長)

 インドネシアの農民組織の事務局長でビア・カンペシーナのメンバーである。今日は、小農宣言がどのようなプロセスで策定されたのか、お話ししたい。インドネシアでは1980〜90年代にかけて農地の収奪が起こり農民の権利が侵害された。これは多国籍企業がインドネシアに入って来たためであり、農民たちの活動が犯罪とみなされた。例えば、ダムが多く建設されこれに反対した農民が犯罪者として処罰された。

 また、緑の革命が進められたことで、農薬が多投され、在来種が消滅していった。2001年になって、農民の権利をどうすれば政策に反映できるのかと会議を開いた。種子、水、土壌、連帯組織化するための権利を検討した。2002年に東南アジアのビア・カンペシーナの地域会議において提言した。

 2008年に世界で食料価格が高騰した折には、ジャカルタにおいて闘争のための宣言の最終文章を検討していた。

 ビア・カンペシーナとして、これはネオリベラリズムによる新たな植民地支配であるとみている。家族農業が多国籍企業に侵害されている危機的状態である。そして、これは2013年に人権理事会で検討され、2018年には国連総会で採択された。我々は、インドネシア政府に対して農民の権利を守ろうと闘争している。家族農業が多国籍企業にとって変わられそうとしているからである。

小農宣言はよく練られた内容を持つ

ヘンリー・トーマス、シマルマタ(インドネシア農民組合)

 憲法裁判所に勤めている。ジャカルタ大学の法学部の顧問である。国連で小農宣言がなされるごく初期のプロセス、2011年から関わってきた。今日は、小農宣言ができたプロセスについて何点か説明したい。専門用語では、これは「シェルパ」というが、困難な役割であった。そして、政府高官にとっても理解して解釈するのが困難であったが、これを国際法に適合させることが必要であった。そして、2018年に採択されたのだが、その重要な経験をわかちあいたい。

 第一は、多様な組織、多様なステークホルダーの関係を増やしていくことである。国だけでなく、国連の関係機関もそうである。ごく初期の頃に日本の外交官とも、どうやって種子を管理するのかと語ったことがある。こうした事例から、各地域での種子について学ぶ機会があった。

 第二は、具体的な交渉を通じて多くを学んだことである。例えば、生産における規範について政府と話したし、貧困が移住に影響しているかどうかについても話した。

 第三は、健康的な食料をどう生産するかである。

 第四は、いかに多様性に恵まれているのかを理解したことである。交渉では、南の農地だけではなく、ヨーロッパ、アジア、日本でどう農地を確保するかという問題も関係している。

 小農宣言はよくまとめられている。全体の農村や政府、世界のことが書かれている。よく読んで理解していただきたい。

国際的議論が収斂していないため日本は棄権せり

司会山本 今のことについて農水と外務省からコメントをいただきたい。

農水省国際部田端課長補佐 貴重な学びの機会をありがとうございます。実際に実践されている方の声を聞くことは貴重なことであり、大変に感謝しているところでございます。

外務省人権人道課田村主席事務官 人権人道課の田村でございます。大変貴重な機会であったかと考えてございます。私ども政府といたしましては他国のあり方について申しあげる立場ではありません。そこで、日本政府の考え方を申しあげさせていただきたい。まず、地方で働く方々の人権を保護することは重要であると認識してございます。とはいえ、人権条約においてすでに定めされていることに対して、さらに、小農において特化した人権を確立すべきかどうかということでございますが、国際的にはこれはまだ収斂していないというのが私どもの認識でございます。すでに各地方においてすでに存在しているメカニズムが効果的であると日本政府は考えてございます。こうした考え方から我が国といたしましは、フランス、ドイツ等、53カ国とともに棄権を投じたところでございます。こうした中、国際社会の動向を見ていくことは必要であり、こうした会議の場にお招きいただいたことは非常に勉強になったと感謝しているところでございます。

司会山本 日本では小農の権利宣言に対する評価が低いと聞いているが、ただ反対票ではなかった。では、なぜ、議論が収斂していないと田村さんはお考えになったのだろうか。

田村事務官 人権の尊重は重要であるというのが私どもの立場でございます。国連のこの前の第3会議、ジュネーブの人権理事会においても、この宣言は採択されたわけでございまして、小農民、地方で働く方々の人権は大切であるという立場では一貫してございます。つまり、米国のように反対した国とはいささか私どもとは違うわけでございます。こうした権利を一切認めないという立場の国もあるわけでございます。そして、こうした状況を総合的に判断し、我が国といたしましては棄権票を投じたところでございます。

法的拘束力がなき宣言は和訳する必要なし

司会山本 もう一点、お伺いしたいのは、今会場では翻訳文を配っているわけで、これは根岸さんと船田さんが翻訳されたわけだが、国際会議でも議論されて来たところで、政府側にはこの翻訳がないと聞いたわけだが、様々なワードの共通理解が省内であるのかどうかを確認したい。

田村事務官 国連総会の文章は膨大なものでございまして、政府といたしましては全訳はやっていない。このことについてはご理解いただきたいと思っております。条約等、法的な拘束力があるものについては翻訳を作ることもございますが、それ以外のもので和訳を作るかどうかは、ケースバイケースとなってございます。

司会山本 農林水産省にとっても小農宣言は重要かと思うのですが、農水省では、これはどのような扱いになっているのでしょうか。

田端課長補佐 我々は英文で読みつつも、仮訳は持ってございます。

司会山本 外務省にはない。農水省には仮訳があるということです。では、松平さんお願いします。

気候変動と獣害で消滅の危機に瀕する中山間にあった農政を

松平尚也 今日は一人の小農として、家族農業年+10や小農宣言について、農業をやりながら考えたことをみなさんと共有させていただきたい。小農宣言については会場に配布した記事で私の意見は述べてある。

 さて、私は、2005年に人口5000人の町に移住して、伝統野菜を中心に1.5haで農業を営み、宅配をしている。認定農業者ではあるが、今の時期は、田植えや野菜の定植の時期であり、農家は本当に忙しい。そうした農家を代理するものとして話せればと思っている。

 さて、まず、共有したいこと、そして、一人の農家として感じることは、日々の生活で、気候変動と獣害に苦しめられているということである。例えば、土砂崩れでの数トンの土砂を水路からあげた。農業基盤を維持するだけで精一杯なのが中山間地である。もう一つが、シカ、イノシシ、猿の獣害である。つまり、日常的な農業基盤を維持するだけ精一杯である。

 さらに、小農宣言が必要だと思うことは、農業の大規模化が農政の政策のメインとなり、それで流通が変容していることである。

 とくに申し上げたいのが、政策が現場とズレでいるのはないかということである。現在の農政は、官邸主導型のもので、例えば、農業競争力支援法によって、農業の大規模化、企業家が進められているわけだが、日本の農業経営体、2015年の経営体の数が137万人いる中で3万。政策にズレがあるのではないかと。2015年に小農学会もできた。政策と農業現場にズレがある。

 例えば、日本の家族農業10年が農水省にホームページにあるのだが、ここには政策が7つあるのだが、ここでもズレがあるのではないか。例えば、家族農業の10年で、産地パワーアップ事業があるが、これが4億円の巨大ハウスがあった。補助金の2億円があれば、兼業農家、新規就農者への支援ができるのではないか。

 現在の日本の農業施策は、技術インベーション、大きな事業ばかりだが、農村現場のニーズとずれているのではないかと。その一方で、実際に誰が担っているのかというと、半分の集落が担い手がいない。そうした中で、農村を支える生産基盤が必要なのではないかと強く感じる。農業施策と農村現場でずれがあるところで、小農宣言の内容が重要になってくる。

 官邸主導ではなく、基本計画、農業政策で方向性を決めて来た中でしっかり検討する必要があると感じる。様々な農業施策に関わる方が今日のこの場にも参加されているが、新規就農者や小農や家族農業への位置付けが弱い。小農宣言が重要であると思っている。

 例えば、ピックアップすれば、10条1項では「政策への参加の権利」がある。また、プロセスからの政策の関与が義務付けられている。土地の権利も17条にある。新規就農者や移住者は現代でも条件不利地域しか借りられない。家族農業10年はとても重要なので、小農の一人として家族農業として国の政策を再配置いただいてもらいたい。そう切に思う。

司会山本 今、現実の実態を話された。こうしたことも次の議論に生かしたい。さて、家族農業の理念も小農の権利宣言と似ているが池上先生どうであろうか。

家族農業の国際的な定義が日本では共有されていない

池上甲一名誉教授 ここは、対話とか学びの場である。さて、日本では新規就農している人の中には、半農半Xで、地域を良くしようとしていう思いの人たちがいる。それをつなぐためのチャンネルの今回は2回目である。

 今、松平さんは「小農=家族農業」を同じこととしているが、政府の方は、家族農業については共同提案しているが、小農宣言は棄権している。なぜなのか。この理由をお聞かせいただきたい。また、田村さんの方から「小農民」とか「地方」という言葉があったが、どちらも「ペザント」か「ルーラル」になるのだが、日本語にすると言葉のニュアンスが変わるところが注意が必要である。そして、「小規模農家」ではなく、「小農民」と表現されたことは高く評価したい。農水省も2005年から「経営体」という表現をされるようになった。そして、私は小農がやるのが家族農業だと理解している。まずは、「ペザント」をどのように日本語にするのか。農水省には仮訳があるときいたが、それをまずお教えいただきたい。

田端補佐 農水省ではなく、あくまでも担当者が理解するための仮訳ではございますが、ペザントは、小作農、人権が著しく侵害されているものとしてございます。

経営局経営政策課御村補佐 家族農業でも大規模な方もおられ、とりわけ、畑作等の土地利用型農業におきましても、家族だけでもかなりの面積もできるわけでございますので、小農と家族農業とは一致しないと考えてございます。

池上甲一名誉教授 言葉では法人とかも出てきて混乱するだが、集落営農があったりするし、それは農業生産法人もやっていたりするのだが、そこもベースになっているのはFAOの定義では小農である。

船田クラーセン 農水省からは定義がないということだが、今日、日本語の訳や農文協からブックレットを出したのは、英語がちゃんとできれば、そしてそれを読んでいれば、今のような回答にはならないからだ。

 今、世界で議論されている最先端の議論が、なぜか日本では研究者の間でも農民団体の間でも遠い議論になっている。ダイレクトに最先端の情報が届かないことがわかった。農水省の方からは、是非この本を作られた斎藤さんもお見えになっているが、彼らもチャレンジだと思って作ったのである。そして、代表の関根先生が23pにクリアーに書いておられる。国連は家族農業について「家族が経営する農業、林業、漁業、牧畜であり、主として家族労働力によって実施されるもの」と定義している。これは、家族農業+10のための2018年の報告書の定義である。また、日本が関わった会議だが、ハイレベルの専門家パネルが2013年に開かれたが、そこでも、所得の大部分を家族労働から稼いでいる農業となっている。まさに、池上先生が学術的に言われたことで、「主に」という表現もあるが、それは、50%を超えない労働が家族農業とされている。

児童の人権条約のように世界の大半が賛成しなければ賛成できない

 また、外務省の方から「棄権したのは収斂していない」とのお答えがあったが、逆にどのような状態であれば国際的な議論が収斂したと判断されるのか。また、小農の定義も2018年にすでにあることを踏まえて農水省はこれをどう判断するのか。

池上甲一名誉教授 人権理事会で採択、国連第3委員会でも採択されたのは、それがすでに国際的に収斂していると考えるのだが如何。

田村主席事務官 (小農宣言を認めることが)国連の大勢なのではないかという主旨でのご意見はないかと思いますが、反対は8。我が国以外にもフランス、ドイツ、イタリア、ロシア、オーストラリア、スウェーデン、アメリカ等が反対しております。また、国連総会での決議は法的拘束力がございません。これは前回も申しあげたところでございますが、法的拘束力があるものは、例えば、児童の権利条約等につきましては米国以外のほとんどの加盟国が批准しているところでございます。こうした人権の諸条約と比較すると(小農宣言には)法的拘束力がなく、かつ、日本政府においてはまだ議論が収斂していないと考えるわけでございます。

御村補佐 小農の定義ですが、ここに書かれている定義を、そのままストレートに国内政策にも当てはめるということではないと考えるところでございます。議案提出国としてある一つの提案に賛成したからと言って、その定義が全ての国内政策に該当するわけではないと考えているところでございます。

田端補佐 家族農業年についてきましては、賛成国として、来週からも始まっていくわけです。

小農は規模ではなく家族労働力農業なのだが農水省は規模で解釈

船田クラーセン 何を家族農業として考えているのでしょうか。

御村補佐 家族農業であるかとか法人化であるとかとか、そうしたことで政策をしているわけではございません。日本農業も98%が家族経営体となっていますし、家族農業が重要だとは思ってございます。ですので、色々な政策を推進させていただいております。

船田クラーセン 国連によると家族農業はほとんど小農となっている。これについては、大丈夫ですね。大丈夫でなければどこが違うのか。

田端補佐 家族農業は今同僚が申しました通り、規模では区別はしてはございません。

船田クラーセン 小農とは規模ではない。例えば、ブラジルの小農は数百haスケールだし、それでも、スモールスケールファーマーである。ペザンツは国連の定義でもあり、学術的な定義でもあるのだが、家族労働に主に頼っている農家を指している。

池上甲一名誉教授 これは大事な問題である。ペザントを小作農とか訳すと、収奪されている隷属されている農業として捉えられてしまう。権利を守ってあげなければいけない対象とされてしまう。別の農水省の方も「小農宣言とは南の国の農民の話だ」と言われていたが、この発言は日本には小農がいないと考えていることの裏返しである。松平さんそうした理解でよろしいか。

松平尚也 農水省としては政策を展開されているところだが、日本でも感じることは、兼業農家も大事であり、その位置付けが必要ではないかと。ということで、小農宣言を是非、検討していただきたい。例えば、自給のため、販売のためは全般を定義していることであって、移住者も新規就農者である。また、外国人労働者も農業でも受け入れるところで労働者の権利も是非、お願いしたい。

池上甲一名誉教授 重要なものは権利だが、小農の役割も考えて欲しい。

田端補佐 小農宣言の全般は、人権的なものが多く、それを踏まえての1条、2条であることから、主に途上国の問題としてとられている。ただ、家族農業とほぼ重なる。

欧州ではペザントが議論の対象になっているが日本はなっていない

船田クラーセン 人権理事会には農水省の方は参加されたのであろうか。半分がヨーロッパ人が占めていたのだが、その内容はフォローされていないということでいいのだろうか。

田端補佐 それはフォローしていない。

船田クラーセン 実は、小農とは何かということをすでに6年をかけての議論を終えた上でFAOもリポートを出している。南の農民といわれるが、ヨーロッパ、とりわけ、ビア・カンペシーナ・ヨーロッパもそこにいた。日本では、それと全く関係がない宣言になってしまっているが、それは事実ではない。全ての議論が出てくるので見ていただければわかる。その見たものをブックレットにまとめてあるので、それを見れば、南の農民のものなのかということがわかる。

ヘンリー・トーマス この宣言の内容は難解だがすでに採択されたものである。フランス語では「フェゾーン」で、言語的な男性系、女性形が出てきたが、英語では「ペザント」だけである。そこで、2013年はペザントを議論することとなった。例えば、ポルトガルは最初は賛成していなかったが、ブドウ農家をどう保護するかで賛同した。ワイン用のぶどう畑が北アフリカの労働力に頼っていてどうするかを考えていたからである。

 次の事例は、第22条に社会保障があるが、とりわけこの3項で、移民、移住、社会保障の問題について土台を保護することが書かれている。災害は触れられてはいないが、こうしたことを議論するにあたっては、農村で起きている災害も検討しなければならない。

船田クラーセン 今ヘンリー氏が言われたことは、こういうことだ。国連では小農宣言のためのワーキンググループをつくるにあたって、参照文章を合意する。その文章をみて前に進めていく。以前の古いところまで議論を蒸し返しても仕方がないので、文章で合意しつつ次の場に活かしていく。そして、ヘンリー氏が前提していることは、スペイン、フランス政府がすでにこうした言葉、ペザントを使っていたということだ。それは、南の国のことだけではないということを言いたかったのだ。

 また、家族農業と小農とでは違うという議論もあったが、ポルトガルが議論する際に使った用語が「ファミリーファーミング」であった。それは「ペザント」でもあった。

小農の問題は資本主義の問題に行き着く

池上甲一名誉教授 クラーセンさんがきれいに整理させていただいた。その上で、韓国でもキムさんの話だと女性農民運動が活発であると。それがかなりリードしていると。

キム・ジョンヨル 今小農の定義の議論があったが、私たちの運動ではペザントという言葉が入っている。小農団体が大事にしているのが、一体誰が耕すのか。そして、どのような農法で耕すのかを大事にしている。ペザントの定義は非常に難しい。2018年のワーキンググループにも参加したが、そこには日本政府の人も参加していた。

 そして、2003年に韓国の小農団体としてビア・カンペシーナに参加したのは国内だけでは解決できないことから、国際連帯に参加した。この連帯のプロセスで韓国の農業、女性が抱えている問題がキャピタリズム、資本主義であることが見えてきた。

小農宣言によって現実は変わっている

古沢広祐教授 小農宣言によって、どうやって問題を解決していくのかの道筋ができたと。そこで、政府の政策について具体的に小農宣言をベースに提案されていることがあるのだろうか。そうしたことで、対話があるのか。始まっているのだろうか。インドネシアでも大変な問題があると思うのだが、政府との対話でどういう動きがあるのか。

斎藤 茨城の斎藤です。前回時間切れであったSGDsではインクルーシブが概念としてあるのだが、ビア・カンペシーナでは「我々抜きで語るな」となっている。2ヶ月前のビルバオでの会議にも参加さていただいたが、食の前にはファーマーがあると。主権者は農村や農民であると。そして、日本でもこれは整合性があるSDGsで位置づけられていると。SDGsは国全体の政策と重なるものなので、それについてどうお考えなのか。

株式会社の合田 農水省も外務省の方も守ろう守ろうという答弁を感じ取れたので。家族農業の10年。農水省の立場が強くないことはわかっているのが、日本の農水省でもこの宣言書に対して具体的なことが何かあれば。

現代農業の編集者 シンプルな意見だが小農=途上国問題だという見解に衝撃を受けた。種苗法でもIPPGRでもタネへの権利があるが、IPPGRでうたわれている権利も途上国の問題だけなのか。

キム・ジョンヨル 韓国政府も日本政府と同じく小農宣言に対しては積極的ではない。というのは17条の土地への権利、19条のタネの権利がひっかっているからである。法的拘束力がないとしても、これが国内法に大きく影響することがわかっているからである。

 まず、一つは政権与党に対して小農宣言を批准するよう働きかけている。農業政策に反映するよう働きかけている。第二は、韓国国内での国連人権委員会を介して、農民への教育を行なっている。

アグス・ルリ・アルディアンスア 2001年に着手してから国内的、国際的にも困難に直面していた。政府に対して小農を力づける政策を作るよう働きかけてきた。2013年に政府が国内法を整えることに賛同し、農民を力づける国内法を公布している。また、小農にとってよくない法律の評価も行なっている。例えば、自ら農民がタネを採種してはならない法律があるが、2013年に農民たちの努力が実り、この法律が改正になった。さらに、土地と遺伝資源を海外の投資家から守ることを提言している。小農に適切な法を求めていくと同時に、農民を不利益にする法律の評価をしている。

池上甲一名誉教授 SDGsなり、種苗法のIPPGRについてお答えできることがあれば。

知的財産課小口補佐 ご質問されたのは、農業者のことだと思うが、遺伝資源の収奪については保護をしている農業者は、高度に品種改良されている先進国ではなく、それが途上国にいるという説明ではなかった。日本には高度に改良されたものを残っているものがないと思う。

池上甲一名誉教授 そんなことがないという声があると思うし、政策と農政のギャップもあると思うが。共同調査を踏まえて、学習を是非進めていきたいと思っている。また、日本はODAでも関わるのでそれも課題があると思う。

船田クラーセン 外務省は反対派しなかったが棄権した。日本の場合はタネと食の主権が反対されたと。

田村主席事務官 一言だけ。これは法的拘束力がないものであることを重ねて申し上げたい。

松平尚也 日本の政策で現場とギャップがあるが、外国人労働者。農家の現状が生まれてくると思いますので是非、議論を継続を願いたい。

posted by 情報屋 at 13:00| Comment(0) | 講演会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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